アルカスイス・マニアックス

久しぶりにアルカスイスの事をマニアックに書いてみたいと思います。まずアルカスイスとは何か?については先日記事を書きましたので、そちらをご覧ください。

イチから始めるアルカスイス 〜ARCA-SWISSとは〜

アルカスイス社は自由雲台は多くのカメラマン達に支持され、多くの企業がアルカスイス互換製品を作っています。その互換製品はコピーや模倣品といった枠を飛び越えて、様々な製品が発表、発売されています。

arcaswiss

自由雲台

アルカスイス

APEX-CONVERSION-KIT6

アルカスイス」を一躍世に名を知らしめた本家メーカーです。元はスイスの企業でしたが現在はフランスに本社を置くビューカメラメーカーです。おそらく高級自由雲台として日本でもっとも有名な雲台で、代表作Z1+は強固な固定力と、非常に滑らかな操作性が特長です。自由雲台はP0、Z1+、Z1g+の3種類があり、あらゆる重量の機材に対応することができます。私も長年愛用しています。

Really Right Stuff

Really Right Stuff BH-55

今や日本ではアルカスイスを超える人気を誇るアメリカの三脚雲台メーカー、Really Right Stuff。アルカスイス互換メーカーのパイオニアであり、今もシーンを引っ張る存在です。デザイン面で非常に魅力的な製品が多く、たくさんのファンを獲得しています。自由雲台のラインナップが豊富でボールサイズ16mmのボールクランプから、55mmのBH-55まで実に6種類もの自由雲台から自分に合った物を選ぶことができます。

KIRK(KES)

KIRK BH-3

KIRKは男心をくすぐるシンプルで無骨なデザインが特徴のアメリカのメーカーです。こちらも自由雲台の人気が高く多くのカメラマンに支持されています。ラインナップは2種類と少なめ。ただ自由雲台は発売から相当年月が経っており、設計の古さは否めません。そのため操作性においてアルカスイスとReally Right Stuffに遅れをとっている印象があります。

アクラテックやFLM

acratech

他にもドイツのFLM、アメリカのアクラテックなどアルカスイス互換の自由雲台を発売しています。どちらも個性にあふれ、発想もずば抜けているのですが、各所今一歩な部分があり、売れ行きも先の三社と比較すると伸び悩んでいます。

FLM

中韓メーカーの台頭

sirui k-20x

近年、中韓系メーカーも頑張っています。代表的なのはマーキンスやSIRUI、フォトクラム、sunwayfoto、BENRO辺りでしょう。マセス・レオフォトといった新興メーカーもCP+に出展されるなど勢いはとどまる所を知りません。

Markins

私もいくつか作ってきましたが、まだ質感とデザイン面で今一歩という感じです。細部も粗を探せばチラホラ散見されます。ただしアメリカメーカーもアルカスイスも決して完璧な製品ではないので、価格で選ぶなら選択肢としては悪いとは言えません。

自由雲台をさらにグレードアップできるアクセサリー

これはウィンバリーのサイドキックというもので、アルカスイス互換の自由雲台に取り付けることによって、ジンバル雲台にしてしまうという夢のような製品です。操作性も良く、多くのファンを獲得してきたベストセラー商品です。

パノラマクランプ

クランプ自体にパン機能が備わっています。RRSのパノラマクランプは裏側がアルカスイス互換ダブテールになっていますので、雲台に直接つければ、その瞬間からパノラマ雲台になります。

ジンバル雲台

主に望遠レンズを使って動いているものを撮影するための雲台です。最近ではパーツを組み合わせて完成させる製品が主流で、組み立てる部品のほとんどがアルカスイス互換となっています。

ギア雲台

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アルカスイスのギア雲台は雲台マニアにとって憧れの一品。機能も素晴らしいですが、見た目にも美しく人気の高い製品です。

ビデオ雲台

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ムービー用の雲台です。数はまだまだ少ないですが、アルカスイス互換のビデオ雲台がちらほら出てきました。固定するという雲台本来の目的よりも「滑らかに動かす」ことに特化した雲台です。油圧式のものは高額ですが非常に操作性がよく、きっと満足できるでしょう。

一脚用雲台

一脚専用のアルカスイス互換雲台があります。動きを1WAYにすることで一脚の向きを操作しやすくなります。

クランプ

アルカスイス互換クランプもあらゆるメーカーから発売されています。

アルカスイス

arcaswiss-clamp
アルカスイス社が後発で出した新規格「フィックス」と従来の規格を共存させる形で作ったもので、2段式となっています。アルカスイスのビューカメラのユーザーには最高かもしれません。一般のフォトグラファーにはいまいち使いにくいとの声が多いです。

Really Right Stuff

RRS-clampアルカスイス互換のレバークランプと言えばこれ!というくらい有名なのは、やはりRRS。操作性も非常によく、デザインよし質感よし。価格もそこまで高額という訳でもないところが大ヒットの要因でしょう。

KIRK (KES)

KIRK-clampアルカスイス互換のノブ式クランプと言えばこれ!というくらい有名なのがKIRK(KES)。ネジのピッチが広く、非常に少ない回転で着脱が可能となっています。ただ最近内部バネの不良が多く、私や友人も含め、かなり多くの方が不満を持っています。今なお苦情は続いており、一日も早く信頼回復に努めてほしいですね。

クランプ換装という文化

Manfrotto405

少し話が逸れますが、Z1+やBH-55ようにクランプが取り外せる仕様になっていない雲台をアルカスイス互換化する動きが活発になってきています。こちらはマンフロット405ギア雲台をアルカスイス互換化する人気が高い換装です。405に元々付いているクイックシューを取り外して、アメリカのHejnarPHOTO社のクランプベースを換装し、KIRKのクランプを付けています。この改造の場合、センターから30mm間隔で2箇所、もしくは45mm間隔に2箇所貫通穴が空いているクランプを選ぶ必要があります。

ビデオ雲台では前後のバランスでシューを動かす必要があります。そのため換装せず、クイックシューにクランプ取り付けて使う場合もあります。

変わり種クランプ

変わり種クランプとしてはKIRKのSS-1に付いているクランプが面白いです。

SS1
アルカスイス互換カメラストラップです。あまり使いやすいと言えないのがツラいところですが、私はこのクランプにブラックラピッドを合わせて使っています。RRSやアクラテックからも似たようなコンセプトのクランプが販売されています。

プレート

レンズやカメラにプレートを取り付けて雲台に素早く確実に、そして強固に装着できるのがアルカスイス互換システムの強みです。あらゆるメーカーから汎用性のあるプレートが販売されています。

そのシステムをもっとも有効に活かせるのが「カメラ専用」で作られたLプレートや、レンズ専用の「レンズフット」というアイテムです。

RRS-L

こういった専用品はズレにくく、ブレ防止の観点からも雲台直付けと変わらない性能を発揮します。

その他アクセサリー

Really Right Stuffのストロボマウント。底がダブテールとなっていますので、三脚をライトスタンドとして使うことが可能です。

Really Right Stuffの望遠レンズサポーターです。カメラボディをクランプで固定し、レンズはローラーで受けて支える仕組みです。

これはマクロスライダーと呼ばれるもので、前後のノブを回すことによって少しずつ微動します。

TA-2-LB_4

三脚が水平じゃなくても、レベリングベースがあれば一瞬で水平に合わせられます。

まとめ

このように一言でアルカスイスと言っても、多種多様に広がっているため、もはや何を指しているのか分からない状態です。しかし確実にアルカスイス互換はカメラ業界の標準となっており、今後もさらに互換化は進んでいくでしょう。システムを統一しておけばあらゆる場面において対応できますので、まずはクランプとプレートからスタートしてみてください!

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. pentax1102 より:

    ハクさんこんにちは。
    いつもブログを楽しく読ませていただいております!
    今日は質問があり初めてコメントさせていただきます。
    以前からgitzo GH3780QD というタイプの自由雲台を使用しています。
    最近クランプを換装したいと考えているのですが分解してみると接着部分にRRSのレバークランプと穴が違います。
    レバークランプに憧れがあるがボール雲台の性能には現状満足していますのでなんとかクランプのみ換装する方法はあるのでしょうか?
    もしよろしければアドバイスを頂けると助かります。

    • haku haku より:

      pentax1102さん、こんばんは。
      GH3780QDは使った事がないので確証はないのですが、おそらくGH2780QDと同じプロファイルだと思います。
      分解したら三角形型に三ヶ所ねじ止めされていなかったですか?
      だとしたら、おそらくHejnar PhotoというメーカーのクランプかウィンバリーのC-12が適合すると思います。
      http://www.hejnarphotostore.com/mobile/Product.aspx?ProductCode=F-GH2780QR_Clamp
      ウィンバリー Wimberley C-12 [クイックシューベース] https://www.yodobashi.com/product/100000001001370742/
      よろしくお願いします。

    • haku haku より:

      pentax1102さん、おはようございます。
      昨夜はちょっとウトウトしながら返信したので、少し呆けていたようです。RRSレバークランプと書いてありましたね。すいません。
      方法としてはクランプと雲台の間にスペーサーを挟むしかありません。そうなると当然ワンオフで制作する事になりますので、結構高いです。多分スペーサーだけで1万5千円くらいでしょうか?プラスレバークランプが同じく1万5千円くらいですので、3万円くらい掛かってしまいます。
      それならばその雲台をいくらかで売却されて、新たに雲台を購入された方が良いような気もします。
      また上手い対策が見つかったらコメントを追加しますね。

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