物撮りテクニック その⑧ 俯瞰撮影

物撮りテクニック その① ブツ撮りの準備 / その② 背景編 / その③ 基礎の基礎 / その④ ブツ撮りに適したレンズ選び / その⑤ レフ板を使ったブツ撮り / その⑥ 本のブツ撮り / その⑦プラスチック製パッケージのブツ撮り

さて俯瞰撮影というと皆さんはどんなイメージでしょうか?ただ真下に向けて撮るだけでしょ?って思った方は、実際にやってみると意外と大変だと痛感されると思います。

そう俯瞰撮影は「難しい」のではなく「大変」または「面倒臭い」のです。

今回は俯瞰撮影について詳しく書いてみたいと思います。

三脚の高さが必要

これまでブツ撮りではなるべく歪みなく撮影したいということを再三書いてきました。歪みなく撮影するためには、それなりの撮影距離が必要となります。俯瞰撮影は通常、床までの高さが撮影距離となります。三脚の高さが高いほど、撮影距離が稼げるので、より望遠側で撮影できるということです。

基本的に撮影は単焦点レンズではなくズームレンズを使う

先ほどうっかり「より望遠側で撮影できる」と書いてしまいましたね。そうです。これまで散々勧めてきた105mmマクロレンズは俯瞰撮影では使いません。なぜなら仮に175cmの高さから撮影したとしても、およそ55cm×35cm程度の被写体までしか画角に入りきらないからです。(雲台の高さにより多少誤差が生じます)

55cmと言えば男性MサイズのTシャツ1枚すら画角に収まりません。俯瞰撮影の目的として、洋服を平置きして撮影することが多いと思います。平置きブツ撮りでは画角は24mm-70mmズームレンズがお勧めです。

ただし「広角側は歪みやすい」ということを胸に、ライブビューで確認しながらセッティングしましょう。

レンズの重みでズームが繰り出される可能性がある

俯瞰撮影ではレンズの重みが原因で、ズームが勝手に繰り出されてしまう可能性があります。俯瞰撮影ではパーマセルテープを用意しておくと良いでしょう。

サイドアームが必要

必須ではありませんが、サイドアームはあった方が断然便利です。まず第一に三脚の脚が写り込みにくくなります。また撮影台の上に置かれた物を真上から撮りたい時に、台に干渉せずセッティングできます。しかしサイドアームは三脚に大きな負荷がかかります。特にセンターポールを伸ばして使うと故障や転倒の恐れがありますので、なるべくセンターポールは使わないようにしてください。またサイドアーム自体もしっかりとした製品を選びましょう。転倒防止のために反対側にウェイトを掛けることも忘れずに。

水準器が必要

俯瞰撮影は90度ちょうどに合わせられるかどうかによって、明暗が分かれます。垂直にカメラが向いているかどうかは、目視ではなかなか判別できません。水準器を使うことで正確な撮影を行うことができます。

ファインダー・液晶モニターが見えなくなる

170cmからの俯瞰撮影となると、ファインダーはよほど身長が高い人じゃないと覗くことはできません。バリアングル液晶も非常に見えにくくなるでしょう。脚立を立てれば覗けるかもしれませんが、何度も昇降するのは面倒な上に、相当時間をロスしてしまいます。またブレやすい撮影方法であること、撮影直後の撮影結果が見れない(見えない)ことも、通常撮影と違って失敗が多くなります。

俯瞰撮影ではWi-Fiを利用してタブレットやスマホでモニタリングしたり、リモート撮影などができる機能を利用しましょう。ケーブルでPCに接続してテザー撮影をするのも良いですね。お使いのカメラがNikonかCanonのカメラ(一部ライカも)でしたら、Lightroomでテザー撮影ができる可能性が高いです。NikonかCanonの一眼レフ機の方は、お持ちのカメラが対応しているか、以下URLから調べてみてください。テザー撮影では長めのUSBケーブルを用意しましょう。

テザーカメラサポート | Lightroom Classic CC および Lightroom 6

こういった外部モニターを導入することで、失敗を大きく減らすことができます。

私は俯瞰撮影はたまにしかしないので、スマホアプリでやっちゃうことが多いです。スマホホルダーはManfrottoのフリクションアームを使って固定しています。

 

スマホアプリはNikon機を使っていますので「Snap Bridge」を使っています。このアプリ、せめてピーキング機能や拡大表示機能が付いていたら便利なのですが、本当に必要最低限の機能しか付いていません。リモート撮影中は一切ボディ側の操作を受け付けないので、レリーズケーブルすら反応しません。必ず露出ディレーモードを活用しましょう。アプリにもタイマー機能が付いていますが、一回一回設定する必要があるので不便です。拡大はiPhoneの設定のアクセシビリティの中にある「ズーム機能」をONにして、コントローラを非表示にしています。これによって3本指でダブルタップすると拡大・縮小されるようになります。移動は3本指でドラッグです。

撮影

では実際に撮影してみましょう。俯瞰撮影では洋服の平置きや、書類や書籍などを撮影することが多いです。俯瞰撮影で一番重要なことは、先にも書きましたが、しっかり90度を合わせることです。洋服はマネキンやトルソーなどと違って立体感は出せませんが、袖を曲げるなど動きを出したり、シワを寄せて素材感をアピールしたり、腰回りの形を整えてくびれを演出することもできます。

さて如何だったでしょうか?俯瞰撮影は技術というより、手間を掛ければ掛けるほどクオリティが高まる撮影方法だと思います。ぜひ面倒臭がらずに手間暇かけてチャレンジしてみてください。


最後にちょっと不思議な作例です。

まるでハンドストラップとカメラを合成したような写真です。しかしPhotoshopを使っていますが、合成ではありません。こちらは釣り糸でハンドストラップを吊り、背景にカメラを置いて撮影しています。撮影後、釣り糸をPhotoshopで消したら完成です。

吊りは何度か作例で出した気がしますので、今回は作例をもうひとつ。

イメージカットとは言え、ブツ撮りはあくまでも主役は被写体ですから、演出が派手になり過ぎない程度に抑えたいところです。上の作品はカラーフィルムを被写体の周囲に散りばめ、被写体に反射するようにライティングしました。リューズ周辺のハイライトとフレアはフォトショップの「フィルター」「描画」「逆光」「35mm」で作りました。チラシやパンフレットのイメージ写真ではこういった編集がされることが多いので、仕上がりをイメージしながら配置することが大切です。

次回はブツ撮り後のPhotoshopでの編集作業を書きたいと思います。

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. […] この辺りのアイテムをもっと詳しく知りたい方は「物撮りテクニック その⑧ 俯瞰撮影」をご覧ください。 […]

  2. しょうへい より:

    いつもhakuさんの実体験に基づいたコラムを見て、勉強させていただいております。
    質問です。俯瞰撮影時に使用するサイドアーム(アクセサリーアーム)がマンフロット製であるのには理由があるのですか?と言いますのも、hakuさんならば俯瞰撮影の頻度が低いとは言え、サイドアームの品質にも最高を求められるのであろうと思いました。一方で、素人考えではサイドアームはマンフロットよりもgitzoの方が品質が高いのでは?と思うのですが、前述のhakuさんが品質を重視される前提に立つと、マンフロットの方が品質が良いのか…?と疑問が出て参りました。
    現在三脚の見直しを進めている関係で質問させていただきました。もしよろしければご教示ください。

    • haku haku より:

      しょうへい様、コメントありがとうございます。サイドアームがマンフロットなのは、特に理由はありません。実は相当前にギア式とラピッド式を持っていたのですが、ギア式は操作は快適でしたが重すぎて可搬性やセッティングの理由で使わなくなり手放しました。またGitzoは物自体は剛性が高くしっかりとしているのですが、ブレに関してはマンフロットと比較して差がありませんでした。これは私の撮影環境がほぼストロボ使用ということが大きいのだと思います。あとは仕事で使うので傷を気にせずガンガン使えるということで使用頻度が高くなり、逆に使わなくなったGitzoは私用で使う機会がなく、自然と手元を離れていった…という訳です。特にマンフロットが優れているわけではありません。でも正直大差がないというのが個人的な感想です。常にスタジオに置きっぱなしで、使用頻度が多いのであればギア式が良いと思います。

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