物撮りテクニック その① ブツ撮りの準備 / 物撮りテクニック その② 背景編
さてシリーズ3回目にして、ようやく基礎のお話をしたいと思います。なるべく面白くブツ撮りをしてもらうために避けてきましたが、そろそろ避けては通れないので諦めて書く事にしました。
ブツ撮りは基本的に室内撮影がメインとなります。ストロボを使わない場合は、屋外と比べるとどうしても暗くなるため、常にブレとの戦いとなります。
さらにブツ撮りは他の写真分野と違って等倍で見られることが多いですから、ちょっとしたブレでも目立ってしまいます。ブレを徹底排除することが「良いブツ撮り」の第一歩だと心得てください。
完璧なブツ撮りは三脚から
「また三脚の話か…」と思われるかもしれませんが、今日は大真面目に書いています。完璧なブツ撮りの秘訣はいくつかありますが、その中でももっとも重要なことが「良い三脚を使うこと」です。
なぜならライティングは数cmズレただけで、効果が大きく変わってしまうため、少しずつライティングの位置を変えながら自分の欲しい光に追い込んでいきますので、三脚がないとどうしても完成度が下がってしまうからです。
またカメラをしっかりと固定することが三脚の役割ですが、三脚に限って言えば製品によって大きな差があります。価格に比例するとまでは言いませんが、安価な三脚ではその役割を果たしてくれない可能性があります。三脚選びで失敗しないためにも、私のブログを読んでぜひ良い三脚を入手してください。
ギア雲台でストレスフリーな撮影を
ギア雲台もブツ撮りにおいて最重要な機材です。「あと2度くらい傾けたい!」といった繊細な微調整が可能となります。もちろん絶対に必要というわけではありませんが、撮影をスムーズに進行するためにも、ぜひ入手してほしいと思います。ギア雲台は他の雲台よりも高価になりますが、一度良さを知ってしまうと、他の雲台に戻れなくなるでしょう。
レリーズケーブル・リモコンシャッターを使う
たとえ三脚を使っていても、カメラのシャッターボタンを指で押すと、それがブレの原因となります。また皆さんが思っている以上に指で押し込む力は強いのです。ピントも動かさずに2枚同じ写真を撮ったつもりなのに、微妙にズレてしまう原因は、押し込んだ際に三脚の脚がわずかに動いてしまったからです。
レリーズを使うことによって、そういったブツ撮りの問題からあっさり解放されます。さぁあなたの写真のクオリティがメキメキ上がってきました!
ボディ・レンズの手振れ補正機能はOFF
レンズによっては影響しない場合もありますが、多くの手ブレ補正機能は、常にブレを想定して動いています。三脚に乗せていて全く動いていなくても、手ブレ補正自体が微妙に動き続けていますので、それが原因でブレてしまうことがあります。念のためにブツ撮りの時は必ず手振れ補正をOFFにするクセをつけておくと良いでしょう。
一眼レフカメラの場合はミラーアップ撮影をする
そこまでする必要があるか?と思われそうですが、少しでも人より良い写真を撮りたいのであれば、改善できる努力は惜しむべきではありません。すごく時間のロスになるのであればお勧めしませんが、ミラーアップによって失われる時間は1枚あたりたった3秒です。
レンズはなるべくマクロレンズを使う
ブツ撮りでは被写体に目一杯寄って撮影しなければいけない場合が多いので、最短撮影距離が短いレンズが便利です。また小さなアクセサリー(ピアスなど)をブツ撮りする際は、トリミングが前提ですから、最大撮影倍率が大きい方が有利です。つまりマクロレンズを使えば解決。ということです。
最短撮影距離?最大撮影倍率?という事については、過去に書いた記憶がないので、どこか良い解説がないかとググったらsaizouさんのブログ「ログカメラ」に詳しい解説がありましたので、そちらをご覧ください。↓↓↓↓↓↓↓
適切な絞り値で撮影する
よくブツ撮りの教本には「F8で撮れ」なんて書かれてますが、その数値は目安であって、なるべくレンズの性能を最大に発揮できる絞り範囲で、被写体の隅々までピントを合わせてくれ。という意味です。奥行きがある被写体の場合などは、F8に絞ってもしっかりとピントが合わない事があります。そういう時は目一杯絞っても構いません。もちろんF8でしっかりピントが合っているのに、それ以上無意味に絞っても画質が悪くなるだけです。あまり頭でっかちにならずに、適切な絞りを心がけましょう。
ISO感度に頼らない
ブツ撮りの場合、三脚使用が前提ですし、ライティングの環境も整っています。ですからISO感度に頼らず、撮影設定は絞り、シャッタースピード、ライティングのみで行うようにしましょう。
ピント合わせはライブビュー拡大する
ファインダーや小さな液晶モニターでは、バッチリピントが合っているかどうかを確認できません。本当はテザー撮影が理想的ですが、ボディでピントを合わせるのであればライブビューにして、さらに拡大してピント合わせをすることをお勧めします。手間はかかりますが、これで失敗写真をほぼ無くなりますので、失敗して再度撮影をするといった無駄を省くことができるでしょう。
さてこのままでは本当に基礎の話で終わってしまいそうですので、最後にひとつ面白い作例を載せておきます。
この写真を撮るための撮影レシピは、とっても簡単です。
- まずロゴが目立つように配置したかったので、背景にハイミロンを使用し、真っ黒にしました。
- 画角にちょうど入らない位置にディスプレー用のターンテーブルを設置し、被写体を置き回します。
- 絞りは最大まで絞り、シャッタースピードを10秒に設定し、撮影します。
- ターンテーブルのスピードによりますが、今回は3秒に一回程度、ストロボを被写体に向けて強制発光で直射します。
- Photoshopで明るさなどを調整し、ロゴを配置したら完成です。
如何でしたでしょうか?まだまだブツ撮りシリーズは続きます!


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