物撮りテクニック その① ブツ撮りの準備 / その② 背景編 / その③ 基礎の基礎 / その④ ブツ撮りに適したレンズ選び / その⑤ レフ板を使ったブツ撮り / その⑥ 本のブツ撮り
今回は地味ですが撮影が難しいプラスチック製のパッケージのブツ撮りをご紹介したいと思います。
こういったパッケージは大抵透明なプラスチックに印刷して作ってありますから、後ろが透過しやすく、背景が白以外だと写り込んでしまう場合があります。影も影響を受けやすいですから、なるべく強い影が出ないように撮影する必要があります。
また一番の大敵がパッケージの表面。ちょっとした光でも強い反射光が発生しまいます。それなのにパッケージは文字が多いので、その反射光によって大事な文字を邪魔してしまうことが多々あります。
撮影を難しくしているのはそれだけではありません。液体洗剤などの場合、商品を立てて撮影すると中身の洗剤が下の方に集まってしまうので、パッケージ自体が歪んでしまいます。つまり撮影の際は寝かせて撮らなければならないということです。撮影表現の幅が狭まりますので、ブツ撮りをより難しくしています。
それでは撮影していきましょう。
まず端の処理です。通常、パッケージの端は少し歪んでしまっていることが多いものです。ですから透明の固めのプラスチック片で形が安定するようにテープ止めしてやります。今回はクリアファイルを使いました。
厚紙にセロテープで貼って、後でフォトショップで処理するという手もあります。
ストロボ以外の環境光が入らないように、室内を真っ暗にします。ストロボ光が強くあたり過ぎないようにソフトボックスやトレーシングペーパー(以下トレペ)を使って1枚撮影します。
かなり強い反射光が出てしまいました。このように普通の撮影方法ではろくな写真が撮れません。
では早速改善していきましょう。長め(1mくらい)のトレーシングペーパー(以下トレペ)か薄めの白ケント紙を被写体の周辺を360度ぐるりと囲みます。室内を真っ暗にしてカメラを真上にセットします。この時、必ずしっかりとした三脚でセットしてください。カメラのシャッタースピードを10秒くらいに設定し、撮影を開始します。10秒の間、トレペの外側を色々な角度からまんべんなく照明で照らします。この時、強い光を近づけ過ぎないように注意してください。
真上から見るとこんな感じです。反射光が消え、柔らかい光が被写体を包んでいますね。
どうしても抑えきれなかった端の歪みなどはフォトショップの歪み補正で修正し完成です。
さて今回はブツ撮りにあると便利なものをご紹介したいと思います。
アクリルブロックです。先日もアクリルキューブを紹介しましたが、ちょっと大きな被写体になると、キューブでは台座は務まりません。幅は最低でも50mmくらいはあった方が良く、高さは100mmは最低欲しいところです。お値段は2000円〜とそこそこ高くなりますので、買う前にしっかり用途を考えて適切なサイズを決定しましょう。参考に500mLのペットボトルでしたら、50x50x100mmでちょうどいい感じです。
またアクリルブロックなら下からのライティングにも邪魔になりにくく、被写体への映り込みも少ないので、透明度の高いブツ撮りにもっとも向いています。また切り抜いた時の仕上がりも自然そのものです。
スチレンボード(レフ板)を立てる時に使っているのはタブレットホルダーです。最近ドスパラで買った「DN-915682」は角度がほぼ直角に立てられるので重宝してます。値段も高くないのでおすすめです。
今回は地味な回になってしまいましたね。次回はちょっと華やかなブツ撮りのお話になるようにしたいと思います。


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コメント
ハクさん、こんにちは。お仕事のブツ取りの秘密をこんなにさらして大丈夫なのですか。おかげさまで大変参考になり、ごっそり盗ませていただきましたよ。とは言え収入に直結はしませんが。さて、お願いがあります。最近ハイパーフォーカルディスタンス、過焦点距離に感心があります。出来るだけ開放にしてパンフォーカスにした方が何となく色が綺麗な感じがします。例えば開放値F2.8のレンズならF11よりF5.8のほうが色が鮮やかな感じなのです。何度か確かめました。私はプロではないのでハクさんみたいに経験値が少ないのですが、特に光量の少ない夜明け前に撮影した写真を見るとそんな風に思います。ネタとしてお時間が空いたときなどをご利用になって、ハイパーフォーカルディスタンスについてやってもらえないでしょうか。よろしくお願いいたします。
philotripusさん、こんにちは。絞りによって得られる画質は確かに違うとは思いますが、それを証明するのは結構大変ですね。また暇な時に書いてみます。ありがとうございます。
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