1mmのセッティングの違いが見る世界を変えてしまうマクロ撮影。
三脚雲台マニアの皆さま、ニッチな世界へようこそ。今回も超絶マニアックな記事をお届けしたいと思います。
冒頭でも触れましたが、マクロ撮影においてセッティングは非常に重要な作業です。どうしても三脚雲台だけでは限界があるので、マクロ撮影においてマクロフォーカシングレールはとても便利なアクセサリーです。本日はマクロフォーカシングレール(以下マクロレール)を張り切ってご紹介しようと思います!
マクロフォーカシングレール(マクロレール)とは
マクロレールはレールを使って被写体に寄るためのアクセサリーです。主な目的は2つで、一つ目は単純にもう少し寄りたい場合、そして二つ目はピントの追い込みです。
大きなカテゴリーでは微動機能が付いていないロングプレートもマクロレールに含まれますが、今回ご紹介する機材は「アルカスイス互換であること」と「微動機構が付いていること」に絞りたいと思います。
その理由はアルカスイス互換のシステムが優れているからということと、マクロ撮影のセッティングにおいて微動機能が付いていると非常に効率的だからです。
機材紹介
さて今回紹介する機材は全部で4種類+番外編
- Oben マクロフォーカシングレール MFR4-5 $79.95(約8700円)
- ishoot 4ウェイ雲台 マクロヘッド 13999円
- Really Right Stuff マクロフォーカシングレール B150-B $345(約39000円)
- KIRK フォーカシングレール「FR-2」$311(約35000円)
(番外編)ARCA-SWISS マクロテーブル 450ポンド(約67000円)
すべて使ってみた事があるのでひとつずつ簡単に紹介したいと思います。
Oben マクロフォーカシングレール MFR4-5
ベルボンのスーパーマグスライダーとよく似ています。というかアルカ互換クランプを搭載したモデルというだけで構造は一緒です。前後左右の2軸微動を搭載した廉価なマクロレールです。ただ剛性で優れているとは言えないことと、下部がアルカスイス互換のダブテールになっていないことがイマイチな点です。出荷状態によってはしっかり調整しないと、かなりガッカリされるかもしれません。値段は魅力的ですが、日本では取り扱いがありません。Amazonにさらに安いNeewer製の似たようなマクロレールが販売されていますので、そちらを試してみても良いかもしれません。

この六角ボルトが緩むとガタつきが出るので、きちんと調整することが大事。購入時点で緩んでいることがあるので、チェックしておいた方がいいかも。
ishoot 4ウェイ雲台 マクロヘッド
2個同じ物が入ってこの値段ですので、1個辺りの価格は7000円程度となります。Obenと違ってアルミ合金製で剛性はしっかりと作られています。ダブテールがアルカ互換になっており、粗動も粗動ロック機能も付いています。クロスして組み合わせることで2軸マクロレールとなります。微動中に揺れながら動くのが、ちょっとストレスを感じます。クランプの向きが変更できないところと、クランプのノブが細く固定時に力を入れにくいのも気になりました。欠点はそれなりにありますが、剛性重視であれば、Obenよりも良い選択肢となるかもしれません。
Really Right Stuff マクロフォーカシングレール B150-B
アルミ合金製でしっかりと作られており、ダブテールがアルカ互換になっており、粗動も粗動ロック機能も付いています。唯一レバー式ですので、操作時にミスが起こりにくいという長所があります。ただし微動中に揺れながら動くのが、ピント合わせにおいてストレスです。またクランプの方向が変更できないのもマイナス点ですね。345ドルとどう考えてもコストパフォーマンスが高いとは言えず、よほど「RRS以外欲しくない!」という人以外にはオススメしません。
KIRK フォーカシングレール「FR-2」
結論から言えば、KIRKのFR-2が私が今まで使ったマクロレールの中で最高だと思ったマクロレールです。その理由は5つ。
理由1:微動量が細かい…微動の移動量が細かいのでかなり正確なピントの追い込みが可能となっています。時間をかけて緻密に操作したいという人にお勧めです。
理由2:剛性・安定性に優れている…他社の製品と比較して、剛性・安定性がずば抜けています。レールと台の隙間がぴったりに作られているため、ガタがほとんどありません。
理由3:スムースな操作性…微動も粗動も非常にスムースで、工作精度の高さが窺えます。
理由4:クランプの方向を変更できる…アルカスイス互換のマクロレールの中では、唯一クランプの方向が変更できます(※HejnarPHOTOなど今回紹介していないメーカーの製品には可能な物があります)。そしてクランプ交換に必要な工具がクランプに内蔵されているところも素晴らしいですね。
理由5:格好良く高級感があり所有欲を満たしてくれる…本当に格好いいです。ネオプレン製のポーチも付属しており、メーカーも高品質な精密機器として取り扱っていることが伝わってきます。入手後も非常に満足感が高い製品です。
欠点は価格が高いこと。国内で購入する場合税込5万円以上とかなり凶暴ですので、ちょっと躊躇ってしまいますね。あとは1軸しかないので、もし2軸にしたい場合は、さらにもう一つ購入する必要があるということ。つまり10万円オーバー…
操作面での欠点はカメラマンの動きで被写体が逃げてしまう(昆虫など)といった理由により、粗動を使わずに微動だけで追い込みたい場合は、このマクロレールでは非常に時間がかかる。というくらいでしょうか?
ARCA-SWISS X-テーブル
最後に紹介するのはアルカスイスのX-Tableです。すでにベストバイが出ているのに何故?と思われるかもしれませんが、これはアルカスイスから出ているのに「アルカスイス互換」ではないので、番外編的扱いです。
アルカスイス社は随分早い段階でアルカスイス互換を半分捨てており、新しい規格「fix」を採用しています。このX-テーブルもfix規格のレールで作られていますので、通常のアルカスイス互換のシステムでは使用できません。
前後左右の微動が可能で、ロック機能も搭載されています。ロックが解除されていれば、スライドさせて粗動できます(推奨はしません)。微動幅はKIRKよりも大きく、目的の場所まで素早く微動で追い込めます。ギアが細かいため、かなり細かい調整も可能となっており、微動機能ではもっとも優れています。剛性面・安定性ではKIRKやReally Right Stuffに少し劣ります。
価格は送料込みで450ポンドと、雲台オタクな私でも結構悩むお値段。またロバートホワイトではfixクランプバージョンしか販売されていないため、クランプを換装できない人にとってはハードルが高いです。
関連動画
まとめ
アルカスイスのX-Tableの格好良さと使いやすさが個人的には一番気に入りました。これで汎用のアルカスイス互換であれば、お勧めできたのですが、fix仕様というのが残念でなりません。
総合的にマクロレールの中で一番のお勧めはKIRKのFR-2です。僅差ではなく圧倒的に優れています。剛性に優れ、微動中のガタがほとんどなく、微動量が細かく、粗動もできて、クランプの向きを変更可能で、さらに格好良いのです。価格以外でこれを選ばない理由はないと思います。


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