2004年5月に発売されたReally Right Stuff(以下RRS)のBH-55が今年の5月で20周年を迎えました。
いやーめでたい!
今回は成人記念ということで今なお色褪せないBH-55の魅力について語りたいと思います。あ、いまは18歳が成人でしたっけ?
BH-55とは?
BH-55はRRS社が販売している自由雲台のフラッグシップ機です。初めて世に登場した2004年5月から20年、ほとんど姿を変えず今日に至ります。
しかし私が初めて購入した頃のBH-55は、完成度・操作性ともに当時ARCA-SWISS社が販売していたZ1と比べて、明らかに劣っていたというのが正直な感想です。また当時のRRSのレバークランプは他社製プレートとの互換性問題を抱えており、万人に勧められる製品ではありませんでした。
しかしこの20年間、見た目こそ変化は無いものの、着実に進化を続け、製品クオリティを高めてきました。その結果、現在のBH-55は初期のBH-55とは似て非なるもの、はっきり言って別物です。
さらに互換性問題を完全にクリアしたARCクランプも発売された今、BH-55は(大きさ・重さ・価格に問題なければ)万人にお勧めできる素晴らしい雲台へと進化した。私はそう思っています。
BH-55を推す10の理由
「お勧めします」って言われても一体何が良いのか分からなかったら$ 585なんて大金払えませんよね。
この項目では他社の自由雲台と比べて一体何が優れているのか、私がBH-55を押す理由について、10個に分けて説明したいと思います。
①メインノブが握りやすい
まず、もっとも使用頻度が高い部分である「メインノブ」。大きさは程良く、グローブ装着時であっても難なく操作できます。円錐台型の形状は、弱い力でも力を込めやすい形状となっています。滑り止めのゴムなどが無いため経年劣化しにくい点も評価します。
②約90度のノブ操作でロック/アンロックができる
約90度メインノブを回転させるだけでボールをロック/アンロックできます。これにより素早い構図変更が可能です。
固定の終点が分かりにくい、いわゆる「バカ締め」できてしまう他社製品と比較しますと、「締めた」「緩めた」という感覚が分かりやすくテンポ良く撮影できると、個人的に感じています。
③ドロップノッチが2ヶ所ある
搭載した機材を90度傾けるための溝(ドロップノッチ)が2ヶ所あります。これにより下方向/上方向のどちらにも素早く構図変更が可能です。
④ボールサイズが55mm
自由雲台は構造が同じであればボールが大きい方が耐荷重が増し、安定性能が高まります。しかし大きくなれば重さも増してしまうため、ただ大きければ良いという話しでもありません。
価値観・意見は人それぞれ異なると思いますが、あくまでも私個人的には雲台だけの重量が1kgを超えた辺りから、非常に可搬性が悪くなると感じます。
ARC-LRを装着したBH-55であれば、重量は848gですので、やや重いものの許容範囲と思っています。
⑤フリクションコントロールがなめらか
機材の重量に合わせたフリクションコントロールができます。ARCA-SWISS社と比較しますと調整はシビアではあるものの、Acratech社に見られるような調整後の引っかかりも無く、ボールの動きは非常になめらかです。
⑥滑らかなボール
自由雲台はボール及びボールを固定する側の材質や塗膜、表面処理やそれぞれの工作精度などにより、動きや固さや滑らかさに大きな差が生まれます。
特にある程度フリクションを大きくした状態だと、その差はより顕著となります。
BH-55のボールの滑らかさは、初期こそイマイチだったものの、年々良くなっており近年では1、2位を争うレベルに達しています。
⑦ボールロック時のズレの少なさ
自由雲台はその構造ゆえ、ボール固定時にわずかなズレが生じます。BH-55もその宿命からは逃れることは出来ませんが、しかしながらそのズレは非常に小さく抑えられています。
ARCA-SWISS・KIRK・Acratech・Gitzo・Markins・SIRUI・Velbonなどたくさんの自由雲台と比較した結果、もっとも固定時のズレが少なかったのがBH-55でした。
⑧パンロック時のズレの少なさ
パンのロックでもズレが起こる雲台があります。上方向にズレるものもあれば、回転方向にズレるものもあります。圧倒的に優秀だったのはARCA-SWISS Z-1+でしたが、BH-55はその次に良好な結果でしたので健闘したと言えます。
⑨いろいろな種類の中から好きなクランプを選べる
5種類のクランプと三脚ネジタイプ、好みや予算で合計6種類の中から選んで購入できます。他社製品との互換性を重視し、なおかつスピーディな脱着を希望される方にはARC-LR レバーリリースクランプをお勧めします。
水準器が付いていない点は残念という声がありますが、丸型気泡式の水準器がクランプに付いていようがいまいが、パンニングクランプじゃ無い限りほとんど意味は無いと思います。
⑩当たり前の事が当たり前にできる
●いつ何時、春夏秋冬あらゆる環境下で、スムーズに作動・固定できる。
●真上・真下に向けて撮影したい時に何も考えずに構図を決定できる。
●メインノブ・フリクションコントロールノブ・パンノブ、すべてのノブの大きさや形状が異なる。
上記は雲台であれば当たり前の事です。何を言っているんだ?と言われそうですが、しかし現実はどうでしょう?
気温が下がるとボールが固まって動かなくなったり、レンズを上空に向けるという非常なシンプルな操作に手間取ったり、機能は異なるのに大きさや形状がそっくりなノブに混乱したり…
こういった苦い経験をお持ちの方って結構いらっしゃるのでは無いかと思います。
当たり前の事が当たり前にできる雲台って実は意外と少ないのです。
この当たり前の事が当たり前にできることを実感させてくれる雲台。BH-55もそのひとつです。
まとめ
さて生誕20周年を記念してBH-55の推しポイントを10個ほど書いてみました。
製品である以上、個体差はありますし、製品の良さや感じ方には個人差もあるでしょう。
もちろんBH-55に短所が無いとも言いません。
しかしそれでも私が知る限り最高の自由雲台のひとつである事に間違いありません。
もしこの記事を読んで購入を検討してみようかなと思った方は、RRS公式サイトで詳細をチェックしてみてください。(購入する場合はB&Hの方が送料が安いかも)
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