今回もマニアックな記事になります。
誰かひとりでも心に刺されば良しとしましょう。
カメラネジの規格
カメラネジには1/4インチサイズ(細ネジ・UNC1/4-20)と、3/8インチサイズ(太ネジ・UNC3/8-16)の2種類があります。
現在市販されている一般的なカメラの底面にある三脚ネジ穴は1/4インチです。
三脚と雲台を接続するネジは、1/4インチか3/8インチネジのどちらかが使われています。
ネジの大きさが異なる場合は当然取り付けできません。
しかし、三脚が細ネジで、雲台が太ネジ。という場合は「ネジ変換アダプター」を使ってサイズ変換することができます。
このネジ変換アダプター、お持ちの方はご存知だと思いますが、大抵はマイナスの溝が切ってあります。しかし微妙な幅があるせいで普通のマイナスドライバーでは幅が足りませんし、コインだと溝が狭くて入りません。仕方なく指でネジネジして入れている人が多いと思います。
この変換アダプターにピッタリの工具が、スタジオJinさんで販売している変換アダプターの付属工具です。
これ本当、めっちゃ回しやすいです。日本製なのでお値段はちょっと高めですが、もし変換アダプターを買う予定があるなら、この工具目的でこちらを選んでも損はないと思います。
カメラネジと言っても種類は様々
さて、話しはカメラネジに戻りましょう。
私の手元にある中からいくつか並べてみました。カメラや三脚座にクイックシュープレートを接続する目的のカメラネジだけでも、これだけたくさん種類があります。
ちなみにケンコートキナーさまによると、カメラネジの長さって「JIS/ISO規格」で定められているそうです。
ネジの長さは4.5mmと規定されており、長さが長いとカメラの底部を破損し、動作不良を起こすことがあります。なお、カメラ側の雌ネジの深さは5.5mm以上と規定されております。
ケンコートキナーさま、大変参考になりました!いつもありがとうございます!
ネジの頭には規定がない
ネジの太さ(呼び)や長さに関しては規定が設けられているのに対して、頭の形状に関しては規定がないようです。
そのため、サイズや形状がバラエティに富んでいます。
マイナス式(コイン式)
この中で、もっとも多くカメラネジの頭に使われているのは「マイナス式」だと思います。
コイン式とも呼ばれていて、硬貨でネジを回すことができる点がメリットですね。しかし少し奥まった所で締める場合、硬貨が当たってしまうのでまったく締めることができません。
そこでコインドライバーと呼ばれている工具があるのですが、刃先がRになっておりカムアウトしやすく、マイナスの形状がRになっているもの以外はお勧め出来ません。
通常のマイナス式の場合、お勧めしたい汎用工具は PB SWISS TOOLS のスタビーマイナスドライバー 10.0X1.6mm 8135-6-30 です。
私はそんなに力が強い方ではありませんが、ギュッと締め込んだ時の締め付けトルクが「3.18N.m」でしたので、カメラプレートを脱着するには適切な工具といえます。(私が思う適切な締め付けトルク は2.7N.m)
逆にマイナスの形状がRになっているものはコインドライバーじゃないと、すぐにカムアウトしてしまいます。
コインねじにはアネックス(Anex)のAHC-1511が刃先が厚いのでカムアウトしにくいです。
Rをもう少し緩やかにしたかったので、ヤスリで調整しています。ヤスリはツボサンのブライト900エクストリームを使いました。
手回し式
次に多くカメラネジの頭に使われているのは「手回し式」だと思います。
ハンドルが折りたためるようになっているものが多く、上の画像のもののようにマイナス式や六角穴式と併設されている場合もあります。
しかし手回しで2.7N.mものトルクをかけられるのでしょうか?
この疑問を解決するべく検証したところ、指に跡が付くくらい力を込めて回しても、「2.0N.m」に届くかどうかという結果でした。
もちろん私よりも力が強い人であれば達すると思いますが、私のように非力な方だとちょっと締め付けが足りないという事になります。
そこでお勧めしたい工具がこちら、Ko-kenの3119-3X5 3/8sq. 蝶ネジ用ソケットレンチ です。
この溝に手回し用ハンドルを差し込んで回せるという工具です。
手で回す何倍もの力で回せますので、くれぐれも締め過ぎにはご注意ください。
六角穴式
機種専用プレートなど少し専門的な機材になると多く見られるカメラネジが六角穴式です。
こちらに関しては六角レンチを使うのが一番良いでしょう。
わざわざ六角レンチなんて買わなくても付属してるのに…
という声が聞こえてきそうですが、付属工具はあくまでも「オマケ」です。
品質が良いとは限りませんので、やはりここはきちんとした工具メーカーから販売されている六角レンチを使うことをお勧めします。
また同じようなサイズの六角穴に見えても、アメリカメーカーとその他の国のメーカーとでは規格が異なる場合があります。
アメリカメーカーの多くは「5/32インチ」で、その他の国のメーカーが「4mm」であることが多いです。どちらでも使えてしまうくらい微々たる大きさの差ですが、完璧を期すなら2本とも揃えておくと良いでしょう。
個人的にはWeraの六角レンチがお勧めです。
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マイナス式と六角穴式が併設されている場合
たまにマイナスと六角穴が併設されている頭のカメラネジがあります。さらに手回しハンドルまで付いているものもあります。
こういったネジの場合は、マイナスよりも六角穴の方がカムアウトしにくい(≒舐めにくい)ので、六角レンチで開け閉めしてください。この場合も多くは「5/32インチ」もしくは「4mm」の六角穴であることが多いです。
マイナス式の六角ボルトになっている場合
古いアルカスイスのプレートは頭が六角ボルトになっている場合があります。サイズは11mmが多いです。
そういう場合はマイナス式になっていても、いえ仮に六角穴式だったとしても、六角ソケットレンチを使用しましょう。
ソケットレンチを使ってほしい理由は、もちろんもっとも舐めにくいからです。
カメラプレートの場合、ネジの頭が奥まった所で固定しますから、メガネやスパナやモンキーでは脱着できません。またプレートによっては肉厚なソケットでは入らないことがありますので、できれば肉薄なソケットを選びましょう。
私はKTC ネプロスとKo-kenのソケットを愛用しています。
しまった!六角レンチを忘れた!って時のために
さぁいよいよ撮影!という時に六角レンチを家に忘れてきた!ってことがありますよね。
また三脚に取り付けようという時にプレートが緩んでいることもありえます。
こんな時に泣かないために、自宅の鍵にキーホルダーとして六角レンチを付けておくことをお勧めします。
まず実際に私がキーホルダーにつけているのがPeek Designのキャプチャーの付属工具です。こちらには二重カン(リング)が付いていますので、簡単にキーホルダーに取り付け可能です。
真ん中のキーリングにビットが通ったアイテムはProMediaGearのKeychainMulti-Toolです。B&Hで9ドルで購入可能です。
一番右側のアイテムはこれまたPeak Designのトラベル三脚ツールキットです。2.5mmと4mmの六角レンチになっており、キーリングが通るホールがあります。
お値段はそこそこしますが、見た目も良いので満足度は高いと思います。
さて今回の「カメラネジを脱着するための工具まとめ」は如何だったでしょうか?
工具に詳しい方でも知らなかった工具もあったのではないか?と思います。
どれも素晴らしい工具ばかりですので、ぜひカメラネジの工具選びで困ったら参考にしてみてください!
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