部屋で商品を撮影した写真を見てみると「あれれ?色がおかしいぞ」ということはありませんか?それだけならまだ良いのですが、同じ光源で撮影しているはずなのに、写真によって色が異なることもあると思います。
今回はそういったトラブルが起こらないようにするための対策と、Lightroomを使って【簡単に】正しい色を再現する方法を書きたいと思います。
同じ条件なのに、カットごとに色や明るさが異なるワケ
シャッタースピード、絞りなどのカメラの設定を変えなければ、写真の色味・明るさが変わらないと思っているならば、それは安易な考えです。
窓から差し込む太陽の光や街灯、部屋の中のTVの光によって、写真の明るさや色味に影響を与えることがあります。
そして蛍光灯。蛍光灯はずっと光っているように見えますが、実際は点滅を繰り返しています。詳しい説明は長くなるので、すぐ知りたい方はググってもらうとして、その点滅は、東日本だと1秒間に100回点滅しています。いわゆるフリッカー現象と呼ばれる現象で、明滅のタイミングにより、明るさや色が変わってしまいます。フリッカー現象は「シャッタースピードを1/100秒より遅く」して回避することができます。
オートホワイトバランスが暴れることもあります。オートホワイトバランスとは様々な環境で、人間の肉眼に近い自然な発色になるように、カメラが自動で色補正してくれる仕組みのことです。ほとんどのカメラでホワイトバランスの設定は初期設定でこのオートホワイトバランスに設定されていると思います。しかしオートと言っても万能な訳ではありません。ちょっとした環境光の変化でも、オートでホワイトバランスを変えてしまうので、色味が変わってしまうのです。
撮影の環境を整える
以上の原因を排除するために、最低限、以下の撮影条件を整えることが重要となります。
・TVを消したり、カーテンを閉める。
・窓際で撮影しない。
・ホワイトバランスをオートにせず、適切なシーンや数値に固定する。
・蛍光灯下で撮影するならシャッタースピードを1/100以下に設定する。
・ストロボが使えるなら部屋の照明をすべて消す。
・同じ光の環境下でグレーカードかカラーチャートを撮影する。
TVや窓から入ってくる光は撮影結果に大きな影響を及ぼします。影響が最小限で済むように、TVを消したりカーテンを閉めましょう。窓際で撮影するのは1枚なら雰囲気があって良いのですが、連続で何枚も撮影したい場合は、色や明るさがばらけてしまい、後で補正が大変になります。
ストロボが使えるなら、それが一番理想的です。TVを消し、カーテンを閉め、部屋の照明も消してしまって、ISO100、絞りをF8、シャッタースピード1/100に設定すれば、ファインダーは真っ暗になると思います。つまりほぼ環境光に左右されることなく、ストロボ光のみで撮影が可能となる訳です。
Lightroomで【簡単に】補正するために、グレーカード(ホワイトバランスカード)やカラーチャートが必要です。それらを同じ光源・同じ環境下で1枚、撮影しておいてください。銀一のグレーカードは2枚入り2000円くらいで、品質も良く、表面は反射率18%で RGB要素が全く入っていないグレー(露出補正用)。裏面が反射率50%のライトグレーで、こちらがホワイトバランス用。
では早速撮影していきたいと思います。

左から2500K、5500K、10000Kのホワイトバランスで撮影。
ライティングは斜め上からモノブロック、斜め下からクリップオンストロボの2灯です。どれも実際の色とはかけ離れています。次にこちらが同じ環境下で撮影したグレーカードです。

こちらも左から2500K、5500K、10000Kのホワイトバランスで撮影。
ホワイトバランスを簡単に補正する
それではLightroomを使って補正してみましょう。
グレーカードが写っている写真を現像モードにし、ホワイトバランス選択のスポイトツールでグレーカードを選択します。
カードの上にスポイトを合わせてクリックするだけで、あっという間に補正されました。簡単ですね。
次にこのホワイトバランスの補正設定をコピーします。キーボード「⌘+C」です。
ホワイトバランスにチェックが入っていることを確認して、コピーをクリックします。次に設定をペーストしたい写真に変更し、ペーストします。「⌘+V」ですね。
少し黄色被りしていますが、まずまず良い感じに再現できていると思います。
では次にカラーチャートで補正みましょう。私が使っているのはX-Rite社のカラーチェッカーです。
こちらをLightroomのX-Riteプリセットで書き出し、カメラキャリブレーションで作成したプロファイルを適用します。プロファイルを読み込むために一度Lightroomを再起動する必要があり、少し手間がかかります。
手間はかかるとは言え再現性はピカイチです。グレーカードで気になった黄色被りもありません。一番補正が難しい2500Kの撮影結果で比較してみましょう。

左が元画像。真ん中がグレーカードで簡単補正。右がカラーチャートで補正。
グレーカードでは色温度がやや高く(イエロー寄り)、色被りは低く(マゼンダ寄り)設定されますので、色温度を100〜300、色被りを+2くらい、スライダーで微調整してやると、色の再現性が高まると思います。
まとめ
さて部屋の中でたくさんの商品を撮影したい場合などは、今回のように一手間かけて撮影すると、現像するときに確実に時間短縮できます。また色の再現性が高く、正しい色で商品の魅力を伝えることができます。
ただし注意してほしい点はグレーカードやカラーチャートには使用期限があるということです。いずれも約2年ほどが期限となっていますので、コストパフォーマンス的にもグレーカードを推したいと思います。


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