カメラにとって最大の天敵は湿気。そして今年も梅雨シーズンの到来です。梅雨対策の機材をご紹介したいと思います。でも…
雨の日にしか撮れない景色があるのに撮影しないなんて勿体ない!
しかし機材を雨に濡らしてしまったら??
レンズやカメラにカビが生えてしまったらどうしよう!最悪の場合、壊れてしまうかも!
「もう面倒くさいから雨の日は撮影はやめよう」という結論に至ったとしても仕方がありません。今回はそんな悩めるあなたに、梅雨の撮影を少しでも楽に乗り切る方法を書きたいと思います。
湿度が高いとなぜいけないのか?
湿度が高いことによって引き起こされるトラブルは様々あります。
機材にとって怖いのは何と言ってもカビです。こちらも気温20度、湿度60%を超えたあたりから一気に繁殖しますから、今からの時期は最も要注意です。なるべく気温が低い場所で保管し、湿度40〜50%程度に管理することが重要となります。
自宅で長期間保管する場合はドライボックスとシリカゲルの組み合わせや、防湿庫で保管するとカビから大切な機材を守ることができます。
ただしドライボックスに付属で付いているような湿度計はあまり精度が高くない場合があります。上の画像を見ていただければ分かると思うのですが、同じ条件下で指している湿度が全く異なっています。このデタラメな数値を信じて除湿してしまうと乾燥し過ぎになってしまったり、逆に湿度が高すぎる環境になってしまう可能性があります。湿度が高いとカビの原因になりますが、乾き過ぎもあまり良くありません。機材のグリスを乾燥させてしまったり、レンズのバルサム切れを起こす原因となると言われています。
値段は1500円〜2000円程度でも精度の高いものがあります。湿度計はきちんとしたメーカー製の物を使いましょう。
ある程度機材が増えてきたら、防湿庫を買うことをオススメします。私の中で防湿庫は機材の優先順位として、かなり上位です。機材の総額が10万円を超えたあたりが購入の目安かな?と思います。防湿庫の大きさはそれなりに大き目のものを選んでおいた方が将来絶対に良かったと思うはずです。後悔しないためにも、最低でも50Lは欲しいところです。品質・安全面で国内メーカー製をお勧めします。
まずは濡らさないこと
最近のカメラやレンズは防塵防滴仕様になっていることも珍しくありません。しかし防塵防滴だからと言って絶対に濡らして大丈夫というわけではありません。
最近のカメラが水滴に強くなっているというのは事実だと思います。私自身、そう実感しています。少々の雨の中で使ってもそれが原因で故障したことはありません。
しかしほとんどのメーカーが保証しているのは防滴であり防水ではありません。防滴とは水滴が入るのを防ぐことです。たとえ小雨であっても雨を水滴とは言わないでしょう。つまり小雨で使用した際に故障したとしても、それは保証の範囲外になってしまうということです。
神経質になる必要はないかもしれませんが、まずは濡らさないように心がけましょう。
そしてあえて雨の中、撮影に行く場合はカメラ用のレインコートを用意することが大切です。
ナイロン袋(ビニール袋)を持っておこう
家を出る時には降っていなかった雨が、突然現場で降り出してしまうことがあります。雨の予報ではなかったらカメラ用レインカバーを忘れることもあるでしょう。
そんな時、カメラバッグにナイロン袋を忍ばせておけば、大幅に故障のリスクを減らすことができます。
使い方はとってもシンプルで、ナイロン袋にボディを入れて、口とフードをパーマセルテープで止めたら完成です。あるゆる部分が透けているので、視認性が抜群です。ナイロン袋が薄いので各ボタンの操作が、専用のレインカバーに比べてめちゃくちゃ容易です。
しかし1枚だとかなり弱いです。操作していると爪を引っ掛けたりして少し傷が入って破れてしまうこともあります。2重にしておく方が安心です。あと当たり前ですがカード交換やバッテリー交換は出来ません。レリーズケーブルや水準器もあらかじめ装着しておく必要があります。それとやっぱりかなり蒸れます。これはもう仕方がないですね。
レンズ保護フィルターは必須
雨の中で撮影していると雨粒を拭き取ることとの戦いとなります。絶えずゴシゴシ拭き取りますのでレンズフィルターは絶対に付けておいた方が良いです。レンズクロスも必須です。吸水性の良い物を3〜5枚くらいは持っておいた方が無難です。ボディ用にタオルも数枚は持って行きましょう。
ちなみにレンズ保護フィルターの可否について、しばしば論争が起こりますが、私は保護フィルター肯定派です。愛用しているのはケンコートキナーのZéta Quint プロテクターです。
そしてこの論争についてメーカーはどのように考えているのか、ケンコートキナーの中の方にご意見を伺いました。その回答をご紹介したいと思います。
いつどこで使用するにも、キズや汚れからレンズを守るために保護フィルターは必要と考えます。
その理由は、レンズのコーティングは非常に繊細です。カメラを使う度にレンズを拭けばそれだけ拭きキズがレンズに蓄積されてしまいます。
保護フィルターをつけておけば、レンズ清掃による拭きキズを極力減らすことができ、レンズはずっときれいな状態を保つことができます。
また使うべきでは無いシーンもございます。例えば効果フィルターを使う時。無駄にフィルターを重ねると、ケラレが生じたり、フレアーやゴーストが発生しやすくなるからです。
また極端な逆光でフレアーが出る時は、フィルターを外した場合に多少軽減することはあるかもしれません。
なるほど!フィルターをつけた際の光学性能への影響よりも、フィルターを付けなかった際のレンズの拭き傷の劣化による影響の方が大きい。 目に見えてフレアやゴーストが発生する時と、他のフィルターを使う時以外は付けていた方が、長い目で見た時に、良い撮影結果が期待できる。ということですね!大変参考になりました。お忙しい中、ご対応いただきましてありがとうございます!
というわけで、頻繁に水滴を拭く必要がある梅雨時期には絶対に保護フィルターを付けておいた方が良いと当ブログでは結論させていただきます。
ちなみに私が愛用している「Zéta Quint プロテクター」ともうひとつ安いラインの「Zéta プロテクター」に光学性能の差はあるのか?もついでに聞いてみました。
Zéta Quint プロテクターとZéta プロテクターは、同等の反射防止コートを採用しているため、写真で判別できる光学性能の差はありません。 zeta quintがZetaより優れている点はガラス・枠の強度と撥水・撥油性能です。
とのことです。撥水性能が高いとのことですので、梅雨時期はやはりZéta Quint プロテクターを選んだ方が良いのかもしれません。倍ほどある価格差が悩ましいところですが…。
雨に強い三脚と雲台
三脚も絶対にあった方が良いです。まず雨の中、カメラを地面に置くことは困難です。手も空きにくい状況ですから、カメラ置き場としても重宝します。そしてどうしても天気が悪いとスローシャッターになりがちです。三脚があればシャッタースピードを落として撮影することが可能です。
ただし三脚や雲台も雨に濡れると操作性が悪くなる場合があります。また帰宅後メンテナンスが必要となります。
そこで毎年この時期になると必ずご紹介しているセットがGitzoの三脚とアクラテック(ACRATECH)の自由雲台です。ご覧の通り、水で丸洗いできる構造で、しかも濡れていても操作性はほとんど変わりません。Gitzoの三脚はほとんどのモデルがメンテナンス性が高く、掃除しやすいのが特徴です。また近年のモデルはそもそも水や埃が混入しにくいロックナットが採用されていますので、非常におすすめです。
逆に雨にもっとも向いていないと感じた三脚がHusky三脚です。分解が超面倒な上に、一旦内部に水が入ってしまうとなかなか抜けてくれません。
そして雲台ではアルカスイス(ARCA-SWISS)Z1+も悲惨です。ボールと受け皿の間に水が侵入してしまうと、著しく操作性が悪くなります。
また内部機構がほぼスチールでできているのでサビてしまう可能性も高いです。この時期、アルカスイスZ1ユーザーはいつも以上に扱いに注意してください。
いわゆる傘ホルダーは危険
自転車用の傘ホルダーを三脚用に使っている方をたまに見かけます。またそれとよく似た機構の三脚用のアンブレラホルダーも販売されています。
実は私も買って使ったことがあるのですが、風が強い日に煽られてあわや転倒!という経験をしてから、誰にも勧めないようにしています。その時はカメラを乗せていなかったので、三脚が少し傷ついたのと、傘の骨が折れただけで済みましたが、カメラが乗っていたら大損害だったかもしれません。レンズが濡れないように傘をさしたい時は手でさすようにしてください。
まとめ:濡れた後のケアも重要
カメラやレンズは濡らさないことも重要ですが、濡れてしまった後の処置も重要です。機材が濡れてしまった場合はタオルでしっかり水分を拭き取ったあと、ビニール袋やジップロックなどにカメラやレンズを収納し、シリカゲルを大量に放り込んでしばらく密封すると良いでしょう。ただしそのまま忘れてしまって長期間放置しちゃった!なんてうっかりミスをしないように注意してくださいね!
梅雨時期の撮影を楽しむために、しっかり雨対策、湿気対策をしましょう!
※当記事は過去に書いた記事のリライトです。
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