雲台と言えば自由雲台が世界標準ですが、日本では自由雲台と人気を二分している3WAY雲台。今回は3WAY雲台についての私の意見やお勧めを書きたいと思います。
3WAY雲台とは
3WAY雲台とは3方向(前後・左右・回転方向)を個別で操作できる雲台です。他にもワンハンドルで前後左右を操作できる2WAY雲台や、パン機能が2箇所ある4WAY雲台も、3WAY雲台に含める場合が多いです。
3WAY雲台といえば風景写真と言われるくらい、一部の風景写真家に絶大な人気があります。その理由は水平を重視する撮影だからです。良い構図が決まって、あとは水平だけきちんと合わせれば!という時に自由雲台だと、せっかく決まった前後の構図までズレてしまう可能性があります。3WAY雲台だったら水平方向に単独で構図変更ができるので、ストレスフリーで操作できるというわけです。
3WAY雲台の短所
3WAY雲台にとって苦手なことは、スピーディな構図変更です。例えば突然現れた野生動物に対してレンズを向けたい時に、自由雲台と比べるとどうしてもスピードに劣ります。
操作をパン棒によって行うことが多いため、自由雲台と比べると大きく飛び出していることが多いです。そのためバッグに収納しようとしても邪魔になって入らなかったり、移動する時に飛び出したパン棒が周囲の人にぶつかるなどの事故につながる可能性があります。
小型軽量に作ってある3WAY雲台もありますが、構造上、固定力を保持するためには自由雲台より大きくなることが多い傾向があります。
日本国内でガラパゴス的進化を続けてきた3WAY雲台は、アルカスイス互換製品がほぼありません。最近でこそSIRUIやGITZOなど海外メーカーが3WAY雲台を作り始めたので少し増えましたが、5年ほどさかのぼると皆無な状態でした。SLIKやベルボン独自のクイックシューを使うか、三脚ネジで止めるしかなかったので、アルカスイス互換に移行する際に3WAY雲台から離れていく人が多かったように思います。
以上、4点が3WAY雲台の短所だと思います。
3WAY雲台の選び方
多くの3WAY雲台に見られる割り締め方式の固定方式を採用した雲台は避けてください。割り締め方式とは、ハンドルの締め付けによって、外部の固定具を動かして締め付ける方式です。そのため固定具の動きに連動して、若干構図がズレてしまうことが多いのです。
対して雲台内部のコマをハンドルの回転で動かして、固定する方式がコマ締め方式です。緩めても、締めても雲台外面は動かないため、構図のズレは最小限で済みます。同じ価格帯であれば自由雲台の固定時のズレよりも小さい場合が多いです。
雲台選びにおいて大きさと重さが重要です。移動が車が多いのか、公共機関が多いのか、によって決定すると良いでしょう。パン棒が収納できるタイプだったり、一見すると自由雲台そっくりなモデルもあります。ひとくちに3WAY雲台といっても種類は様々ありますので、しっかり調べてみてください。
アルカスイス互換である重要度はあまり高くありません。アルカスイス互換で性能が悪いモデルよりも、性能の良いモデルにクランプを付けてしまえば良いと思います。
超おすすめの3WAY雲台
現在、私が使っている3WAY雲台は、Husky雲台と、プロスパイン P-N75ALPです。
いずれもノーマルではなく、ハスキーの方はスタジオJinモデルで、プロスパインに至ってはもはや原型を留めていません。
とはいえハスキーのスタジオJinモデルを勧めているわけではありません。普通のハスキー雲台にクランプを付ければ全然問題ありません。
ハスキー雲台の魅力は何と言っても固定力です。ロングプレートを装着して、プレートの端に体重をかけてようやくお辞儀するというくらいの固定力です。静荷重100kg(動荷重10kg)は伊達ではありません。操作が直感的で分かりやすいと思います。何より海外製品のように価格が高すぎないところもGOOD!中古市場も充実していて、クランプと合わせて2万円あればお釣りがくることも多いでしょう。いまどき珍しい純国産雲台で、品質が良くて部品も充実していて、サポートを受けやすいと良いことずくめです。
欠点は重くて大きいというところです。がこの重さと剛性が、猪が多い神戸の山では心強い存在です。(過去に本当にHuskyで追い払ったことがあります)
大きく重いと言われることが多い3WAY雲台ですが、プロスパインのP-N75ALPは超小型軽量で、そこらの自由雲台よりも小さく軽いです。上の写真でも伝わると思いますが、どノーマルな状態であればこんなにミニマム!折りたたむとレバーも邪魔になりにくくなります。
プロスパイン雲台は固定力も最強です。同サイズであればハスキー雲台と互角と言えるでしょう。このサイズだと流石にハスキーに劣りますが、それでも並みの自由雲台に負けない固定力です。デザインも最高に格好いいですね!
ただしプロスパイン雲台には欠点がたくさんあります。一番の欠点は価格で、さすがにちょっと高すぎますよね。よほど惚れ込んでいる人以外は受け入れ難いでしょう。
このメーカーは改造に関して非常に寛容です。改造を嫌がるメーカーが大多数の中、かなり積極的に引き受けてくれるメーカーですので、良い案があるユーザーならかなり使いやすくカスタムできると思います。
3WAY雲台が好きなら両方買えっ!
ごめんなさい冗談です。プロスパインはマニアだけにお勧めします。やっぱり万人にお勧めしたいのは、値段よし!性能良し!時には身を守れる最強の雲台Husky雲台です。
3WAY雲台を試してみたいと思っている方は、ぜひ一度大型カメラ店などで触ってみてください。
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