世の中新型コロナの影響でとんでもない事態になっていますね。自分は大丈夫だろうという根拠のない自信や、人がいない場所なら良いだろうという甘い考えがふと頭をよぎりますが、万が一罹患して、他の人や愛する家族に移してしまったら?
桜の撮影に行きたい時期ですが、桜は来年も咲きます。こんな時くらいは不要不急の外出は自粛して、必要な外出以外は控えるべきと思います。
それに自粛中でも撮影できるのが写真という趣味の素晴らしいところです。そうブツ撮りすれば良いのです。これからちょこちょこと企業秘密というほどでは無いですが、何となく秘密にしてきたブツ撮りのテクニックや、便利なアクセサリーを小出しにしていきたいと思います。一気に書くとネタが尽きるので、あくまでも小出しです。
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自宅でブツ撮りは意外と難しい
いきなり出鼻をくじくようですが、実は自宅でブツ撮りをするのは結構難しいのです。なぜかというと、部屋が狭く、天井が低いからです。
それはなぜか?理由は二つです。
- セッティングにスペースが必要
- 光が壁に反射して被写体に意図しない光が回ってしまう
まず1.ですが、本格的なブツ撮りをしようと思うとストロボ(モノブロック)やトレーシングペーパー、バックペーパー、アンブレラ、ライトスタンド、バンク(ソフトボックスやディフューザー)、レフ板(白黒カポック)、撮影台など、セッティングだけでも大掛かりになります。このアクサセリーを単に並べるだけでもそこそこ広いスペースが必要だということが分かりますね。
これをきちんと綺麗な光が当たるようにセッティングすると、500㎖ペットボトルの切り抜き用写真を撮影するだけで、六畳一間くらいのセッティングになったりします。しかし自宅のお部屋を大きくできません。そんなテクニックがあれば私が教えてほしいくらいです。
2.は天井バウンスというライティングがあるように、狭い部屋だとストロボ光が室内の壁に反射して、被写体に光が回ってしまいます。たまたま回った光が良い方に作用することもありますが、逆もあります。が、そもそも運に頼ったライティングはすべきではないでしょう。
このように部屋のスペースが狭いと機材を減らすしかありませんし、光の回り込みを防ぐこともできません。狭い部屋では広いスタジオ撮影と同じクオリティの写真を撮るのは難しいということを、まず初めに理解しておいてほしいと思います。
まずはブツ撮り初心者から卒業しよう
雑誌やカタログに載っているようなプロが撮った完璧な写真を、自宅で再現するのは極めて困難です。逆に考えれば上手くいかなくて当然なんですから、気楽な気持ちで始めてみてください。
まずはネットでよく見るブツ撮りからやってみましょうか。
よく見かけますよね。白のバックペーパーを撮影台に垂らして、クリップオンストロボを白い天井にバウンスさせて撮影するという方法です。
私も面倒臭くてよくやってしまいます。撮ったあとでちょちょいとPhotoshopで補正すれば…という甘い考えでつい手を出してしまうのですが、結局いつも後悔することになります。
せめて被写体を真正面にしろよという声が聞こえてきそうですが、それを差し引いたとしても酷いですね。。こんなのPhotoshopで直してたら日が暮れてしまいます。決して手間暇が一切かかってない訳ではないのに、このクオリティの低さに愕然としますよね。
まずはこのブツ撮り初心者から卒業しましょう。
そして、やはりある程度の機材を揃えてきちんとライティングしないと良い写真は撮れません。どの機材にどの程度のお金をかけるべきか?という部分も含めて、必要最小限の機材とセッティングのお話をしていきたいと思います。
必要最小限の機材とセッティング
必要最小限とは言っても結構用意するものがあります。どう足掻いてもブツ撮りにはお金がかかるのです。涙をこらえて用意して下さい。
- バック(背景)用機材…バックペーパー・ライトスタンド・ストロボ・無線コマンダー・ペーパースタンド・トレーシングペーパー・パーマセルテープ
- メインストロボ…ストロボ・無線コマンダー・ライトスタンド・ソフトボックス
- 撮影台…台となるもの・天板・グレーのケント紙
- メインストロボ用のソフトボックス(ディフューザーやバンク、トレペでも可)
- 輪郭(エッジ)を立たせるための黒締め用の筒・レフ板
- 切り抜き用の商品撮影であればアクリルブロック
文字で説明するのは限界があるので配置図をご覧ください。
バック❶(一番奥)
まずバックを変更します。私がスタジオ撮影する場合は、一番奥に白黒カポックを配置することが多いのですが、部屋の壁が白ければ代用することができます。壁紙が白じゃない場合は白のバックペーパーが必要です。壁に貼り付ける場合はパーマセルテープが便利です。ちょっとでも安い方が嬉しいという方は、カモ井のマスキングテープ がおすすめです。
バック❷(二番目)
次に1灯目のストロボを、先ほどバック❶(一番奥)に向けて配置します。
バック❸(一番手前)
ストロボを間に挟むようにトレーシングペーパーを吊り下げて配置します。私は突っ張り式の物干し台と物干し竿(細め)を利用して、ペーパースタンドの代用しています。1段に2本竿受けがあるので、物干し台を壁ギリギリに取り付けて、奥にバックペーパー、手前にトレペというようにセットしています。ギリギリですが、2本の竿の間にストロボを置くスペースもあります。私はみんな大好きアイリスオーヤマの物干しセットを2800円くらいで買いました。トレペはSuntech (サンテック) のディフュージョントレーシングペーパー 841mm×10mあたりが使いやすいサイズじゃないかなと思います。
ストロボ・ソフトボックスなどを用意する
今回もっともお金がかかる部分です。しかしブツ撮りのレベルアップを図るためには多灯ライティングは避けて通れません。ですので騙されたと思って買ってください。
カメラから離してストロボを光らせることをオフライティングと言います。オフライティングが可能なストロボを選ぶことが重要です。ストロボは消耗品ですから最初は無理せず中国メーカーの8千円くらいの物で十分だと思います。私はNikon純正スピードライトの他にNissinやGODOXも使っています。
無線コマンダーはGODOXのX1を使っています。赤外線のNikon純正コマンダーSU-800も持っていますが、無線式と違って障害物があると光らないのでおすすめしません。
ソフトボックスはあまり安物を選んでしまうとちょっと光が固かったりするので、ちょっと良いものを買っておくと後悔しないと思います。1万円台で評価の高いものを選ぶと良いと思います。私はCactusのCB-60WとSMDVのSPEEDBOX60を使っています。SMDVの方は非常に気に入っているのですが、経年劣化で傘の芯が一本折れてしまいました。耐久性を重視するならやめておいた方が良いかもしれません。
ライトスタンドはクリップオンストロボ程度なら2000円くらいの安い物で十分だと思います。私はNissinやManfrottoの他にNeewerなど安い中国製のスタンドも使っています。ただし安いライトスタンドはロック部分がプラスチック製であることが多く、強く締めすぎると壊れることがあるので、ほどほどにしておくことが長持ちの秘訣です。モノブロックを使う場合は安物は避けてしっかりした物を選んでください。Nissinのカーボンのライトスタンドもモノブロックには向いていません。
メインライトと撮影台の間にトレーシングペーパーを垂らす
トレパは非常に軽いので、超安物のペーパースタンドやライトスタンドでも構いません。要はメインライトと撮影台の間にトレーシングペーパーを垂らすことさえできれば良いわけです。
撮影台
そんなに大層なものじゃなくても良いです。何なら段ボール箱を積み重ねたって構いません。要は先ほどセットしたストロボの高さ近くまで、高さが稼げれば良いだけです。私は折りたたみコンテナやレンガを使ってます。レンガはグレーのケント紙を貼り付けて使っています。ケント紙は銀一のものをヨドバシカメラで買っています。
しかし段ボール箱に直接商品を置くわけにはいきませんから、最低でも天板は必要です。ホームセンターで厚み1.5cmくらいの木の板(40×60cm)が高くても1000円くらいで売っていますので、それを買うと良いと思います。なるべく反っていない真っ直ぐで、表面も滑らかな板の方が扱いやすいです。
木の色味が光の反射で被写体に影響を与えないように、レンガを巻くのに使ったグレーのケント紙を敷くと良いでしょう。
切り抜き前提の場合はアクリルブロックを用意して撮影台は完成です。アクリルキューブやアクリル板などは「はざいや」さんで購入することが多いです。
黒締め用の筒、レフ板など
黒締め用の筒やレフ板などは自作しましょう。レフ板はA3サイズの片面のり付きスチレンボードと、A3サイズ黒ケント紙があれば、あっという間にレフ板の完成です。レフ板を立てかけておくための小さな箱があれば便利です。おっとっとの空箱なんかに、中に粘土でも詰めてみても良いと思います。
黒締めの筒はバックペーパーのロールの芯みたいなものがあれば、それを40cmほどの長さに切りわけ、これにも黒ケント紙を貼ります。なければチップスターやプリングルズの空き筒に巻きつけても良いと思います。
さて、これで準備は整いました。次回は実際に撮影してみたいと思います。
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