普段からスタジオJinのHPはこまめにチェックしているのですが、今月の12日にハスキー三脚に関する新しいページが追加されていました。
「HUSKYを受け継ぐ-1 オーバーホールのススメ」という内容のページで、大きく3世代に分け、各モデルの適切なオーバーホールについて書かれています。
ハスキーユーザーはぜひご一読ください。
さてこのページの中で非常に気になる一節がありましたので引用させていただきます。
また先ほど「EVポストが勢いよく落下する」と書きましたが、樹脂製のEVリングが上下2本装着されているモデルはきちんと調整されていれば落ちません。クランクギアを回してEVポストを上昇させ、ロックノブを締めなくても自重では落ちないのが正常な状態です。もちろん撮影時にはロックノブで固定しますが、ノブを緩めて上から雲台を押さえるか、クランクギアを逆方向に回して初めてEVは下降します。EVポストにはギアが刻まれているのでどうしても樹脂製のリング側が摩耗しやすいのですが、HUSKYはこんなもんだと思っている方が多い部分です。
この部分を読んだ時に強い違和感を感じたのですが、ちょっと仕事が忙しかったこともあり、その後すっかり忘れていました。
先日、別件でスタジオJinに問い合わせをした際に「ブログネタになれば幸いです」と上の内容の詳細を教えていただきましたので、皆様と共有したいと思います。
ハスキーのEVポスト(センターポール/エレベーター)が怖いよ問題とは
ハスキー三脚のEVポストという部品があります。一般的にはエレベーターとかセンターポールとか呼ばれる高さを微調整するアレの事です。
現在は新品でも調整されて出荷されているとの事ですが、アメリカ時代〜トヨ商事が販売していた頃の製品は完全にスカスカで、ロックを緩めるとEVポストが急降下します。
昔焦って撤収する際に、機材が載った状態でうっかりロックを緩めてしまった事があり、左手の指を挟んだという笑えない事故を起こしています。
幸い10cmも伸ばしていなかったので大事には至らなかったのですが、その痛みは数日間続くほどで、その経験が今なおトラウマになっています。
それ以来、EVポストを扱う時は慎重に作業してきたのですが、今回教わった調整を行う事で「ハスキーのEVポストが怖いよ問題」が完全解決しました!本当に嬉しい!
それでは早速、調整方法をご紹介したいと思います。
調整前に
調整方法の紹介の前に二言三言、注意点をお伝えしておきます。
まずEVポストが急降下するのは欠点では無い。という事です。
以前Xでこの問題についてポストした時に「むしろ素早く上下に移動できて便利」というリプをいただき、言われてみれば確かになるほどと納得しました。
そういった方には今回の調整によって「何だよ使いにくくなったじゃねぇか!」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
次に調整後、いくらロックを緩めても機材が降下しなくなったとしても撮影時にはロックノブで固定してください。ロックせずに使用するとパーツの劣化を早めたり、機材の故障の原因となるばかりか、最悪の場合は思わぬ事故に繋がる可能性もあります。
最後にこの調整方法は現在のメーカーであるスタジオJinから教わった方法である事は間違いありませんが、作業はあくまでも自己責任で行う必要があります。万が一故障しても私もメーカーも一切責任を追えませんので予めご了承ください。
調整するパーツは非常に繊細で壊れやすいです。作業に自信がない方は以下のリンクよりスタジオJinに依頼するのが確実です。
調整方法
さて前置きが長くなりましたので、そろそろ調整に進んでいきましょう。
まずEVポストを引き抜くと三脚ボディ上に白いデルリン※製の5mmのリング(名称はEVリング)が装着されています。※デルリンとは一般的なプラスチックよりも高強度・高機能ないわゆる「エンプラ」の一種です。
さらにガイドパイプ下部分にも同じEVリングが装着されています。
このEVリング取り外します。
次にマスキングテープ・カッティングマットを用意し、カッティングマットの表面の汚れを拭き取り、15cmほどマットのラインに合わせてマスキングテープを貼り付けます。
5mm幅にペンで線を引き、その線に沿ってカッターナイフでカットします。
EVリングの全長はほぼ10cmちょうど。試しに貼り付けてみます。
このEVリングを装着したところ、ちょっとキツかったので、1cmずつカットしながら調整しました。
結局4cmほどカットしたところで良い感じに調整できました。ただもう一方は3cmカットでちょうど良く、さらにもう一本のハスキーは1枚貼った状態では少し緩いくらいでした。
「ゆるければ部分的に貼っても大丈夫です」という事でしたので、もう数cm貼り付けて2本とも調整が完了しました。
これで安心してEVポストを使う事ができるようになりました。
スタジオJin様、貴重な情報をいただきありがとうございました!
なお今回冒頭で紹介したスタジオJinの「HUSKYを受け継ぐ」は「1」とナンバリングされています。シリーズ化されるという事だと思いますので続きが楽しみです。


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