絶対に失敗したくない人のためのギア雲台のご紹介

雲台の中で一番選び方が難しいと思われるギア雲台。値段も高く失敗するとダメージが大きいことも、導入に「待った」をかける一因になっていると思います。

今回はそんな「絶対に失敗したくない人のため」にギア雲台を紹介したいと思います。

ギア雲台は説明が難しい

自由雲台は基本的にカメラ台(もしくはクランプ)、カメラ台を支える首(ステム)、ボール、ボールの動きをコントロールするノブ、パンをコントロールするノブで構成されています。最近の製品には、ボール操作の固さを調整するフリクションコントロール機構を備えたものもありますが、自由雲台といえばだいたいこんな感じです。

しかしギア雲台はメーカーはもちろん、同じメーカーであっても見た目も操作性も様々です。あまりにも共通性がないため、自由雲台のように一例の画像を出して、各部名称を書くことすら出来ません。

つまり「ギア雲台とはこういうものです」と一口に説明できないので、ひとつひとつの製品の調べて選ぶ必要がある訳です。今回は私が知っている限り、ひとつひとつ製品ごとに見ていきましょう。

Manfrotto

ギア雲台と言えばManfrottoというくらい、ギア雲台の大御所です。まず最初にManfrottoを検討する人が多いと思います。現在のラインナップは4種類です。

  • XPROギア雲台 MHXPRO-3WG / 実勢価格は19000円前後 / 耐荷重 4.5kg
  • ギア付きジュニア雲台 410 / 実勢価格は26000円前後 / 耐荷重 5kg
  • ギア付きプロ雲台 405 / 実勢価格は52000円前後 / 耐荷重 7.5kg
  • ギア付き雲台 400 / 実勢価格は82000円前後 / 耐荷重 10kg

いずれもManfrottoオリジナルのクイックシューですが、アルカスイス互換にするためのキットがHejnarPHOTO社から販売されています。改造にもそこそこ費用が掛かりますので、その辺りも最初にきちんと考えて購入するようにしましょう。

まずXPROギア雲台 MHXPRO-3WGですが、耐荷重4kgはアテにしてはいけません。この雲台で快適に操作できるのはコンデジか、せいぜい小型ミラーレス機&キットレンズまでです。ただ操作性は非常に優れていますので、お持ちの機材が当てはまるならオススメできます。3軸(前方ティルト・側方ティルト・回転パン)とも粗動も微動も可能です。

ギア付きジュニア雲台 410は、MHXPRO-3WGよりしっかりと作られており、APS-C機&キットレンズくらいまでなら快適に使える雲台です。私はこの雲台で沼にハマりました。そういう意味では恐ろしい一台です。ただし各部ハンドル・ノブが固いので、重い機材だと微動操作がツライです。中古市場に出回りやすく、価格もそこまで高くないので、ギア雲台の操作性を知るための入門機としては最適です。3軸(前方ティルト・側方ティルト・回転パン)とも粗動も微動も可能です。

ギア付きプロ雲台 405は410よりもさらに強く作られたプロ用のギア雲台です。耐久性に関してはギア雲台の中でも1位2位を争うと思います。ギア雲台と言えば繊細で故障しやすいと思っている方が多いと思いますが、405に関してはそこらの普通の雲台よりも丈夫です。ただ重さが1.6kgもあり、大きく嵩張るので、屋外に持ち出して使うには結構勇気が必要です。山岳写真家で405&ジッツオ5型を使っている猛者もいらっしゃいますが、一般人には平坦な道のりを2〜3km移動するのも大変です。荷物は雲台だけではありませんから、そのあたりもしっかり考えて選んでください。商品撮影など、スタジオ用として使うのであればとても良い雲台です。3軸(前方ティルト・側方ティルト・回転パン)とも粗動も微動も可能です。

ギア付き雲台 400はManfrottoのギア雲台の中で耐荷重は一番で、一時期CP+でシグマの重さ15.7kgの超大型レンズ「400-1000mm F5.6 EX DG」を支えていたのが有名ですね。非常に特殊な雲台で、まず3軸とも粗動は一切できません。前方ティルトと回転パンは大きなハンドルで微動操作を行います。側方ティルトはバイクのハンドルのようなバーを握って、アクセルのようにクルッと回すことで微動できます。しかし左右7.5度ずつしか調整できません。重さが3kgもありますので徒歩での移動は難しいです。操作性もクセが強すぎて一般のフォトグラファーにはオススメできません。またお世辞にも商品撮影にも向いているとは言えず、よほど明確な使い道があるという方以外にはオススメしません。

ARCA-SWISS

ギア雲台の2大巨頭のもうひとつと言えば、我らがアルカスイスです。純正クランプが少々おクソですのでReally Right Stuffなど使いやすいものに交換できれば非常に使いやすい雲台です。

  • P0ハイブリッド / 実勢価格は149000円前後 / 耐荷重 20kg
  • D4 GP / 実勢価格は288000円前後 / 耐荷重 非公表
  • C1キューブ GP / 実勢価格は387000円前後 / 耐荷重 非公表

まず国内で購入すると値段が非常に高いので、海外から輸入されることをオススメします。P0ハイブリッドなら11万円前後、C1キューブGPなら送料や税金を含めても22万円前後と、国内で買うよりかなり安くなります。アメリカのB&Hなら保証もしっかりしていますので、国内購入と比較しても遜色ありません。さてではひとつひとつ説明していきます。

まずP0ハイブリッドですが、フルサイズ一眼レフ機&70-200mmF2.8くらいまでの機材であれば、これを買ってしまえばギア雲台沼から抜け出すことができます。これまで多くの雲台を触ってきた私が太鼓判を押す一台で、多くの方に自信を持って勧めてきました。自由雲台でまずは大雑把に構図を決め、ギア微動で追い込むという斬新な操作性は、きっとあなたの度肝を抜いてくれるはずです。ただし一本足という構造上の弱さは否めません。サンニッパ以上の大きな機材をお使いの方や、振動や風が強い場所では若干頼りなさを感じるかもしれません。自由雲台は全方位粗動可能で、微動は2軸(前方ティルト・側方ティルト)で、パノラマ用の回転パンは粗動が可能となっています。重さは620gとギア雲台の中では比較的に軽量なのも嬉しいですね。

D4 GPは3軸(前方ティルト・側方ティルト・パノラマ用回転パン)微動と、4軸(前方ティルト・側方ティルト・回転パン・パノラマ用回転パン)粗動が可能な4WAY雲台です。バックラッシュを限りなくゼロに近づけたギア機構で、非常に正確な水平合わせが可能ですのでブツ撮りはもちろん、風景写真、星景写真、パノラマ写真の機材として重宝します。重量は970gとそこそこありますが、コンパクトな形状ですので可搬性には優れています。固定力はそこまで強くなく、耐久面での懸念もあります。あまりにも重い機材だとギアが滑って、うまく操作できない場合もあります。こちらもフルサイズ一眼レフ機&70-200mmF2.8くらいまでの機材に留めておいたほうが良いでしょう。微動と粗動のノブの向きがそれぞれ逆になっているため、慣れるまでは少々戸惑うかもしれません。

C1 CUBE GPはまるでサイコロのような独特のフォルムの雲台です。このデザインに参ってしまった方も多いと思います。こちらは3軸(前方ティルト・側方ティルト・パノラマ用回転パン)微動と、3軸(前方ティルト・回転パン・パノラマ用回転パン)粗動が可能な4WAY雲台です。非常に正確な水平合わせが可能ですのでブツ撮りはもちろん、風景写真、星景写真、パノラマ写真の機材としても重宝します。重量は994g。ただし前方ティルトの粗動の構造がやや頼りない感じです。また素早い構図合わせが苦手ですので、動きのある被写体を追うには不向きです。そして何より最大のネックは価格。この雲台より高い市販品を探す事が難しいほどの価格設定で、アメリカのB&HでさえLinhofの特殊な雲台に次いで5位という超高級雲台となっています。完全受注生産のため、現物を見ることさえなかなか困難な製品です。特別使いやすいという雲台ではないので、高くても良いから人と違う雲台を持ちたいという、私のような見栄っ張りさんにオススメです。

アルカスイス雲台に使われているグリースは寒冷地用ではありません。そのため極寒の中では特にパン操作が動きが渋くなりやすいので、そのような場所で使うことを想定している方にはオススメしません。

中国メーカーの製品

昔から中国メーカーによる欧米メーカーのコピー商品が販売されています。私は一度も使ったことがないので評価はできません。ごめんなさい。

まとめ

さて一台ずつ紹介させていただきました。他にもマジェスティック雲台などレアなギア雲台もあるのですが、マイナー製品の中で特にオススメできる物が無かったため、割愛させていただきました。ギア雲台を検討している方なら、今回ご紹介した中にきっとピッタリな一台があると思います。北村先生、良いギア雲台に巡り会えますように!

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. sal85f14z より:

    P0hybridを購入した時グリスが多量にはみ出てきてびっくりしました。

    グリスのメンテナンスはどれくらいで必要でしょうか?自分で出来ますでしょうか?

    • haku haku より:

      sal85f14zさん、コメントありがとうございます。アルカスイス社はグリスの種類を公表していないので、オーバーホールは本国送りの修理扱いとなります。パノラマ台からはみ出たものと想像しますが、クランプを外す必要があり、ごく稀に凄くキツくネジロック剤が塗布されている場合があります。この六角穴が舐めてしまうとオーバーホール自体受け付けてもらえなくなるので、やはりご自身でメンテナンスするのはお勧めしません。

      • sal85f14z より:

        HAKUさんありがとうございます。

        購入した直後はP0ハイブリッドのアルカスイスのロゴの横あたりからグリスが漏れ滲んでいました。
        自分でメンテナンスは厳しいのですね。
        手がかかる子ほどかわいいと思って付き合っていきます。

        • haku haku より:

          sal85f14zさん、完全手作りで制作されているので、良くも悪くも個体差があり、グリスの量もまちまちです。少しだけ多くグリスアップしちゃったのでしょうね。アルカスイスZ1などはノーメンテで10年以上トラブルなしで動いてますから、おそらくよほどの事がない限り、オーバーホールの必要はないと思います。大事に可愛がってあげてください。

  2. philotripus より:

    (すみません、リンクミスでした。二度書き込めないので改めて)
    ハクさん、こんばんは。アルカスイスのクイックリリースシステムについて質問があるのですが、よろしいでしょうか。Kirkの小プレートのクイックリリースシステムを使っているのですが、マンフロットのジュニアギア雲台にプレートをつけたところ小さいため、固定してもグラグラして駄目でした。アルカスイスのほうのプレートもkirkの小プレートと同じぐらいの径なのですが、以下の写真を見るとZ1につけているようなのですが、大丈夫ですか。雲台底の余った外周はクランプに密着して安定しますか?とにかくマンフロットのジュニアギア雲台をつけたいのです。

    http://www.kenko-pi.co.jp/brands/arcaswiss/arca-swiss.html

    kirkのシステムは左右に水準器とノブが張り出していて、しかもギアを回すつもりがノブを回していたりと、ちょっと慣れるまではややこしいです。アルカスイスのシステムなら出っ張りがないので惹かれています。もしお分かりでしたらよろしくお願いいたします。

    • haku haku より:

      philotripusさん、お久しぶりです。固定してもグラグラして駄目、という状況がイマイチ分かりません。それは新しいKIRKのクイックリリースシステムでしょうか?
      https://www.kirkphoto.com/tripod-monopod-heads/tripod-head-quick-disconnect-system.html
      クランプベースはちょっと使った事がないので何とも言えませんが、アルカスイスのこのシステムもベースの余った部分は密着していません。
      ノブの誤操作に関しては改善できると思いますが、グラグラが解決出来るかどうか分かりません。

      • philotripus より:

        早速のご情報ありがとうございます。はいkirk最新の雲台用のクランプです。

        https://www.kirkphoto.com/
        このHPの最初に出てくる雲台クイックリリースシステム小です。手で揺らすとグラグラするといってもカメラは静止していますし、広角レンズでは気にならない程度です。私の場合雲台にプロジェクターを載せることがありますので、メートル単位のスクリーンに投影された画像は、かなり揺れて見えます。benroのギア雲台であれば、底部直径は、kirkの小プレートの直径とほぼ同じなので全くぐらつきません。アルカスイスでもプレートがp0、benroギア雲台に合う小さめのプレートのようですので、たぶん同じことになると思います。マンフロットのジュニアギア雲台にはkirkの大プレートを買うことにします。情報いただけてありがたく思います。それではまた。

        • haku haku より:

          philotripusさん、お役に立てず申し訳ないです。クランプとプレートの大きさが違いすぎることが原因によるグラつきでしょうか?大プレートで改善しますように。

  3. philotripus より:

    ハクさん、いえいえ高いアルカスイスシステムを買ってガッカリしたかもしれないので、慎重になれて良かったです。ありがとうございます。アルカスイスシステムは、Z1でもしっかり固定できるみたいなのですが、マンフロットのジュニアギア雲台の底と直径の小さいプレートはアルカスイスでもkirkでも相性が悪いみたいです。

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