クイックシュー選びは慎重に
一般的なカメラの底には1/4-20 UNCのネジ穴が設けられています。このネジ穴を利用して三脚にセットする訳ですが、毎回雲台のネジを回して取り付けるのは非常に億劫です。
何とかこの手間を省けないものか?と考えた末に考案されたのがクイックシューです。カメラ側にプレートを装着しておき、雲台側にプレートを装着するための受けを用意することで、素早く脱着することができるようになりました。
しかし一言でクイックシューと言っても様々なものがあります。最近でこそアルカスイス互換が主流になってきましたが、以前は同じメーカー内ですら製品ごとにバラバラで、雲台が変わるたびにプレートも交換する必要がありました。
またクイックシューの目的が「簡単に脱着できること」を最命題にしすぎて、安定性が二の次になってしまったクイックシューもあります。ブレ対策として三脚を使うのに、ブレに弱い機構を使うなんて本末転倒もいいところです。

光軸のズレの問題
カメラによっては底のネジ穴が光軸とズレている場合があります。そこにプレートを装着しても、当然ですがプレートも光軸からズレたままです。クイックシューによってはプレートの位置をズラすことができない製品があり、そういうクイックシューだと結局雲台の光軸からもズレてしまいます。光軸からズレてセットすると正確なパノラマ撮影ができなくなります。こういった点からも、自由度の少ないクイックシューはあまりお勧めできません。
※Nikon P900の底面。三脚ネジ穴が光軸上と異なる場所に空いています。
アルカスイス互換システムの場合、スライドさせるだけで任意の位置にズラすことが可能です。
また機種専用のL型プレートの場合、上のようにケーブルを使うためにプレートをズラして装着したとしても、ズラした光軸のラインも刻まれているので、正確な位置に素早くセッティングが可能です。
汎用プレートの弱点
汎用プレートの多くはボディの保護を目的としたコルクやゴムのシートが貼ってあるものが多く、どんなボディにも適合するように平たく作られているものが多いです。しかし結果としてこの汎用性が「たわみ」を生み、フラットがゆえ「プレートのズレ」を起こす結果となります。
この欠点を完璧に克服する方法は、機種専用のL型プレートを使用するしかありません。各機種専用に合わせた設計の場合、カメラ実機から型を取り、制作していますのでガタが出にくいことが特徴です。ゴムやコルクを使用していないため(使用する必要がないため)、たわみが出にくく、ネジで固定するだけで、ボディと一体化します。特にL型は接点が多いため、大きな荷重が掛かったとしてもズレにくくなっています。
また専用プレートには縦位置側にもセンターマークがついていますので、縦構図にした場合も瞬時に光軸を合わせることが可能となっています。センターマークは機種ごとに異なるため、汎用プレートではこう簡単にはいきません。
アルカスイス互換の汎用プレートではダメなのか?
機種専用のプレートが出ていない場合はどうしようもありません。ですから仕方なく汎用プレートを使うことがあります。しかしその場合もいくつか気を付けなければならない点があります。
ボディに合った大きさのプレートを使おう
コンパクトで軽量なプレートは扱いやすくて、ついつい選んでしまいそうになりますね。しかし面積の小さなプレートは安定性が悪く、たわみの原因となります。
3cmほどの軽量プレートを装着してみました。ブレの収束が遅く、大きなレンズを装着すると、前側に若干たわみました。
6cmのプレートに交換しました。ブレの収束が早くなり、たわみもマシになりました。
機種専用のL型プレートに交換しました。バッテリー室以外の大部分をプレートがカバーし、縦位置部分もボディとぴったり接地しています。ブレの収束が早く、たわみもかなり軽減できます。
まとめ
さて長々と書きましたが、まとめますと以下の通りです。
- 点で固定するクイックシューはいずれガタが出始める可能性があるのでおすすめできない。
- 光軸と三脚ネジ穴がズレているカメラボディの場合、プレート位置をズレせないクイックシューはおすすめできない。
- ボディサイズより著しく小さいプレートは、ブレに弱くたわみの原因になるのでおすすめできない。
- ズレ防止機能がついていない汎用プレートは、ズレる可能性があるためおすすめできない。
- 汎用L型プレートはまだマシではあるが、正確な光軸合わせが困難。ズレ防止なども製品ごとに異なるため完璧には機能しない場合が多い。
結論としましては機種専用 L型プレートをオススメして終わりたいと思います。
参考になりましたら幸いです。


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