徹底比較。果たして『ATOLL』は『Lブラケット』を超えたのか

話題になった撮影での縦位置⇄横位置の変更を可能にした二層型回転リング『ATOLL』。

そもそもこれまでは縦位置⇄横位置の変更が可能といえば「Lブラケット」でした。

私がATOLLを購入した最大の理由は機種専用のLブラケットの良さを知った上で、後発で開発したのですからきっと勝算があるのだろうと思ったからです。
つまりついにLブラケットよりも使いやすいプレートが出てきたのかもしれないという期待があったのです。

さて果たしてATOLLはLブラケットを超えたのか?

今回はこのふたつ、どちらか優れているのか比較してみたいと思います。

重量・サイズ

まずは重量。少しでも軽い方が携行性が高いのは言うまでもありません。

二層型回転リング『ATOLL』

ご覧の通り、ATOLLが11gも軽いという結果となりました。

しかしサイズという観点でみた時、Lブラケットはカメラボディと一体化し、わずかなサイズアップのみで済んでいます。

逆にATOLLは明らかにボリューミーであり、カメラバッグの室内でも邪魔に感じます。

そのため、この「重量・サイズ」という項目においては引き分けといたします。

縦位置⇄横位置の操作性

まずはLブラケットとATOLLの縦位置⇄横位置 構図変更のスピードを比較してみましょう。

時間にしてわずか1秒ほどの差で、想像以上にレバークランプの脱着がスピーディでした。
しかしたった1秒とはいえ、勝ちは勝ち。スピード対決はATOLLに軍配が上がりました。

また構図変更の際に誤って機材を落下させるなどの事故を防げるという点も評価に値します。

カメラボディの操作性

プレートを装着した際のカメラボディの操作性はどうでしょうか?

まずLブラケットは若干重くなることによる腕の疲れがあります。
そして大きなデメリットはカメラ側面にある端子カバーを含む各種端子へのアクセスが悪くなります。

良い点としてはカメラボディをある程度の衝撃から保護してくれます。
また機種専用で作っているため、規定トルクで締められていればズレる事はほぼありません。
そして最大のメリットはカメラの機能をほとんど邪魔しない点です。

次にATOLLを見てみましょう。

まず同じく若干重くなることによる腕の疲れがあります。
大きなデメリットはカメラボディを握った瞬間に感じました。

二層型回転リング『ATOLL』

めちゃくちゃグリップが握りにくいんです。リングが邪魔で中指と薬指が握り込めず、また最近のカメラボディは小型のため小指も余ってしまい、カメラを握る手に力が入りません。
これは結構疲れますね。

ATOLLのプレートを前方にズラして調整すれば良いと公式は言いますが、そうするとカメラボディとプレートの接触面積が狭まり、剛性力が落ち、またプレートがズレやすくなります。

SONYのレンズですとATOLLを前方にズラす事によって、レンズがストッパー替わりになるっぽい?(動画を見る限り)のですが、NikonZマウントのレンズですと、レンズが太くなる位置までズラすことができません。

二層型回転リング『ATOLL』

そしてファンクションボタンへのアクセスがしづらいです。下側の方は何とか頑張れば押せますが、上側のボタンには触れることもできません。
私は結構ファンクションボタンを多用するので、これは不便極まりません。

こちらもATOLLのプレートを前方にズラして調整すれば良いと公式は言いますが、以下同文。

あと個人的にあまり使わないので私は問題ないのですが、ピークデザインのキャプチャーを使いたい場合、いちいちリングを90度回してプレートを避けておかないとキャプチャーを使用できないのも、ユーザーにとっては面倒くさそうです。

二層型回転リング『ATOLL』

※リング側のプレートの方が位置が低いため、90度回転しておかないとピークデザインのキャプチャーを使用できない

また仮に使用できる状態にしても、私のようにリングの高さ調整を目一杯下げている場合、キャプチャーの奥までプレートが入りません。
8割くらいは入るけどロックは掛からないという何とも微妙な感じ…。うーんこれってもはや設計ミスなのでは?というレベルです。

良い点としては、屋外でレンズ交換の際にボディを置きたくないって時に、プレートを小指と中指の間に挟んでおくことができます。

二層型回転リング『ATOLL』

その他の比較

機種専用のLブラケットは(稀に例外はありますが)ボディが販売されてから各メーカーが制作を始めるため、すぐに使いたくても使えません。
また機種によっては専用プレートが発売されないこともあります。

ATOLLであれば汎用ですので、リングの可動範囲に収まればすぐに使うことができます。
ただし汎用性は決して高いという訳ではないので、特にメーカーが変われば結構な確率で合いません。
合わないボディの場合は合うタイプに買い換える必要があります。
またボディによっては3タイプ全てで合わないという事もあります。

次に金額。

機種専用Lブラケットは様々なメーカーが手がけています。
ReallyRightStuffのように20000円を超える高額な製品もありますが、中国メーカーの中には5000円程度から手に入る製品もあります。

クオリティはメーカーによるので良いとも悪いとも言えませんが、総じて5000円以上の専用プレートでまったく使えない製品に当たった経験はありません。

対してATOLLは超早割で買えた人で8000円。一番遅かった出資者で11500円でした。

価格でどちらがお得という比較は難しいですが、Lブラケットは歴史が古く多くのメーカーが参入しており、こなれているぶん値頃感があるように思います。(RRSは別ですが)

構図変更の際の中心位置のズレ

ATOLLの中心位置が完璧にセンターに合わせるのが難しいため、構図変更の際の中心位置のズレはNikonZ6/7のReally Right StuffのLブラケットのズレと大きな差はありませんでした。

この内容に関してはkeiさんブログで詳しく検証されていますので、そちらをご覧ください。

「ATOLL」の横構図⇔縦構図の構図切り替え精度を検証してみた
L字プレートを超えられるのでは?との期待が高い二層型回転リング「ATOLL」。 この製品の売りの一つである「横構図⇔縦構図の構図変更時に構図のズレが発生しない」を徹底検証してみました。

剛性比較

朝、ATOLLを装着して午後3時頃に帰宅した時に、朝出る前に規定トルクで真っ直ぐに締めたはずのプレートが、わずかに傾いていました。

二層型回転リング『ATOLL』

バッグの中で掛かった負荷で傾いたのか、それとも縦構図の際の機材の重量により傾いたのか分かりませんが、Lブラケットではこういった事は起こったことがありません。

また真っ直ぐに締めるのも結構難しいというか手間がかかるプレートなので、何らかのプレートのズレ防止機能を付けて欲しかったです。(難しいとは思いますが)

次に剛性の比較です。

各プレートを装着して雲台に取り付け、指で軽く揺らしてみました。

差は一目瞭然で、ATOLLは圧倒的に剛性不足です。

剛性を高める方法

この記事を公開後にTwitterのフォロワーであるkei様から、このようなリプライをいただきましたので追記させていただきます。

ああなるほどなるほど。こういう事ですね。

これですと剛性も高まります。上のように上手くマウントの中心ピッタリに合わせられれば、回転させてもY字も動かさずに済みます。これはなかなか良いですね。

ただ機材構成が大きくなり過ぎるのは欠点かなぁと思います。

まとめ

さてここまで比較してきましたが、ATOLLの最大の欠点は剛性の低さかなと私は思います。

クイックシューが長年ダメだとプロから言われてきたのは、雲台にカメラを直付けした方がブレに強いからです。

そういったデメリットを克服して成長してきたのが、現在のアルカスイス互換の機種専用のLブラケットであり、決してすべてのクイックシューシステムの良い所取りをしてきた訳ではありません。

今回のATOLLはコンセプトは初の試みでしたが、クイックに動作するという点ではボタンを押すだけでワンタッチで脱着できるクイックシューと何ら変わりません。

そういったワンタッチ式が淘汰されてきたのは、結局はガタが出やすい構造で、安全性や、剛性の点で多くのフォトグラファー・カメラマンたちを納得させられなかったからです。

ATOLLも良い点はありますが、剛性面で多くの支持を得るのは難しいのではないかと思います。

しかし非常に面白いコンセプトであったことは確かです。
素材や厚みなどを変えれば、もしかすると改善し、問題を解決できる可能性もあります。

またSONY用のATOLLを見ると、少なくともNikonZ用よりは良く出来ているように見えます。
Lブラケットのように機種専用で作れば、案外大化けするのではないかなと思います。
(もちろん良い意味で)

今回のクラウドファンディングのプロジェクトの成功だけで満足するのではなく、ユーザーの意見に耳を傾けて、次作に繋いでくれれば良いなぁと思います。

https://amzn.to/496294d

〜追記〜公式よりATOLLの取付方法に関する動画が公開されています。

①リングの取り外し方

②SONY e-mountのカメラにMC11アダプターを装着したい場合

日本語を含むマニュアル

 

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