ピークデザインのプレートから油が!?原因や解決策を探ってみた

先日ピークデザインのスタンダードプレートを取り外したところ、機材とプレートの接続部から、少しヌルヌルとした油のような液体が滴ってきました。

一瞬、加水分解かと思いましたが、そうであればゴムがもう少しネチャネチャしてそうなものですし、滴るほど油分が滲むなど聞いたことがありません。

あまりにも突然の出来事にテンパってしまい慌てて拭き取ってしまったため、写真を撮り忘れてしまいましたので、再現するべく綺麗に油分?を拭き取った後に、アルミ合金製のプレートに固定して検証してみました。

この通り、油が滲み出す可能性がない機材に固定します。

このように固定して1時間放置します。

こんな短い時間で現象を再現できるか不安でしたが、付着した油量は昨日の状況には程遠いものの再現に成功しました。このプレートが原因である事は間違いなさそうです。

これって私が知らなかっただけで実は保証案件だったりするのかな?と思い、銀一に問い合わせをしようとサイトで確認したところ…

購入を証明するレシートなどが必要ということで、必死で探したものの見つけることができず、残念ながら問い合わせができませんでした。

酷似した数々の報告

そんな中、X(旧Twitter)から同様の事例の報告が入ってきました。

私のポストに反応があるくらいですから、こういった事例は少なくない割合で発生しているようです。

他にもAmazonの商品レビューには「メーカーの代理店へ問い合わせたら、「材質に起因するので早期改善は難しい。液体はカメラへの影響はないのでそのままつかって、液体が付いたら拭いてください」というありえない対応でした。」という書き込みがあったり、ヨドバシの商品レビューの中には「油が染み出る。しかもメーカー回答はそれが仕様とのこと。カメラにシミをつけたくなければ使ってはいけない」といった内容の書き込みもありました。

う〜ん。。たとえレシートが見つかったとしてもメーカー保証が受けられる確率は低そうですね。

検証

どうせ保証がないなら検証してみましょう。

まず表面の油分と思われる部分を水に浸けてみたところ、水面に油膜を張りました。やはり油性の液体であることは間違いなさそうです。

次にゴムから直接染み出しているのか、それとも他に原因(例えば接着剤)があるのか確認するためにプレートからゴムを剥がしました。
しっかり熱を入れて剥がしましたが、接着剤が強すぎて一部変形してしまいました。

気を取り直して、ゴムに付着した油分を中性洗剤で洗浄しました。

プレートへの接着剤はかなり強力でちょっと洗ったくらいでは落ちませんでした。
ちなみにこの接着剤はカチカチに固まっており、接着剤が油分の原因である可能性は無さそうです。
ゴムをしっかり乾かしたら検証開始です。

厚紙・ピークデザインのゴム・プレートをサンドイッチします。

その状態で先ほどと同じく1時間、クランプでガッチリ固定してどうなるか検証します。

…という実験だったのですが、1時間経っても2時間経っても、翌朝まで放置しても、一見して分かるような滲みは出ませんでした。
ただし薄っすらゴム跡が付いたので、水に浸けて確認したところ僅かに油膜が張りましたので、微量ながらゴムから油分が出ているのは間違いなさそうです。
ただしこの程度であれば余程注意して確認しないかぎり、油分が出ていることに気づくことは無いと思います。
つまり使用上の問題は無いと思います。

しかしこんなに一気に出なくなった理由は何でしょうか?
中性洗剤で洗ったから?それともヒートガンで熱っしたから?はたまたこの2回でゴムから油分が抜けきったから?
今となっては理由はハッキリしませんが、とりあえずハッキリと目に見えた改善が見られたのは事実です。

この検証は引き続き継続し、1週間後・1ヶ月後と確認してまた変化が見られましたら追記したいと思います。

原因の考察

ゴムから油分が出ている事がほぼ確定しましたので原因の考察をしてみます。

X(旧Twitter)の「眠っても眠ってもねむい」様が仰っていたように、ゴムには十分な柔らかさを持たせるために「可塑剤」を配合していることがあり、その可塑剤はゴムの表面から分離して液体が滲み出してくる「ブリード」または「オイルブリード」と呼ばれる現象が起こる事があるそうです。

中にはわざとブリードを発生させる「オイルブリードグレード」というシリコーンゴムがあるそうです。(クイックリリースプレートの滑り止めゴムの素材として、わざわざ採用するはずはありませんが…)

ピークデザインのクイックリリースプレートのゴムは、おそらくプレートを付ける際の傷防止のために、一般的な物とは異なる可塑剤、もしくは分量を配合しているのだと思います。
しかしクイックリリースプレートにゴムを貼る最大の目的は機材の滑り止めです。
柔軟性を持たせるために油が染み出てしまっては、機材を汚してしまうばかりか、漏れ出た油分によってズレてしまう原因となり主客転倒です。

改善策

このブリードと呼ばれる現象も、いつか内部の油分が尽きてしまうようです。
今回の検証の過程で、ある程度油分が抜けた可能性もあります。

そして今回の検証結果から「中性洗剤で洗う」ことで、改善に繋がることが確認できましたので、あまりにもブリードが酷い個体に当たってしまった方は一度お試しください。(※効果を保証するものではありません)

まとめ

今回と同じような症例がピークデザイン以外のクイックリリースプレートでは聞いたことがありません。

つまり多くのメーカーが採用しているごく一般的なゴム素材に変えればこの問題は解決するはずですから、技術面ではそんなに難しくないはずです。

他に大人の事情があるのかもしれませんが、1日でも早く安心して使える製品になるよう対策を講じてほしいと願います。

 

追伸:krime様(@krime64Impala)によると、この症状は昔から結構有名で「ピーク汁」なんて言われていたそうです。私は汎用プレートをあまり使ってこなかったので知りませんでしたが、結構有名な事例だったのですね。そんな昔からある問題をずっと改善しないのはどうかと思いますが…

〜9/7 追記〜

すっかり忘れており本日思い出したので確認しました。13日目、約2週間です。

ゴムの表面を触るとヌルヌルしています。ゴムを貼り付けた両面テープは油分で剥がれてきており、めくると裏側はもっと油ぎっています。検証の結果、洗浄しても一時的な改善は見られるが、長期的には効果は期待できず、結局は油分が抜け切るのを気長に待つしかない。と結論付けさせていただきます。

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haku
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