マウントアダプターFTZ専用のL型プレート
FTZ専用L型プレートの必要性
まず今回のFTZ用のL型プレートは非常にニッチな製品と思っている方が多いですが、Fマウントをメインで使うユーザーとしては絶対に必要な物です。なぜならFマウントレンズは「大きく重い」レンズがたくさんあるため、マウントやボディに負担が掛かるからです。
また重心という観点からもレンズとボディの中間に位置するFTZにプレートを付けて運用するのは非常にバランスが良いので、三脚使用時の操作性も良くなります。
瞬時に構図を変更できる「L型」という構造は、横⇄縦構図への素早いセッティングが可能となります。光軸を中心に設計されているため、構図変更による光軸のズレも最小限に抑えることができます。
FTZ専用L型プレートの問題点
ボディに密着しているボディ専用のL型プレートと違って、FTZ用のL型プレートは片側(縦構図側)はかなり離れています。縦構図の時、細い(ボディに対して)プレートだけで、重心が離れた重いボディとレンズを支えるのですから、ブレには弱くなります。
もう一つの問題点はFTZとボディの距離が近すぎることです。
上の画像のようにFTZ専用のL型プレートを装着した場合、ここにボディ専用のプレートを付けたらどうなるでしょうか?
このようにほとんどスペースが無いので、どちらか(もしくはどちらも)のプレートが使用不可能となってしまうのです。
このように問題点はありますが、Z6やZ7ユーザーがFマウントをメインに使うには便利なアクセサリーですので、ご紹介したいと思います。
KIRK BL-FTZ
まずはアメリカの古参メーカー「KIRK」からいち早く発表された「BL-FTZ」。
非常に剛性が高く、縦構図にした場合でも安心感があります。前後共にFTZの形状に合わせて作ってあるので、機材の重さによってプレートがズレてしまうこともありません。こういった製品の中では80ドルと入手しやすい価格が嬉しいですね。
しかし先ほど問題点でも指摘したようにボディ専用プレートを装着した場合、「どちらも使えなくなる」という致命的欠陥を抱えています。Fマウントしか使わないという方なら問題ありませんが、Zマウントと併用する方は正直、使い物になりません。
マーキンス LN-FZ
次に韓国の古参メーカーMarkinsから「LN-FZ」。
こちらはKIRKから少し遅れて発表されました。KIRKで問題になったボディ専用プレートを装着した場合、どちらも使えなくなるという致命的欠陥を、「プレートの向きを変える」ことで、「FTZ専用の方だけ使える」ように作られています。
一見、ボディ専用が使えないのでは意味がないのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、Fマウント使用時はFTZ用のL型プレートを使えば良いですし、Zマウントのレンズを装着する時はFTZは外すのですから何ら問題はありません。
しかし問題点はKIRK同様あります。
まずは光軸のズレです。FTZのレンズ取り外しレバーを中心に縦位置のプレートを設計したため、レンズの光軸とズレてしまったというわけです。
右がマーキンス、左がKIRKです。もっと分かりやすく比較してみましょう。
上のようにかなりのズレが発生しています。これはFTZ自体の構造が原因ですので、マーキンスが悪いという訳ではなく、苦肉の策だったのだと思います。しかし撮影を行う上で、このズレがまったく影響しないかと言えば、やはり影響はあります。特にブツ撮りではいちいち三脚の位置を微調整しなければならず、結構面倒臭いなというのが本音です。
素材はKIRKと同じアルミ合金(A6061-T6)を採用し、硬質アルマイト仕上げということですので、剛性は同じはずです。が、若干マーキンスの方が弱い気がします。三脚に装着して捻ってみると撓みに差があり、KIRKの方が固く、マーキンスの方が柔らかい感じです。とは言え撮影に支障がでるような弱さではないので、そこまで神経質になる必要はないかもしれません。
現在、トリンプルの販売ページでは価格が17440円(通常価格19980円)となっており、KIRKに比べるとかなり割高です。この点が一番悩ましいところです。
まとめ
Fマウントしか使わないという方は剛性が高く、光軸のズレが少ないKIRKの方が良いと思います。ただしZマウントと併用するという方にとっては、いちいちボディ用プレートを外さなくても使えるマーキンスの方が楽で良いでしょう。
結果的にはどちらにも一長一短があり、どちらか一方をお勧めはできません。ご自身の用途に合った方を選ぶようにしましょう。
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コメント
ハクさん、こんばんは。いち早くkirkとマーキンスのLプレートを調達されましたね。さすがでございます。興味深く拝読しました。情報が得られました。ありがとうございます。RRSも多分同様でしょうね。目下Z7を検討中ですが、Lプレート干渉問題、シングルスロット、バッテリー消耗大の問題でまだ踏み切りがつきません。しかしニコン一桁機と単焦点レンズ数本と三型ジッツォシステマティックとアルカスイス雲台を一人で運ぶと、腰が痛くなります。機材の重量を減らして写真のクオリティを落とさないようにするには、ボディをミラーレスにするしかないとは思っています。それに露出も被写界深度も見えたまま写るので、一眼レフと違って失敗写真をかなり減らせそうです。でも疲れているときのレンズ交換で、Fマウントレンズをセンサーにぶつけそうなのが怖いですね。ボディデザインについては、フランジバックの浅いミラーレスなら別に違和感ないですが。
philotripusさん、すごくニッチな層に向けた会心の記事ですが、やはり一般受けはしていません。さて、RRSが作ってくるかどうか気になりますが、おそらく何かを犠牲にしないと作れないような気がします。Z7、Z6はコスパさえ気にしなければ、とても良い製品だと思っています。バッテリーもみるみる減っていくという感じではないので、長時間タイムラプスするとかじゃなければ、交換バッテリーを持っておけば問題ありません。シングルスロットは怖いと言えば怖いですが、実際のところ耐久性の高いXQDのデータが飛んでしまう確率は低く、SDダブルスロットとさほど変わらないのでは?と思っています。精神的にはちょっと不安はありますけど。デザインに関しては可もなく不可もなくという感じですよね。
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