製品のレビュー記事を書く時、【いま何を説明しているか?】文章に適した写真を掲載することが多いと思います。
例えばその製品の全体像を見せたい場合、製品が見切れないように注意したり全域にピントが合っているシャープな画像を採用します。
次のような全体的にボヤッとした写真は採用しないでしょう。
上の画像は105mmのマクロレンズで、大きさ約20cmの被写体を、斜め上45度から、画角いっぱいに納まるよう撮影しています。f9/ ISO100。
ご覧の通り、手前のノブ周辺はピント位置なのでくっきり綺麗ですが、奥の方に目をやると真ん中シャフトのネジ山の有無が判別できないレベルでボケてしまってます。
f8~11はレンズの性能を最大限に発揮する「もっとも美味しいところ」なんて言われますが、これだけボケてしまったら美味しいも何もありません。
冒頭で掲載した写真のように全域に渡ってピントが合ったようなシャープな写真に仕上げたい場合、(シフトレンズを使わずに)解決する方法として以下のみっつがあります。
①もっと被写体から離れて撮影しトリミングする
②目一杯、絞る
③フォーカスシフト撮影後、合成する
まず①から試してみましょう。先ほどよりも約1m離れた位置から撮影します。カメラ側の設定は変わらずf9/ ISO100。
ブログ記事に掲載する写真としては十分ですね。
しかし当たり前ですがトリミングしている訳ですから、ピント位置周辺をさらにトリミングして見てみますと、かなり劣っていることが分かりますね。
では②の全域に合うまで可能な限り絞って撮影してみましょう。f36 / ISO800。
こちらもブログ掲載画像なら良いですね。
先ほどより全体的にシャープです。
しかしここまで絞り込むと回折で画質が劣化しており、ピント位置周辺をf9と比較しますと、かなり劣っていることが分かりますね。
そこで③。f9で6枚フォーカスシフト撮影を行い、Helicon Focusで被写界深度合成したのが冒頭の写真です。
一見すると①②と大差ありませんが…
トリミングしますと、さすがはフォーカスシフト合成!シャープさが段違いです。画質も明らかにこちらの方が綺麗ですね。
さて、3つ検証しましたが、いずれもパッと見た目はピントがしっかり合っているように見えますので、1枚だけ掲載するならどれでも良いと思います。この程度の差なら商品の印象を変えるほどの影響はないでしょう。
この3つの中では①の「被写体から離れて撮影しトリミングする」がもっとも撮影が容易です。
しかし各部分をトリミングする場合はどうでしょうか?
例えば一番奥のノブを説明したい場合「f9/ISO100のトリミングあり」の写真をトリミングしますと…
こんな感じですので「ダメだこりゃ…撮り直すかぁ」となります。
だったら「f36/ISO800のトリミングなし」の写真では…
これもやっぱり見苦しいですよね。
でも「f9/ISO100 フォーカスシフト6枚合成」だったら
いかがですか?これなら使っても問題ないでしょう。
つまり被写界深度合成ですと、製品の細部を説明する際にあとで撮り直さなくとも、この1枚の写真をトリミングして対応することが可能。という訳です。
撮影と執筆は大抵別々の作業ですから、撮り直しって意外と面倒だったりするので、割と使える小技なんじゃないかと思います。
最近のカメラにはフォーカスシフト撮影機能が搭載されている機種が多いので、レビュワーさんはぜひとも活用してみてください。
最新記事 by haku (全て見る)
- 新たな中華製 Nikon Zf専用のLブラケットを発見! JLwin JL-Zf レビュー&カスタム - 9月 18, 2024
- note はじめました - 7月 2, 2024
- うずまきのひびき 〜流体のダイナミズムと美学〜 - 6月 24, 2024