購入して一度記事を書いたっきりで、まるで存在がなかったように取り上げてこなかった三脚がいくつかあります。その理由はすぐに売却してしまってすでに手元にない、という場合もありますが、なんとなく魅力を伝え難いから…ということもあります。
今回はそんな三脚のひとつ、ノボフレックス Novoflex Trio Balanceを改めて紹介したいと思います。
前回記事:祝!新しい三脚を買いました!Novoflex Trio Balance
Novoflexとは
まず三脚を紹介する前にNovoflexとはどんなメーカーなのかご紹介したいと思います。
NovoflexはGitzoやReally Right Stuffほども認知度は高くないですが、創業70年以上あるドイツのカメラアクセサリーメーカーです。すべての製品はバイエルン州メミンゲンの生産施設で作られています。日本での代理店は近代インターナショナル。
三脚のラインナップ
Novoflexの三脚(?)のシリーズは大きく分けてGitzoのシステマティックに似たTrioPod Pro75、コンパクトな基部のTriopod、四脚のQuadroPodの3種類。
通常の三脚と異なるのが、全てのモデルが基部と脚部をバラバラで販売しているというところです(セット販売もしています)。
私が選んだモデル
私が選んだ基部は「TrioBalance Q 6/8三脚ベース」。パノラマローテーターとレベリングベースを内臓した、アルカスイス互換クランプを持つ、いわゆる「全部入り」です。ただし基部としては小さめで、合わせる脚のパイプ径もGitzoなら2型、RRSならシリーズ1相当となります。
ミニ三脚にもトラベル三脚にもエクストラロング三脚にもなる!
※画像はNovoflex YOUTUBE動画より
基部がひとつあれば、用途に合わせて「脚のみ」を購入して、トラベル三脚にしたりミニ三脚にしたり、超ロング三脚にすることもできます。
実際に1年半使ってみた感想
第一印象は「まぁまぁ悪くない」だったのですが、期待度が大きすぎたため、悪い部分が目立ってしまいました。悪いと思ったのはいくつかあります。
- ひねり剛性不足
- アルカスイス互換クランプの滑落防止ピンが邪魔
- 滑落防止ピンが弱く、すぐ曲がる
- パノラマローテーターの固定力が弱い。
- パノラマローテーターの固定ノブが回し続けると外れる
- 2段目のパイプのみ高さ目盛りがあるが、一番下の脚につけるべき
- 高さ目盛りが原因で伸縮がスムーズじゃない
- 水準器がクランプのレール内なので、機材を装着したら見えない
と、出るわ出るわネガティブな感想のオンパレードで、さすがにこれだけデメリットがあるのに、なかなかお勧めはできないな、となって1回こっきりの紹介で終わっていたのです。
なぜ改めて紹介するのか?
あまりにもデメリットがあったので一度は手放そうと思いました。しかし思いとどまり、そして今になって改めて紹介しようと思うに至ったか?それは実際に使っているからです。私がこの三脚一本しか持っていないなら話が別ですが、人よりもたくさん三脚を使ってきて、そして今もたくさん三脚を持っています。その中からこの三脚がよく選ばれ、実際に使われているのです。この三脚が悪くないという説明に、これ以上説得力のある答えはないと思います。
確かにデメリットはあります。しかし、それを補うメリットもあるということです。
- 開脚幅が狭い
- 軽くて取り回しが良い
- 高さがそこそこある
- 剛性に優れている
- 撮影地で人と被ることはまずない
- デザインが好み
この中でも特に重宝しているのが「開脚幅が狭い」ということです。どういう事か画像で説明しますと…
このようにスペースが95cmあれば三脚を立てられるということなんです。これだけ狭いと、歩道など人の往来がある場所で三脚を使う場合に気が楽ですし、狭い室内で立てる時も便利です。Really Right StuffのTFC-24L Mk2で同じ高さに合わせて測ってみると115cmですので、20cmも省スペースで立てることができるということになります。
また開脚幅が狭いということは、開脚角度が大きいということです。開脚角度が大きいと、短い縮長で高さを稼ぐことができます。2型相当3段センターポールなしのカーボン三脚で高さが158cmもあるのは、これ以外に見たことがありません。価格.comで条件検索しても見つかりませんでした。
安定性能という面ではある程度幅を持たせて立てる方が良いのかもしれませんが、実際に使ってみた限りでは、同クラスの三脚との性能差は特に感じられません。
まとめ
さて今回はNovoflex Trio Balanceを改めて紹介しました。だからと言ってお勧めできるか?と聞かれたらまったくお勧めしません。普通にGitzoやReally Right Stuffの三脚を買う方が幸せになれるでしょう。
もしそれでも「欲しい!」と思っている方がいらっしゃるとすれば、ローテーターやアルカスイス互換クランプタイプはやめておいた方が良いと思います。カメラ機材に限ったことではありませんが、全部入りって大抵中途半端なことが多いのです。ですので軽く剛性が高いシンプルなボールレベラーのみの基部をお勧めします。


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