ネジのことばっかり書いていたらTwitterのフォロワーさんから「ネジの記事を読んで思い出しました!」と相談を受けました。
クランプを交換したくて思いっきり捻ったら、うまくクランプは外れてくれたのですが、クランプにネジがくっ付いたまま外れなくなった。そうです。
文章で説明するのも伝わりにくいと思うので、再現しますとこんな感じです。
ロックタイトがガチガチに掛かっていたようで、こんな感じで外れてしまい、さらにネジの頭には六角穴などが空いておらず取り外すことができない。長くこの状態で放置していましたが、このような場合はネジザウルスなどのネジ用のペンチで外せますか?
といったような内容の相談でした。
はいはいネジザウルスね…
だめですよー。絶対にやめてください。
ネジザウルスがダメという訳では無くって、今回のようなケースには適していません。ネジザウルスに限らずペンチ・プライヤーといったハサミ物で咥えてしまうと、ネジが傷だらけになって使い物にならなくなるからです。
仮にネジなんて傷ついたって良いよって場合であっても、ネジロック剤が強力にかかったネジですと、ペンチで咥えて外せる可能性は限りなく低いです。
そして何よりネジロック剤が掛かっているネジを外す場合は、最初に熱をかけておくことが重要です。200度以上の半田ごてを使って5分程度ネジを熱してやると、ネジロック剤の効果を減退させることができます。ガスバーナーでネジを直接炙る場合は、クランプの水準器・ナイロンネジ・樹脂パーツ・シーリングゴムなどが変形する可能性がありますので、くれぐれも注意して作業なさってください。
ネジが傷付いて使い物にならなくなっても構わないっていう人はバイスプライヤーを使うと良いでしょう。私はKTCとスリーピークスのバイスプライヤーを使っていますが、スリーピークスの方が使いやすくておすすめです。バイスプライヤーはあると何かと便利ですので、ちゃんとした物を一丁持っておいて損はないと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ネジを傷つけずに外す方法が「ダブルナット」です。
ダブルナットとは、2つ付けたナットのことです。本来は振動に対する戻り止め・緩み止めとして用いる固定方式です。
では早速やってみましょう。
用意するのは2個のナットと2本のスパナ。内側に使うスパナは薄型(厚み3mmくらいのもの)をおすすめします。
このようにネジに2個ナットを入れたら
このようにナットとナットを締め付けます。緩まないようにしっかりと締め付けてください。
ダブルナットができたら、クランプが動かないようにしっかり抑えながら、下のナットを反時計回り方向に回せばネジが外せるはずです。
相談者の方もうまく外せたと連絡がありホッとひと安心です。それでもかなり固くて、苦戦したと仰られていました。お疲れ様でした。
今回とは逆のケースとして雲台のほうにネジが残ってしまう場合もあります。確かMarkinsの自由雲台のクランプを外した時がそうでした。その時はそのネジは外さず、普通に別のクランプを換装しましたが、そういった場合でもダブルナットは有効ではないかと思います。
ただし、逆の場合は飛び出しているネジ部がかなり短いので薄型ナットを使うなど工夫が必要になり、より難易度は上がると思います。
ちなみにネジやクランプにこびりついたネジロック剤はガスケットリムーバーを使えばかなり綺麗に落とすことができます。
〜今回の工具のコーナー〜
記事とはあんまり関係ないことですので、工具の好きな方や、暇でお時間がある方だけ読んでいただければ嬉しいです。
今回は記事中に出てきたネジザウルスのお話しをしたいと思います。
ネジザウルスは㍿エンジニアから販売されているネジを外すことに特化した工具シリーズです。大阪のメーカーで製造も国内です。メイドインジャパンです。
今回の記事の中ではちょっと役立たず的な立ち位置になってしまいましたが、個人的には大好きな工具の1つです。またここでいうネジザウルスは一番メジャーな「PZ-58 ネジザウルスGT」をさしており、ラインナップの中にはバイスプライヤーもあるみたいですので、今回のようなケースであっても、ネジを取り外せる製品はあるのではないかと思います。
ちなみにネジザウルスの名前の由来は形が恐竜みたいであり、またネジに「噛み付く」から恐竜!だそうです。よく見るとペンチの顔の部分にはちゃんと目もレーザーマーカーされています。
さらにネジザウルスGTのGTは何かっていうと「Grip a Truss(トラスを掴む)」って意味。ではなくて本当の理由はエンジニア社の髙崎社長が所ジョージさんをリスペクトしていて、所ジョージさんのイニシャルを使ったのだそう。
使っている感想としてはバネ付きで連続作業がとても楽。でもそんなに連続でこれでネジを外しませんけどね。
かしめ部(股のところ)のすぐ上のあたりに切断刃を搭載しており針金などを切断できます。あえてネジザウルスで針金を切断しませんけどね。
グリップはエラストマーですので耐熱性や耐久性はゴムグリップに劣りそう。個人的にはフィット感も今一歩ですね。
ネジザウルスはネジ外し専用ペンチですので、一般的なペンチと同様な使い方をするのはおすすめしません。そのため用途が限定的です。刃先にクリアランスがあるので、0.5mm圧のシムプレートもまともに挟めません。「普通のペンチとして使えるかも」と考えている方は、ぜひ普通のペンチをどうぞ。
またネジでも硬度が高いネジだと思いっきり掴むと刃が潰れることがあります。過度な期待は禁物です。
それと角Rの仕上げが鋭利ですのでもうすこし滑らかにしてほしいなと思います。
というわけで、工具好きの方には多分うーんと思う製品ですが、ガジェット好きな方には満足度が高いと思います。
散々悪いことを書いちゃった気がしますが、私はもちろん大好きです。だって恐竜なんですもん。そりゃ男だったら買うでしょ⁉︎って話し。
【スペック】
・対応ネジサイズ:φ3~9.5mm
・タテ溝硬度:HRC58±2
・切断能力:銅線φ1.2mm
・全長:160mm
・先端長さ:28mm
・グリップ幅:54mm
・重量:130g
・材質:本体/高炭素鋼、グリップ/エラストマー
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