使いやすい三脚 ≒ 使いやすい雲台

「使いやすい三脚だ」と感じたならば、それは三脚が使いやすいのではなく、実は雲台が使いやすいのかもしれません。逆に雲台が使いにくいとどんなに優れた三脚だったとしても「使いにくい三脚だ」と感じてしまうでしょう。
今回は一体どんな雲台が使いやすいのか色々と一緒に考えてみましょう。

使いやすい=どんなシーンにも使いやすい

まずはオーソドックスに1台あればほとんどの被写体をカバーできる雲台は使いやすいと言えるでしょう。カメラ店の三脚コーナーにも必ずと言って良いほど置いてある、ド定番の雲台と言えば、そう3WAY雲台ですね。

3WAY雲台

私のブログを読まれている方で3WAY雲台を知らない人はあまり居ないかもしれませんが、3WAY雲台とは上下方向・水平方向・回転方向の3方向を個別で操作できる雲台です
パンハンドルの向きと移動方向が同じのため、初心者でも操作を覚えやすい作りとなっています。そのため入門機用的な位置付けでセット販売されることが多く、割と日本では人気の高い雲台です。しかし近年、ヒット商品と呼べる3WAY雲台が出ていないのも事実で、自由雲台にシェアを奪われつつあります。
不人気の理由は
  • デザインが古めかしい
  • セッティングに時間を要する
  • 大きく重いため、収納性・可搬性が悪い
以上3点だと思います。デザインは好き好きがあると思いますが、操作性に関しては一つ一つの操作が細かく操作可能なら良いのですが、それほど操作性が良いとは言えないため、手間がかかって面倒という印象が強く残ってしまうのだと思います。そんな3WAY雲台の中でもハスキーやプロスパインなど魅力的な製品もあります。
ハスキー雲台は固定力があり固定時のズレもなく良い雲台です。またこれほど長くほとんど仕様を変えずに販売されている雲台はそう多くありません。交換パーツも充実しており、メーカーにお願いすればオーバーホールで新品同様にしてもらうことも可能です。メンテナンスしながら長く使っていきたいというユーザーにはとても良いと思います。2万円前後と良心的な価格設定のため、私が3WAY雲台で唯一勧めている3WAY雲台でもあります。しかしデザインの古臭さは否めません。また大きく重いのも欠点ですね。
※画像はプロスパインより
プロスパインはデザインは格好いいと思います。エルグからプロスパインに変わった当時は、化粧箱の犬のイラストが衝撃的だったり、プロスパインのロゴが波打っていたりと、デザイン面での垢抜けなさがありましたが、最近は改善されました。欲を言えばロゴはもう少し格好良くしてほしいところですが。ただ価格が一番安いモデルでも税込10万オーバーとかなり凶暴で、この価格に見合っているか?と問われたら、ちょっと人に勧めるには微妙です。

自由雲台

3WAY雲台と並んで定番の雲台といえば自由雲台です。現在では3WAY雲台を抜いて、もっとも人気が高い雲台だと思います。中国メーカーの安価な自由雲台が台頭してから一気に火が着いたように感じます。
メインロックノブを緩締するだけで、あらゆる角度に変更可能というシンプルな操作性と、3WAY雲台みたいな出っ張りが少ないため携行性が高く、欧米を中心に人気が広まっていきました。特に近年、アルカスイス互換が主流となりつつあり、いち早く、自由雲台が対応したことも人気に拍車がかかったように思います。
とはいえそんな自由雲台にも不満を抱えているユーザーが少なくありません。
特によく聞く不満として
  • 1方向のみの微調整がしにくい
  • ロック操作時に若干構図がズレる
  • 固定力を求めると大きく重くなる
微調整に関しては微動雲台のように緻密にはできませんが「フリクションコントロール機能」付きの製品を選べば、そこそこ細かく調整可能です。問題となるのは「ロック時のズレ」です。通常風景撮影などでは問題になりませんが、マクロ撮影や超望遠レンズを用いた撮影では、このズレが致命的な欠点となります。価格は高いですがアルカスイスやRRS、KIRKといった品質の高いメーカーの自由雲台なら、このズレを最小限に抑えることが可能です。
自由雲台はボールサイズと固定力は相関関係にあります。同じシステムであればボールが大きくなれば固定力は強くなります。フルサイズ&大三元クラスの機材を安全に固定したいならば、アルカスイスZ1+やReally Right Stuff BH-55 など、50mmクラスのボールサイズの自由雲台を選びたいところです。
※これは耐荷重テストです。故障や怪我の原因となり、危険ですので絶対に真似しないでください。
現在、自由雲台はコピー商品で溢れかえっています。もともとシンプルな機構でデザインが似通ったものになりやすいとは言え、中にはあからさまなものも存在します。特に最近周囲ではLe●fotoが人気で、私も過去に一台使ってみましたが、性能云々よりもデザインがモロにRRSのパクリという点で、使い続けることも、人に勧めることもできませんでした。カメラ雑誌にしても、写真のパクリは訴訟を起こしてでも、やってはいけないみたいな事を書くくせに、デザインモロパクリの中国製品には甘々だなぁと感じます。結局スポンサーだから何も言えないと言ったところでしょうか?こんなことを書けば大勢のユーザーからも非難を浴びそうな気がしますが、個人的にコピーを楽しむ分にはまったく問題ないと思っています。しかし販売するとなると話は変わってきます。安易なコピー製品はデザイン・設計・開発しているメーカーを弱体化させるかもしれません。互換とパクリは別物です。三脚雲台界の未来を守るためにも、健全に競争してもらいたいと切に願います。

どんなシーンにも使える=どんなシーンでも今ひとつ

ちょっとさっきと言っている事が矛盾するようですが、あらゆるシーンで使える雲台よりも、オールマイティではないけれど、ひとつの分野に特化した雲台の方が使いやすいシーンがあります。この項目ではそういった専門的な雲台をご紹介します。

ビデオ雲台

ビデオ雲台は雲台の基本とも言うべき「固定する」ことを目的としない雲台です。ビデオ雲台というくらいですからビデオカメラを載せる目的で制作されており「滑らかに動かす」ことができます。野鳥や飛行機といった動く被写体を、動きを追いながら安定して撮影できます。
しかし前後方向とパン方向にしか操作ができない製品が多いため、レベリングベースを別途用意するか、三脚で厳密な水平調整をする必要があります。大きく重いため可搬性が悪く、通常撮影用の雲台として使うには、あまりにも不便です。

一脚用雲台

一脚に取り付ける雲台にはパン機能が付いている必要はありません。また雲台の操作は片手になりますので、ワンハンドルで行えなければなりません。前後方向にのみ動けば良いという多数の意見を反映し、1WAY雲台として作られたのが一脚用雲台です。本来であれば絶対に必要な機能を削ぎ落としているため、通常の雲台としては、ほぼ使い物になりません。

微動雲台(ギア雲台)

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微調整を目的とした雲台が微動雲台です。厳密に区分されている訳ではありませんが、大きく分けて2種類あり、天体撮影用機材(赤道儀)の極軸合わせをするためのものを微動雲台と呼び、一般撮影用途で使うものをギア雲台と呼びます。非常に細かい構図合わせが得意なため、建築写真や商品撮影、マクロ撮影などで実力を発揮します。

一般的な撮影にも使える雲台もありますが、総じて動いている被写体を追いかけることは苦手です。機構が複雑なため、大きく重くなる傾向があり、軽量化を目指すと剛性が著しく落ちるという欠点もあります。また雲台の中でもっとも衝撃に弱く、ぶつけたり落下させたりすることで、故障してしまう可能性が高いため、扱いには十分注意が必要です。

パノラマ雲台

※画像はよしみカメラより

パノラマ雲台は名前の通り、パノラマ撮影を行うために作られた製品です。カメラの視差が出ない位置(ノーダルポイント)にセッティングする事が可能で、パンベースには角度目盛りがレーザー刻印されています。ローテーターが付いたモデルもあります。しかしパノラマ撮影のみを目的とした雲台のため、通常の操作性としては最悪レベルで、通常撮影用の雲台として使うには、あまりにも不便です。

ジンバル雲台

ジンバル雲台は動いている被写体を望遠レンズで撮影するために作られた雲台です。重い機材を非常に軽い力で操作可能で、野鳥撮影には特に向いている雲台と言えるでしょう。

しかしビデオ雲台同様、前後方向とパン方向にしか操作ができない製品が多いため、レベリングベースを別途用意するか、三脚で厳密な水平調整をする必要があります。分解できる製品もあるとは言え、大きく重いため可搬性が悪く、通常撮影用の雲台として使うには、あまりにも不便です。

パノラマ&ジンバル雲台(ハイブリッド雲台)

Really Right Stuffから販売されているFG-02とPG-02は、パノラマ雲台とジンバル雲台を合体させたハイブリッド雲台です。特にFG-02は油圧式でフリクションコントロール機能付きですので、ビデオ雲台としても使用可能です。これにローテーター機能が搭載されたら、完璧なシステムになると思います。

しかしビデオ雲台同様、以下省略で、通常撮影用の雲台として使うには、あまりにも不便です。

自由雲台&ギア雲台(ハイブリッド雲台)

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アルカスイスから販売されているP0 Hybridは自由雲台とギア雲台を合体させたハイブリッド雲台です。自由雲台のシンプルな操作性と、ギア雲台の緻密な操作性という、相反する2つの操作性を掛け合わせた素晴らしい製品です。

アルカスイス社のクランプが使いにくいこと、一本脚でややブレに弱い構造であることなど、欠点もありますが、それらを差し引いても非常に扱いやすい雲台だと思います。一般的な撮影にこそ、使ってほしい雲台だと思います。これで価格が凶暴じゃなければもっと積極的に勧められたのですけど…。

まとめ

さて色々な種類の雲台を紹介しました。紹介した製品以外にも良い雲台はたくさんありますし、使う機材によってお勧めする雲台は変わります。自分にベストな雲台にたどり着くのは、なかなか険しい道ですが、これだ!と思う雲台を手にした時、きっとあなたの三脚ライフは激変するはずです。

あなたにピッタリの雲台が見つますように!

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

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