【雲台レビュー】ACRATECH GXP 自由雲台

 

今回ご紹介する機材を作っている「アクラテック」というメーカーを詳しく知らない方もいらっしゃると思います。

ご存知の方も、そうでない方も、まずはこちらの動画をご覧ください。

如何だったでしょうか?この一本の動画で、だいたいどんなメーカーか何となく伝わったのではないかと思います。

色々ぶっ飛んでいることは間違いありません。

そして、微妙な古臭さ、垢抜け無さも含めて個人的にとても好きなメーカーで、実際の製品もこれまで過去に合計3機種使ってきました。

現在は「NOMAD」というモデルを使っていて、とても満足しています。

アクラテック ノマド acratech nomad

そのアクラテックから約一年前に「GXP」という新製品が出たことはInstagramの投稿で知っていましたが、特に興味は湧きませんでした。

しかし海外のレビュー記事によると、NOMADと一緒だと思い込んでいたスペックが実は違うらしいという事が分かりました。

なんと耐荷重が2倍になっているそうなのです。スペックを見る限り、サイズや重量がNOMADとそんなに違わないので、にわかには信じられませんが、これは放置する訳にはいきません。

という訳で今回はACRATECHの最新機種「GPX」のレビューをしたいと思います。

NOMADとも比較しながら、その実力を探ってみたいと思います。

外観

まずは外観。

アクラテック acratech GXP

アクラテック acratech GXP

アクラテック acratech GXP

アクラテック acratech GXP

アクラテック acratech GXP

これまでのアクラテック雲台と同様、非常に個性的なデザインです。一見するとクランプ以外はGPssとほとんど一緒です。

重量は484g。NOMADが411gですので73g重いですが、レバークランプの機構や水準器が重量増となってそうですので、本体部分が大きくなったようには思えません。

一応並べて比較してみましょう。

アクラテック acratech GXP

おっと、結構高さが違いますね。

アクラテック acratech GXP

ロックノブも明らかに大きくなっています。

アクラテック acratech GXP

ボディとクランプは大胆な肉抜きがされています。その辺りで軽量化を実現しているようです。

アクラテックらしい機能

これまでのモデル同様、アクラテックらしい機能が今回も搭載されています。

アクラテック acratech GXP

クランプを逆付けしてパノラマ雲台モード。水準器が大きくなったので、よりセッティングしやすくなりました。水準器の精度は個体差があると思いますが、私の購入したものは非常に良かったです。

アクラテック acratech GXP

ジンバル雲台モードも健在です。ドロップノッチに倒し込めば、どんな自由雲台でも出来そうですが、ボールのお尻にピンを埋め込んでステムに掛かる負担を軽減したり、ステムに回転カラーを付けてスムーズに回転するように工夫されているなど、きちんと考え抜かれて設計されています。

GXPの新機能

●これまでのアクラテック雲台の2倍の耐荷重。

アクラテック acratech GXP

本当に2倍かどうかは分かりませんが、実際検証してみたところ、明らかに固定力アップしています。しかしボールサイズは全く変わっていません(38mm)。

変わった点はまず大きなロックノブに変更されました。この変更により高トルクで締め込む事が出来るようになったのだと思います。

ロック機構は変化がないように見えますが、シャフトの固定パーツが1〜2mm太くなっています。

しかしそれ以外には変更点を見つける事は出来ませんでした。

〜追記〜後日アクラテック社にメールで問い合わせをしたところ、耐荷重アップに貢献する部分の変更点は、この2点で間違いないそうです。

アクラテックのwebサイトによると、フリクションコントロールがリニューアルされたと書いてありますが、どこがどう変わったのか分かりません。フリクションの掛かり方も特に変わった感じはありません。

〜追記〜後日分解してみたところ、ネジのピッチが狭くなっていました。これによって緩みにくく、そして微調整がしやすく改良されました。詳しくは下の動画(2個目の方)をご覧ください。

パノラマ撮影で便利なゼロポインターが搭載されました。この機能はセッティングした角度をゼロ地点に設定するもので、アルカスイス社のGPにも搭載されてます。

地味ながらパノラマ雲台としては嬉しい機能です。

クイックリリースクランプのサイドノッチが深くなりました。

アクラテック acratech GXP

これは単に軽量化というだけではなく、他メーカーのクイックリリースプレートに付いている滑落防止機能に干渉しにくいように…という配慮です。

わざわざ他メーカーとの互換性を高めるなんて、KIRKやアルカスイス社と違って心が広いです。

不満点

不満点はクランプのレバーの開閉に段階が欲しかったです。ReallyRightStuffのように90度で止まってくれると良かったです。今回改良されている事を期待してましたが、残念ながら変わってませんでした。

ボールの動きが滑らかとは言いにくい。均一に負荷が掛かっていないのか、方向によってボールの動きの固さが異なります。多少は改善されたように感じますが、アルカスイス雲台と比較すると、まだまだだなぁと思います。

樹脂のバリが残っている。所々に樹脂のバリが残っていました。今はもう全部撮れましたが、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

価格が高い。489ドルとそこそこ高いです。アルカスイスZ1+が422ドルですので、ここが一番悩ましいところです。

満足度は?

不満点をたくさん書きましたが、ハッキリ言って買って良かったです。

まずレバーが使いやすいです。不満は残るものの色々なメーカーのレバーの中で一番使いやすいと思います。

そして軽いです。重量は500gに満たないので、旅行や登山が趣味の方に特にお勧めしたい雲台です。もちろんそれらのシーンにおいて満足できるスペックを持っています。

40mm以下のボールとは思えないレベルの固定力です。素晴らしいと思います。

ジンバルモードであれば単焦点400mmクラスの望遠レンズまでサポートしています。たった500g弱の雲台でヨンニッパを軽々と操作できるのは、この雲台以外には存在しないでしょう。

デザインも秀逸です。人によって好みは分かれると思う部分ですが、私はとても気に入ってます。

濡れても操作性が落ちません。雨が降っても砂に突っ込んでも操作性が全く変わりません。グリースレスなので氷点下でも凍ってしまうこともありません。これは他の自由雲台では考えられない事です。

最後にメンテナンスが容易です。汚れたら水洗いし、乾かせばメンテナンス完了です。不安でしたらネジやワッシャー部分にだけ少量のテネシャスオイルを指しておくと良いでしょう。

動画

まとめ

アクラテック雲台は人によって、評価が大きく異なります。それはもう真っ二つに分かれます。

確かに固定力や操作性だけ比較すれば、他にもっと良い雲台はあります。

しかし雨が降るかもしれない日に、ギア雲台を持ち出したくありませんし、BH-55も使いたくありません。なるべく荷物を軽くしたい時も同じです。

海に浸かったとしても、砂に突っ込んでも、例え氷漬けになったとしても、アクラテックなら問題ありません。

この安心と感動は他のどんなメーカーの自由雲台では味わうことが出来ません。

ACRATECH GXPは過酷な環境で安心して撮影に取り組みたいフォトグラファーにお勧めしたい雲台です。

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

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