
※画像はPhotoACより
皆さんは双眼鏡やフィールドスコープを使ってますか?
最近では高倍率ズームモデルが2万円を切る価格で購入できるので、気軽に野鳥観察や天体観測を始められるようになりました。
しかしフィールドスコープって防振(手ブレ補正)機能が搭載されていない製品が多いため三脚を使って観察した方が断然見やすいのです。
でも「観察専用の三脚とか雲台なんて無いんじゃないの?」
たった今呟いたあなたの声が聞こえました(幻聴)
ご安心ください!我らがReallyRightStuffから、なんとスカウト専用雲台「PT-Scout」なるニッチな雲台が販売されているのです。
型番が示す通り、PT(パン・ティルト)操作で、Scout(偵察)する雲台です。
こんなマニアックな雲台、私自身が買わない限り、一生お目にかかれないだろう…と諦めてましたが、なんと地元の友人が購入したとのこと!
あれよあれよという間にお借りすることができましたのでご紹介したいと思います。
嬉しい〜。SS様ありがとうございました!
ReallyRightStuff PT-スカウト パン-ティルト ヘッド
まずは本体とクランプのパーツ図からご覧いただきましょう。本体とクランプは2ヶ所のボルト(六角穴は1/8”)で固定します。パンノブは左右位置の交換が可能となっています。
本体とクランプを接続した状態。

雲台本体のクランプ側から撮影

雲台本体のベース側から撮影
次にパン棒。
パン棒は伸縮式です。
本体とパン棒はネジ式で接続します。
重量は222gと超軽量。ベース部分がアルカスイス互換(約38mm幅)ですので、この雲台が如何にコンパクトに作られているかが伝わるのではないかと思います。
クランプはピカティニー・レールとアルカスイス互換、どちらも使えるデュアルクランプ。お借りしたものはスクリューノブ式ですが、レバー式クランプもあります。
2種類のクランプオプション
クランプオプションは「なし」「BTC-PRO(スクリューノブタイプ)」「SC-ARC(レバータイプ)」の3種類の記載がありますが、執筆時点(2023/09/7)ではすべてのオプションに打ち消し線が引かれており、購入不可の状態(予約もできない状態)となっています。

特徴
特徴的と思える部分は3つあります。
まずひとつ目。
パンハンドルが伸縮式で、脱着可能となっています。このため携帯に便利です。
そしてふたつ目。
ベース部分がアルカスイス互換のデュアルダブテールとなっています。このため、どの方向からでもアルカスイス互換クランプに固定できます。もちろんベース面には3/8”ネジ穴が設けられていますので、一般的な太ネジの三脚に直接装着することが可能です。
最後、みっつ目。
フリクション調整が可能となっています。パンもティルトも調整可能ですので、機材に合わせたテンションに設定できます。
フリクションの調整
ティルト軸のテンションはパン棒の装着口の真横にある止めネジ(六角穴は7/64″)、パン軸は雲台を90度倒すと現れるボタンボルト(六角穴は5/32″)で調整できます。
ティルト軸の方はパン棒を装着した状態で調整可能ですが、パン軸の方はパン棒が邪魔で外さないと調整できません。
しかしパン棒を取り外すには非常に長いネジを外す必要があり(偶発的な取り外しを防ぐためだそう)、現場で「ちょっと調整したいな」と思っても気軽に調整できません。

ティルト軸はパン棒装着時でも調整可能だが…

パン棒がベースに干渉するため90度傾けることができず、六角レンチが入らない。。
PB SWISS TOOLSの「マルチアングルボール付六角レンチ」の4mmで試したところ、調整可能でした。この雲台を持っている人は1本購入されることをお勧めします。
組み合わせ
一般的なビデオ雲台と同じでロール軸は調整できないため、別途レべリングベースや雲台の上に載せる必要があります。(もしくは毎回三脚で完璧な水平を整えてから使うか)
ReallyRightStuffの公式Facebookのトップバナー画像、そして製品ページの画像でもASCEND-14との組み合わせが掲載されており、この組み合わせで使うことを想定して設計されたのだと思われます。

※画像はReallyRightStuff SOARの公式Facebook トップバナーのスクショ

※画像はReallyRightStuffの製品ページより
私もASCEND-14Lを持っていますので、同じ組み合わせで使いたいと思います。
操作方法
まだベランダで試しに覗いてみただけですので、ベストな操作方法は変わるかもしれませんが、個人的にはパン棒が前にある方が対象物を捕捉しやすいように感じました。
パンノブとクランプの固定ノブの形状とサイズがほぼ同じなため、パン操作のつもりがうっかりクランプを緩めてしまったことがありました。
慣れの問題で解決は難しそうですので、せめてどちらかのノブの形状を丸くするなどの対策がほしいところです。
操作感は?カメラ用として転用可能?使用レビュー 〜9/9追記〜
さて本日早速使ってきましたのでレビューしたいと思います。
レビューの前に、雲台本体にはRRSのネオプレン製ポーチ「OPTECH-MINI」、パン棒には光のスポンジカバーが、移動中の傷・故障防止にちょうど良かった事を報告しておきます。
試写に向かった先はジブリのアニメ映画「火垂るの墓」で舞台となった夙川。桜の名所としても有名な景勝地です。
あまり写りは良くないのですが今は使っていないiPhone11をセットして試写してみました。
PT- Scoutの操作性は可もなく不可もなくという感じです。
ただかなりフリクションを追い込んでから撮影に挑みましたので、もし調整していなければ惨憺たる結果に終わったかもしれません。
この雲台の名誉のために言いますが、一般的な自由雲台や3way雲台の操作性と比較するなら、断然この雲台の方が操作はしやすいです。
一般的なビデオ雲台と比較してもサイズ・重量でと考えるとなかなか対抗できる製品は少ないのではないかと思います。
クランプノブとパンノブは形状も大きさも酷似していて非常に紛らわしいです。
それならば同じ側に寄せてしまって下の方と覚えた方が操作ミスが減るかも…と思い試してみたところ思った通り2つ並んでいると毎回確認するためうっかりミスをしませんでした。
ただしノブが近すぎて操作がし辛いです。
やはりこの雲台はスクリューノブではなく、レバークランプと組み合わせるのがベストだと改めて思いました。
次にNikonの軽量ミラーレス機Z50の標準ズームキットを載せてカメラ撮影用に転用可能かどうか検証してみました。
スチル用途の場合は左手でパン棒を操作しながら右手でシャッターを押す必要があり、ムービーの場合は右手でパン操作しながら左手でズームやピント操作をする必要があります。
フィールドスコープでは被写体側にパン棒をセットしましたが、カメラ撮影では撮影者側にセッティングします。
すごく使いやすいか?と聞かれればそうではありませんが、動いている被写体を撮影するという用途は普通に使えます。
次はムービー。
これも普通に使えますが、すごく使いやすいかと言えば以下同文。
販売価格が285ドル、公式サイトから購入となると送料が90ドルくらいでしょう。今の為替ですと5.5万円くらいにクレカの手数料と国内消費税を足すと総額は6万円を超えそうです。
この価格ですとそこそこ良いクラスのビデオ雲台が買えちゃうので悩ましいところですね。



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