日本では人気がいまいち伸びていませんが、私はReallyRightStuffの新レバークランプ「ARC-LR」の大ファンです。
このクランプが好きすぎて最近はこればかり選んで使っています。何がそんなに好きかって言いますと、全レバー(同社他社問わず)の中で一番使いやすいからです。(個人的感想です)
どれだけこのクランプが便利かという理由は後ほど熱く語るとして、このクランプへの愛はかなりのものと自負しています。
そんな私の熱いARC-LR愛が、ついに海を越えてReallyRightStuff社にも届いたようで、なんと記事への感謝のメールが届きました!
大好きな製品の記事を書いて、そのメーカーに喜んでもらえるなんて光栄の極みです。
しかしこれだけ愛を謳っておいて何ですが、私の持っているARC-LRって実は旧モデルなんです。
もちろん改訂されていたことは早い段階で知っていましたが、私自身は持っていなかったため、その件についてはブログでも触れてきませんでした。
そこでRRS社から「改訂されたARC-LRを使ってみませんか?」という有難いご提案をいただき、今回製品をご紹介させていただくことになりました。
もちろんお世辞は一切書く必要はなく、欠点があれば気にせず書いて良し。特記事項も一切無いという事ですので、RRSへの忖度は一切無し100%本音の徹底レビューしたいと思います!
Dear Really Right Stuff,Thank you so much.I really appreciate it!
それでは早速ご紹介していきましょう!
…とその前にまずは付属品の比較から。
付属品
製品名 | ARC-LR(改訂前品) | ARC-LR(改訂品) |
付属レンチ | 5/32” | 5/32” |
Rマウントアダプター | あり | 無し |
1/4”皿ボルト | あり/長さ7/8″ | あり/長さ1.25” |
M6皿ボルト | あり/長さ25mm | あり/長さ25mm |
マニュアルQRコードカード | あり | あり |
Rマウントアダプターが付属品では無くなったのが大きな変更点です。
RRS自由雲台の旧モデルをお使いの方は別途購入する必要がありますので注意が必要です。

新旧モデルの違い
改訂と言っても一見しただけではどこが変わったのか違いが分からない方も居るんじゃ無いの?ってくらいの微妙な変更です。
まずはRRS-Lock(※旧R-Lock/旧Rapid-Lock)のピンの形状。※商標権の理由で名称変更されました
左が改訂前品、右が現行品です。ちょっと分かりづらいのでトリミングしてみましょう。
このように一部分が削れたような傾斜がついています。RRSに問い合わせて伺ったところ以下のような回答をいただきました。

この仕様変更はすべての RRS-Lockクランプに展開されています。ピンがプレートを所定の位置に固定する方法には影響しませんが、エッジのわずかな面取りにより、状況によってはプレートをより簡単に取り外すことができます。
なるほど一部分に遊びを設ける事で、傾きなどによって生じるわずかなピンずれを許容し、取り外し時の引っ掛かりを軽減させる訳ですね。
RRS-Lockのように0.5mmくらいのクリアランスの場合は個体差も影響しそうですから、そういった対策なのかもしれません。
そして改訂でのもっとも大きな変更点は「フィンガー」と呼ばれる突起の有無です。
下の画像の赤丸で囲った部分です。左がフィンガー有りの改訂前品で、右が改訂品。
このフィンガーは私は結構気に入っていました。
フィンガーがあると機材の重量バランスを利用して機材の落下防止用のストッパーとして機能するからです。
フィンガーは垂直方向に使用する場合(たとえばPG-02に取り付ける場合など)にプレートをサポートするために設置された物だったとの事です。やはり落下防止が目的であったのは間違いではなかったようです。
そういった目的で設置されたフィンガーでしたが、ひとつ大きな問題を産むことになります。
それは互換性問題です。(詳細は下の記事をご覧ください)

そもそもARC-LRは様々なプレートとの互換性を重視して作られたモデルだったため、これはまさに本末転倒。結果、発売から1年も経たずしてフィンガーを廃したバージョンに改訂されたという訳です。
改訂された新ARC-LRはおすすめなのか?
今回の改訂によりARCクランプは他社プレート(いわゆるアルカスイス互換製品)との互換性が高まりました。私の知る限り全てのメーカーの全製品と互換性があると思います。
フィンガーの有無に関しては賛否両論あるかと思いますが、より多くのユーザーの声をフィードバックした改良品であることは間違いありません。
新旧どちらも良いのは間違いないので併売してもらえるのが一番嬉しいですが、俯瞰的に見てどちらか一つを残すならば現行品でしょう。
さてARC-LRが改訂されてもおすすめできるか?ですが
答えはもちろん変わらずめっちゃおすすめです。
もともと改訂前からイチ推しでしたし、それが改良されただけですからおすすめしない訳がありません。
ただ私の周囲のマニアックなRRSファン達の間でさえ、どうにもこの話題について盛り上がっていません。
新製品のNikon Z8やZ9の専用Lブラケットなどは相変わらず人気があるようですので、単に円安の影響で買い控え…という理由ではなさそうです。
となるとデザインが無骨すぎるのか?
これだけ素晴らしいクランプになぜ火がつかないのか不思議でなりません。

そんな訳でこのクランプの魅力を今一度おさらいしておこうと思います。
スペック
幅1: 55mm
幅2: 約65mm(幅調整により変わります)
高さ: 18mm
重量: 114g
外側ネジ穴:1/4″-20
外側のネジ穴の間隔:30mm
中央穴:3/8″スルーホール(貫通穴)
ユーザーマニュアル:https://kb.reallyrightstuff.com/knowledge/arc-lr-manual
クランプ幅 調整機能
お使いのプレートや機材に合わせて、クランプの幅調整ができます。
※画像はReallyRightStuff「ARC-LR」のマニュアルより
レバーを解除し、歯車側のクランプを押し込むと、歯車が顕になります。左に回すと幅が広くなり、右に回すと幅が狭くなります。
最高に使いやすいレバーロック
レバーロックは特別な操作は不要で、レバーを180度回転させるだけです。
最後までレバーを押し込む事でロック機能が働きます。
ロック解除も非常に操作性が高く秀逸。バタフライラッチを親指で押し上げながら、人差し指でレバーを引くだけで安全にかつ簡単にプレートをリリースできます。
半ロック(90度位置)でしっかり止まってくれるので、プレート位置の微調整なども非常に操作しやすいです。
このクランプの良質な操作性に慣れてしまうと、もう他のクランプには戻れません。
RRS-Lock( 旧R-Lock / 旧Rapid-Lock )
ARCクランプに搭載された「RRS-LOCK(旧R-Lock/旧Rapid-Lock)」は非常に優れた滑落防止機能です。
最新のRRS-Lockに対応したプレートを持っている方は、騙されたと思って絶対に使っていただきたいです。
ARCクランプに搭載された直径 5mmのRRS-Lockピンが、最近のRRS純正プレートに搭載されている直径 5.5mmのRRS-Lock穴にかみ合うようになっています。

※画像はReallyRightStuffの製品ページより
ARCクランプのRRS-LockピンがプレートのRRS-Lock穴に「カチッ」という音と共に嵌め合うことにより、自動的にカメラのセンサーの中央位置とクランプの中央位置が一致。
それにより意図しないプレートの位置ズレや機材の滑落を防いでくれます。
レバーが解除されている状態ではRRS-Lockピンは完全に引っ込んでおり、半ロック(90度位置)で出てくる構造となっています。
機材を載せる時はピンは出ていない状態ですので邪魔になりません。
(仮にピンが出ている状態であってもバネ式のため、プレートが固定できないと言ったことはありません)
でもあえてカメラの中央位置からズラしたいのにRRS-Lockが掛かってしまった!
って事もいつかは起こるかもしれません。便利機能が時に邪魔に感じることって往々にしてありますよね。
でも安心してくだい!
半ロック状態でプレート位置を合わせている時にRRS-Lockが掛かったとしても、バタフライラッチを上げるだけでRRS-Lockを解除できますので、ユーザーが好きな位置にプレートを調整することが可能です。
ロゼットマウント(R-mount)

※写真はMicro Panning Clampの裏側
ARCクランプに限った仕様ではありませんが、マウントはロゼットマウントです。
ロゼットマウントは、クランプと雲台の結合点でのねじれを防止し、以前の実はぎ(さねはぎ)設計に起因する「遊び」を抑えます。
一体どの程度、遊びに差があるのかと言いますと、それはもう雲泥の差です。言葉では説明が難しいので映像でご覧ください。
以前のマウントによる遊びが撮影に及ぼす悪影響はほとんど無いと思いますが、遊びが無いというのは歓迎すべきです。
外観・サイズ感
RRSのBH-55に装着してみました。さすがライフル(SOAR)のラインから流れてきたデザインだけあって格好良いですね。
従来のレバークランプが滑らかで美しいフォルムだったのと対照的に、こちらは無骨で厳つい印象になっています。
次にARCA-SWISS P0 Hybridに装着。直径60mmのベースにちょうど良いサイズだと思います。
改善してほしいと思う部分
レバーの表裏がほとんど同じなので、現在クランプが開いている状態なのか閉じている状態なのかが分かりにくいです。
私はレバーを閉めれば隠れる位置にシールを貼って、現在の状態が一目で分かるようにしています。このように明確に表裏で違いがあれば良かったと思います。
またクランプ幅を調整するテンションダイヤルに何も印字されていないので、いつもと異なるプレートを使って調整した後で、いつもの幅に簡単に戻せるように線や目盛りなどが印字されていれば便利だと思います。
私はシルバーのシールを細くカットして貼り付けて対処しています。
水準器が搭載されていません。この点を短所と思う方もいらっしゃるでしょう。
価格・購入先
価格は$160.00。
定番のB2-LR IIが$140.00ですので、これだけ多機能なモデルであれば価格は妥当だと思います。
ただ現時点ではARC-LRもロゼットマウントアダプターもB&Hでの取り扱いがありません。
AdoramaにはARC-LRが売っていますが、なぜか$10高くなっています。(おそらく販売前の予約価格から変更されていないのだと思います)
RRSのショッピングサイトから購入する場合はUPSでの発送となるため、配送会社を選べるB&Hなどと違って送料が高いです。送料の高さが理由で購入を躊躇してしまう気持ちはよく分かります。
ただRRSは問い合わせると結構親身になって対応してくれる事をご存じない方が多いのではないでしょうか?
実はクランプ1個など小さなパッケージの場合は、メールなどで問い合わせのうえ、相談すれば発送方法の変更してくれる場合があります。(※必ず対応するとは保証できません)
購入を検討してるけど送料が高くて苦しいなという方は対応してくれたらラッキーくらいの軽い気持ちで一度問い合わせをしてみてください。
問い合わせ先→ support@reallyrightstuff.com
まだARC-LR愛を語り尽くしていない気がしますが、長くなりすぎるので続きはまた別の機会に語りたいと思います。



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