先日、STAHLWILLEのトルクレンチを購入しました。
このメーカーのトルクレンチはヘッド差し替え式のモデルが多いのが特徴です。
ヘッド差し替え式の何が良いかって言うと「汎用性の高さ」です。たとえば通常のラチェット(ソケットレンチ)で回せない場合に、ヘッドを交換するだけであらゆる場所・形状のネジボルトのトルク管理が可能になるのです。
しかし差し替えヘッドの中には通常ヘッドと長さが異なる製品があります。
通常ヘッドより少しでも長いヘッドを取り付けた場合、設定したトルク値より大きなトルクがかかることになります。
私が購入した差し替えヘッド「725QR/5」も通常ヘッドよりも10.5mmも長いモデルです。そのため、トルク値を換算する必要があるのです。
今回はそういうちょっと面倒くさい算数のお話し。

今回買った差し替えヘッドはプッシュリリース式でしたので、通常の円形ヘッドよりも少し長いため、換算が必要なモデルです。
トルクの換算方法
●STAHLWILLEのwebサイトで使用するトルクレンチと差し替えヘッドを検索し、L・LF・Sそれぞれの数値を確認。※スペックの記載がない場合は、実際に計測してください。
●それぞれの数値を下の図内の公式に当てはめて計算。
つまり 9.65N・mにトルク設定して締めると、ボルトを10N・mで締めることができる。ということになります。
あとは簡単、このハンドルとヘッドの組み合わせに限って言えば、締め付けたいトルク値に0.965を掛けてやれば良いということですね。
ただぶっちゃけSTAHLWILLEのトルクレンチって細かいトルク設定できないんですよね!
1目盛りが2N・mですので、少数になってくると「何とな〜くこの辺かな?」という合わせ方しかできません。せめて1N・m単位にしてほしかったですねー。
上のようにガイドを当てると9.65N・mはこの辺。
ちょうど1のライン上あたりですから、今回は合わせやすかったです。では実際にこの数値に合わせて、実測値と合っているか検証してみましょう。
検証
検証に使った計測機はKTCのトルクルです。トルクルはスマートフォンやタブレットなどに専用アプリをインストールするだけで、測定値の結果を表示できる測定器です。
使い勝手の良い機器ではありませんが、仕様では謳ってないものの2N・m〜80N・mまで確認できること、安価であること、計測結果履歴が画面に残ること、という素晴らしい条件が揃っているので、こちらに決めました。差込角が1/4であることや、ちょっとアプリがゴミな部分は目を瞑ります。
まずは換算トルク値に設定して5回計測します。
驚きました。素晴らしい計測結果です。でもプッシュリリース機構の快適さよりも、いちいち換算する面倒くささの方が上回っている気がするのは、ここだけの話し。
運用方法
毎回使うたびに計算するのは面倒くさいので、換算表を作成しました。
小数点第2位はまったく必要なさそうですが、一応念のため。
グリップずらしは有効か?
10.5mm長さが伸びて有効長が変わったのであれば、手力加圧線をズラしたら解決しないのでしょうか?
もしそれで良いなら、換算よりも圧倒的に楽です。
試しに手力加圧線から10mmハンドル側(外側)にマスキングテープでラインを引きます。
このラインに中指の中心がくるように握り、先ほどと同様、トルクルで5回計測し、測定結果を比較してみたいと思います。
この後、繰り返し計測しているうちに、グリップから小指がはみ出てしまい、何度か力の入れ具合にムラが出る事があり、数値にバラ付きがありました。
面倒な換算を行い、算出された細かい少数を目を凝らして合わせる手間を考えると、よほど厳密なトルク管理が必要な作業じゃない限り、グリップずらしも有りかもなぁと思います。
…がザックリで良いなら設定トルクをほんの少し低く設定すれば良いだけですので、あまり意味がないかもしれません。
通常サイズのヘッドにしておけば、こういう面倒くさい作業はありませんので、皆さまにおかれましては通常ヘッドをお勧めして終わりたいと思います。
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