先日Twitterの友人から問い合わせがありました。

中古で購入したGitzo三脚のロックナットがシャリシャリ鳴るのですが、どうしたら良いですか?
三脚の清掃方法を記した記事を書いたつもりだったのですが、どうにも見つかりません。書いたと思うのですけどね。ボケが始まったのかもしれません。
ともあれ当ブログの記事を見返しても見つからないので、改めて書くことにしました。尚、当メンテナンス方法はRRSに限らず、Gitzoのように各部が分解できる三脚であれば、ほぼ共通して行なっていただけます。高品質な三脚が末長く元気でいられるように、ぜひ実践してみてください。
どんな時に掃除すべきか
ごく普通の使用方法であれば、毎回使う度に清掃する必要はありません。普段のメンテナンスは、各部の動作に変化がないか確認し、問題がないようであれば、固く絞った濡れタオルで拭いてやり、乾かしてやるだけで十分です。
雨に濡れた場合
まずは雨の程度によります。小雨に濡れた程度であれば、普段通り固く絞った濡れタオルで綺麗に拭き、しっかりと乾かせばOKです。
大雨だった場合は泥などが各部に入り込んでしまった可能性があります。これを放置すると大きなトラブルに発展する可能性がありますので、地面の近い脚だけでも良いのでしっかり清掃しましょう。とは言っても難しい作業ではありません。後で詳しく清掃方法をご紹介します。
海水を浴びた場合
海水は三脚にとって最大の敵のひとつです。
塩分は錆の進行を早めますし、硬い結晶になってしまうと可動部がじゃりじゃりとして動かしづらくなったりします。いわゆる塩噛みってやつです。ですので使用後はなるべく早く塩分を除去することが重要です。こちらも後で詳しく清掃方法をご紹介します。
砂・土・泥地で使った場合
砂や土も三脚にとって厄介な相手です。
ロックナットなどに砂が可動部に侵入したまま、操作してしまうと噛んでしまい、最悪の場合はネジ山を壊してしまいます。あれ?噛んでる?と思ったら慌てず、まずは三脚を逆に向けて少しずつナットを左右に動かしてみてください。小さな砂なら少しずつ落ちてきてくれます。砂がなくなったかな?と思っても油断せずにゆっくり緩めて外してください。大きな砂が噛んでいる場合は無理せずサポートに相談しましょう。
掃除方法
①各部動作の確認をする
まずはロックナットや脚の開脚部分など可動部に、異常がないか確認しましょう。ロックナットに砂が噛んでいるようであれば、無理に回さずに、逆さに向けて小刻みに左右にゆっくり回して、噛んだ砂を振るい出してください。それでも回らないようであればメーカー修理に出した方が懸命です。レバーロックや開脚部分に砂噛みしている場合は、工具でネジを外して清掃を行なってください。
海水に浸けて数日メンテナンスを怠ると、たまにロックナットが固まって動かなくなる場合があります。これは塩噛みですからぬるま湯に数分浸してから、再度緩めてみてください。
長く操作していない場合、内部でグリースが固着している場合があります。この場合はドライヤーで数分温めてやる事で緩めることができます。
金属製の三脚の場合、サビが原因で固まっている場合があります。この場合はWD-40などのスプレー式の潤滑剤を噴射し、浸透させることで改善する可能性があります。
いずれにしても無理はしないように丁寧に対処してください。
②最初は面倒でも分けてメンテナンスする
一気にすべての部品を分解して水にシャワーで流して、ドボンと水に浸ければ確かにあっという間に清掃は終了します。しかしこれは慣れてからにしておいた方が無難です。なぜならどのように組み立てられていたのか分からなくなった時に困るからです。
③洗う
さていよいよ洗います。とは言っても簡単です。用意してほしいものは子供用歯ブラシと雑巾、食器用中性洗剤。
洗面器やアルミボールなどにぬるま湯を貼り、食器用洗剤を入れ混ぜます。分量は食器を洗う時と同じくくらいで良いです。
ロックナットの内部も清掃する場合は、内部の部品を壊さないように慎重に外してください。Oリングなども紛失しないように注意しましょう。
ある程度汚れや古いグリースが落ちたら、流水(シャワーでもOK)で洗剤と汚れを洗い流します。それでもグリースは完璧には落とせないと思います。古いグリースが残ったまま新しいグリースを塗布すると、グリース本来の性能が発揮できない可能性があります。できる限り、綺麗に除去しておきましょう。
そんな時に便利なケミカルが「パーツブレーキクリーナー」です。中でもプラスチックにも使える物を選ぶとカーボン樹脂への負担を軽減できます。
ここまで綺麗になったら綺麗な乾いた布で水分を拭き取り乾かします。乾いてから組み立ててください。
脚の掃除も基本的に同じです。グリースが付いた部分だけしっかりと落として、他の部分はさっと洗い流してください。海水に浸けた場合は1分間、たらいなどに貯めた水道水につけ置きしましょう。これでほぼ塩分が抜けます。
ロックナット同様、綺麗になったら乾拭きし、できるだけ完全に乾かしましょう。
③グリースアップ
次に新しくグリースアップします。私が三脚のロック部分に最適と思うグリースは「SuperLube 多目的グリース」です。グリースガンに入れておくと無駄なく使うことができます。
グリースをネジ山全体に行きわたるように伸ばします。
塗布量は多すぎないように注意しましょう。グリースがはみ出しているとゴミが付着したり、他の機材を汚してしまう可能性があります。ネジ山以外に付いてしまったグリースは綺麗に拭き取っておきましょう。ナット側にグリースを塗布する必要はありません。
④稼働しない金属部品はサビ止めしておく
例えば石突のネジ部分など普段は動かない金属部分は錆びやすいので、WD-40をウエスなどに噴射し、そのウエスで拭いておくと良いと思います。汚れも取れるので一石二鳥です。
⑤元どおりに組み立ててメンテナンス終了
完全に乾いたら元どおりに組み立てましょう。動作確認して問題ないようでしたらメンテナンスは終了です。
開脚部分の清掃に関しては「タケシ クリヤマ氏」著の、過去記事が詳しいので、そちらをご覧ください。
Really Right Stuff カーボン三脚のメンテナンス ~アングルジョイント部分~
参考になりましたら幸いです!
使った道具


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コメント
ハクさん、こんばんは。三脚の掃除、最近サボっているのでそろそろやらないと、という気になりました。ありがとうございます。日頃は可動部以外はパーマセルテープで保護していますが、テープも数年で劣化するので貼り替えてグリスアップしたいと思います。さて、ベンロのギア雲台GD3WHを購入しました。多分ハクさんはアルカスイスのギア雲台をお使いですのであまり興味ありませんよね。でも私はそんな高価な雲台買えませんし、今までマンフロットのジュニアギア雲台を使ってきましたので、コピー発展商品なので、とても気に入っています。まずマンフロットのはアルカスイス互換にするために基部以外を撤去してプレートをつけてKirkのクランプを取り付けていたのですが、ベンロのならいきなりアルカスイス互換なので、安定して使えて便利です。がたつきもなく、ほとんどマンフロットのジュニアギア雲台のフィーリングで動かせます。(コピー商品は道義的に問題ですが、マンフロットのギア雲台アルカスイス互換無視も問題ではないですかね。)さらにノブが一回り大きくなっていて使いやすいです。マンフロットのジュニアノブは細いので、椅子の滑り止めラバーを付けたり、パーマセルテープで太くしたりしてましたが、ベンロのはそのまま使えます。しかも高さがないので安定して使えます。もう少し検証してみる余地はありますので、また報告します。取り急ぎ。
philotripusさん、こんばんは。BENROのギア雲台買われたのですね。おめでとうございます。コピー製品に関する扱いはとてもナイーブですので、手にしても、なかなか記事には出来ないのですが、中華コピーも昔のように、ただデザインを模倣した劣化コピーではなくなってきたようですね。しかしこうなる前にManfrottoも意地を張らずにアルカスイス互換化すれば良いのにと思います。
ハクさん、ジッツォの雲台がすでにアルカスイス互換になっているのに、それを傘下に持つマンフロット(現ヴァイテック)のギア雲台が古い規格のままなのは、単に意地を張っているだけなのでしょうか。それとも何か他に理由があるのでしょうかね。どっちにしても私はハクさんのような写真のプロではないのでジュニアギア雲台は重宝しました。ところでようやくアドビのライトルームでZシリーズのテザー撮影が出来るようになって便利になりましたね。
philotripusさん、こんばんは。Gitzoは採算度外視で制作していて、Manfrottoは採算を最優先という事ですので、コストを考えてリニューアルしないのでしょうか?次の製品は辺りはアルカスイス互換にしてくれると期待しているのですが。
Z6の瞳AFアップデートも早くきてほしいですね。