撮影時のガラスの映り込み対策グッズ 徹底比較

展望室など屋内から撮影するときに邪魔になるのがガラスの映り込みです。

このような盛大な映り込みを対処するために、前回はAmazonで買った安物のラバーフードをご紹介しました。

アルティメートレンズフード 折りたたみ式 シリコン レンズフード

しかしこの商品は完璧なものではありませんでした。

広角だとケラれる

なぜなら24mm程度の広角レンズでも、ちょっと角度をつけたらケラれてしまうからです。

しかし夜景撮影などでは、できるだけ広く写したいと思うこともあると思います。今回は様々な映り込み防止対策アイテムを比較したいと思います。ご協力してくださったみくろうさんcoffeeloverさんありがとうございました!

今回試そうと思う対策グッズは全部で4つ。

1.アルティメートレンズフード(Amazon版)

前回紹介したので詳細は割愛します。1168円と今回検証する中で最安の製品です。ゴムが固くてほとんど伸び縮みしないため、レンズの口径に合わせてカットする必要があります。それが原因で手持ちのレンズの口径に合わせて複数個持たなければならない可能性があります。固いゴムが原因で操作性がもっとも悪く、また大きさも小さいため、窓との距離を稼ぐことができず隙間もできやすいです。35mm以下ではケラれに注意が必要です。

2.Ultimate Lens Hood(ULH)本家

「Kickstarter」で商品化され話題になった本家本元のUltimate Lens Hood。かぶせる部分の直径が60mm以上あれば、ある程度の太さのレンズまで対応可能で、ネットでググってみたら直径128mmのレンズにも装着できたという報告もありました。今回はお借りした物ですので、無理せず77mm径程度のレンズに使いたいと思います。価格は£35(約5000円)とそこそこします。こちらより小さいサイズも販売されています。

3.レンズスカート

MADE IN USA 、直径約20cmまでのレンズに対応し、広角15mmレンズでもケラレ無く撮影可能と販売ページには記載があります。 4つの吸盤を窓や水槽のガラスにくっつけてセット、あとは通常どおり撮影するだけで、写り込みのない撮影が可能です。本体サイズは22.9 x 25.4 cmで折り畳む事ができるので、スペースを必要とせず、バッグに入れられます。 価格は今回の中でもっとも高額で6280円。ラインナップにはこちらより大きいサイズがあります。

暗幕(自作)

最後が自作の暗幕です。布は贅沢にハイミロン(1m×92cm)を使用しています。布の中央にレンズの大きさに合わせて丸くカットし、四隅他、数カ所をバインダークリップで挟みます。窓にレバー式吸盤フックを付け、フックにクリップを引っかければセット完了です。ハイミロンはネットショップで2085円、フックとクリップは100均で揃えたので、合計2295円でした。

検証

真っ直ぐに向けて撮影しても効果が分かりにくいので、30度ほど傾けて検証します。使用レンズは24-70mmF2.8の24mm。

まずは前回紹介したエントリナンバー1番「アルティメートレンズフード(Amazon版)。

酷い…あまりにも酷すぎる結果です。むしろケラれ過ぎてそういう作品なのかな?と思ってしまうほどです。35mm辺りから改善されます。

次に他の3つ続けて。

「Ultimate Lens Hood(本物)」

「レンズスカート」

「暗幕(自作)」

この3つに関してはほとんど差がありませんでした。さすがにそこそこお金が掛かっている物を使うと、24mm程度なら問題なさそうです。


使用レンズは14-24mmF2.8の14mm。Amazon版の劣化コピー品はもう円周魚眼みたいになってしまったので、すっ飛ばします。

「Ultimate Lens Hood(本物)」

「レンズスカート」

「暗幕(自作)」

これもほとんど変わりません。どれもこれもしっかりと役割を果たしてくれます。


しかしこれ以上角度がついてしまうと当然ケラれは発生します。

レンズスカートの吸盤がバッチリ写り込んでしまいました。ケラれも出ていますね。これを回避するには暗幕しかありません。

暗幕だと写り込みを抑えつつ、ケラれも発生しません。撮影の検証結果としては暗幕がもっとも良かったということになります。

写り込み防止性能としては以下の順位となります。

  1. 暗幕(自作)
  2. レンズスカート / Ultimate Lens Hood(本物)
  3. アルティメートレンズフード(Amazon版)

使い心地

アルティメートレンズフード(Amazon版)

固いです。引っ張っても伸びないので、レンズの口径に合わせてカットしないと装着することも出来ません。少しでも角度がつくとケラれが発生してしまうため、35mm以上の広角レンズになると使えません。

Ultimate Lens Hood(本物)

お借りしている物という事もあってあまり無茶が出来なかったのですが、77mm 径くらいのレンズであれば引っ張れば使えます。そのため14-24mmF2.8は前玉側から装着できないので、一旦レンズを外して後玉側から装着しました。

また素材が柔らかすぎるため、形が定まりません。上側はガラスに引っかかってくれるので良いのですが、下側はダルンと垂れて隙間が空いてしまいます。

上の画像の通り、左下に写り込みが発生してしまいました。手で隙間を押さえ忘れてしまうと、こういう悲しい結果になってしまいます。この結果から分かるように、忍者レフだと相当手こずると思います。

レンズスカート

セッティング・装着が簡単で、よほど大きく角度をつけない限り効果は絶大です。軽く扱いやすいため持ち運びも便利です。価格がネックですが使い心地は最高です。

暗幕(自作)

使い心地としては可もなく不可もなく、と言ったところです。ただ結構場所を占拠してしまうため、観光客が多い所では迷惑になる可能性があります。また布はペラペラですので毎回注意して扱わないと思わぬケラれが発生してしまいます。

使い勝手の良さとしては以下の順位となります。

  1. レンズスカート
  2. Ultimate Lens Hood(本物)
  3. 暗幕(自作)
  4. アルティメートレンズフード(Amazon版)

オススメランキング

4位;アルティメートレンズフード(Amazon版)

他の製品と比較すると使えないなという感想です。パチモンはパチモンという事ですね。ただ50mm以上のレンズで撮影する分には、あまりストレスを感じませんので、価格を安く抑えたいなら良い選択肢になると思います。

3位;Ultimate Lens Hood(本物)

使い心地が今一歩ですが、それなりの効果があります。暗幕よりもちょっと使いやすいですが、効果は全然暗幕に届きません。暗幕よりも価格が高いので僅差で3位となりました。

2位;暗幕(自作)

使い心地にはやや難ありですが、写り込み防止効果は絶大です。手作りですので安価なのも良いですね。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ハイミロン 無地
価格:156円(税込、送料別) (2019/2/3時点)

楽天で購入

 

 

1位;レンズスカート

使い心地の良さ、写り込み防止効果、可搬性、総合的に見てレンズスカートが一番だと思いました。もう少し大きな物があったら良いなと思いましたので、XLサイズを買うともっと良いかもしれません。

<2019年2月24日追記>友人のGentaro君がレンズスカートXLを購入し、大阪第三ビルにて検証を行ってくれました。Gentaro君ありがとう!

まずはサイズの違いの比較してもらいました。

おお!意外とXL大きいです。数値以上の差を感じますね。

装着したところ。機材の大きさは多少違うとは言え、かなり大きく見えますね。

布の膨らみも相当あるようです。12mmのレンズで撮影されたとの事ですが、多少角度をつけてもケラれることはなかったとの事です。ではご本人に率直な感想を聞いてみましょう。

Gentaro君
Gentaro君

不満はやはり広角などのレンズ使って角度をつけると使いにくいことですね。スカートの形が決まってるので自由に形を変えれないし、無理に角度をつけると、辺が浮いてしまって少し映り込みしてしまったり…。ただ広角使うなら大きいサイズの方が小さいサイズより確実に映り込みはマシになると思います!

なるほど。XLになると若干吸盤の距離が長くなる分、浮きやすくなるかもしれませんね。あとは大きくなる分、バッグのスペースは必要でしょうし、その辺りはよく考えて選ぶ必要がありそうです。

以下、Gentaro Kitani氏の作例です。

Gentaro Kitani氏…夜景メインのフォトグラファー。兵庫在住。東京カメラ部「日本の47枚」2017 / 工場夜景「美の祭典」2016 / 行ける工場夜景展2017.2018

Gentaro Kitani氏のツイッターはこちら


という訳で、窓の写り込みのあらゆるシーンを想定してオススメするならレンズスカートです。サイズはお使いの機材に合わせて選んだ方が良いと思います。事前に使えると分かっているならば、完璧に映り込みを取り除ける暗幕が最高だと思います。

ぜひ写り込み対策をして素敵な夜景撮影を楽しんでください!

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. crispicture より:

    偶然に貴サイトを見つけ、LENSKIRT買ってみました。使えますね!レビューに感謝申し上げます。
    私は大げさにならずに窓越撮影をしたいので、hakuさんの結論はXLでしたがhakuさんがレビューしたスタンダードサイズを購入しました。それで実際に使ってみて、なるほど大きいのがベターというご意見に共感します。ただ私がXLを躊躇したのは、先に書いた大げさになりたくないという理由と、XLは画像で見る限り深さが深く、ガラス面に対して角度が付いた状態で撮影するときにLENSKIRTの写り込みを避けるためにガラス面に近づくのに不利ではないか、との心配からでした。ハクさんはその後XLを追加購入されたでしょうか?自分が買ってみれば良いだけなのですが、、XLのレビューをしていただければ嬉しいです。私的にはガラスに接する側の開口部はXLサイズで、深さはスタンダードサイズのがあれば良いのになと思っています。

    • haku haku より:

      crispictureさん、コメントありがとうございます。私自身はXLは買っていないのですが、友人がこの後に買いまして、私が検証した同じビルで撮影して頂きました。後ほどこの記事に追記したいと思います。

      • crispicture より:

        わぁ、こんなに早くXLのレビューをしていただきありがとうございます。
        スタンダードサイズをもうすこし使ってからXLを購入して、深さを浅くするなど改造してみようと思います。スタンダードサイズの辺が浮かないのは、小さいから型崩れしにくく、ピラミッドの裾野のような形状を崩さずに(窓に接する辺が比較的まっすぐな状態で)十分に窓に寄れるからだと思います。Gentaroさんの実写とコメントたいへん参考になりました、hakuさん、Gentaroさん、ありがとうございます!

  2. philotripus より:

    ハクさん、こんにちは。さすがにブツ撮りのプロの方ですね。何気なく見ている広告も、いろいろな技を駆使して作られていて、とても素人が簡単には真似できないものだなあ、と感心します。ところで、夜景のようにかなり遠い風景のとき、絞り値はどうされてますか。私は馬鹿の一つ覚えで焦点距離21ミリでも25ミリでも50ミリでもF11か8にしてしまっていたのですが、最近ハイパーフォーカルディスタンスから考えれば開放値から1段絞るぐらいでも手前を入れなければパンフォーカスになりますし、シャッタースピードも稼げるので、一応開放付近と絞り込んだのを両方撮るようにしています。どちらが正解か分かりませんが、夜景の光芒は絞り込んだ方が綺麗ですね。作例の絞り値をお教えいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

    • haku haku より:

      philotripusさん、こんにちは。作例の絞りはF13です。正解不正解は無いと思いますが、色収差を抑えてシャキッとした解像感を出すという前提のもと、やはり開放から1〜2段くらい絞ったところが良いでしょうね。光芒を強調したい場合でもF値は今回のようにF13くらいかなぁと思っています。それ以上絞って撮影しても画質が悪くなるだけですので、結果的にその写真はほとんど手元には残りません。

  3. philotripus より:

    ハクさん、早速のお返事ありがとうございます。夜景でF13まで絞るのですか。私は絞ってもF11までにしていたので参考になりました。いろいろ自分で試してみないと分からないものですね。

    • haku haku より:

      philotripusさん、こんばんは。絞りはかなり自由に設定しています。解放で少しずつピントをズラしてブラケット撮影して、後で合成する事もあります。これを私は勝手にピントブラケットと呼んでいます。ピントが合った部分をブラケットして合成するフォーカスブラケットのボケ版みたいな感じですね。それをF13まで絞った夜景に比較明合成したりとか。夜景撮影は趣味ですので、試行錯誤しながら楽しんでいます。

      • philotripus より:

        ハクさん、こんばんは。F値は自由に設定されているのですね。なるほど参考になります。私は教科書縛りなので、自然風景は無意識にF11にしてました。今後の課題はF値を自由自在にコントロール出来ることです。ところでフォーカスブラケットのボケ版って何ですか。よく分からないのですが、開放値フォーカスシフトで合成すると、数十枚になるのでしょうが、それを合成すればボケは無くなると思うのですが、謎ですね。以前、梅花をF2/100mmレンズでF2.8でフォーカスシフト合成してみたのですが、風で被写体ブレしていて、ピントの合った花の周囲にブレた花が写っているという奇妙な写真になったことがあります。そういうのですかね。

        • haku haku より:

          philotripusさん、こんばんは。ピントブラケットは明らかにボカした写真のみを10枚ほど合成し、ピントが合った1枚に比較明合成します。説明が難しいので、作例を出すとこんな感じです。
          https://drive.google.com/open?id=0B6TDDW1-DCsZN3BiNzNRMU5ZOFE
          ただしこれはさらに構図も少しズラしています。

          • philotripus より:

            ハクさん、こんばんは。なんなんですか、このお写真は。こんなんできるんですね。びっくりしました。

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