Really Right Stuff シリーズ1 三脚 徹底比較

昨年末に満を辞して発売されたReally Right StuffのASCEND-14。日本でもユーザーがポツポツ増えてきた頃だと思います。

今回は現在も販売されているTQC-14 Mk2やTFC-14 Mk2と比較してASCEND-14が買いなのか?それともTQCやTFCの方がお買い得なのか?考えてみたいと思います。

大きく分けてシリーズ1は全部で4種類

大別するとRRSのシリーズ1三脚は以下の4種類です。

  1. TQC-14 Mk2(センターポール付き:カーボン三脚)
  2. TFC-14 Mk2(センターポールなし:カーボン三脚)
  3. ASCEND-14(コンパクトモデル:トラベルカーボン三脚)
  4. ASCEND-14L(ロングモデル:トラベルカーボン三脚)

まずはスペックで違いを見てみましょう。

TQC-14 Mk2 TFC-14 Mk2 ASCEND-14 ASCEND-14L
段数 4段 4段 4段 4段
縮長 47cm 46cm 44 cm 51 cm
重量 1261g 1116g 1360g 1446 g
全伸高 148 cm 120cm 148 cm 169 cm
センターポール高さ 27cm なし 26 cm 26 cm
価格 $935 $835 $1,150 $1,250

スペックから見るとTQCはセンターポールのもっとも長いモデル。TFCはもっとも軽いですが、もっとも全伸高が低いモデル。ASCENDは縮長が一番短かいモデル。ASCEND Lはもっとも全伸高が高いですが、もっとも重く価格が高いモデルだということが分かります。

しかしこのスペックだけではなかなか決めにくいように思います。

各モデルのメリットとデメリット

各モデルにはメリットとデメリットがあります。簡単にご紹介したいと思います。

TQC-14 Mk2

私が初めて買ったシリーズ1がTQCです。センターポールを使わなければTFCとほとんど全伸高は変わらないため(121cm)、実質夜間などは高さを稼げません。センターポールの機構が使いにくく、工具がないとセンターポールを分解できません。またショートポールのセットアップも頼りない構造で、このセンターポール周辺が一番のデメリット。

TFC-14 Mk2

コンバージョンキットを使って、TQCをTFC化しました。センターポールが無いので全伸高が120cm以上稼げないのがデメリットです。もっとも軽く、ASCEND-14Lよりも300g以上軽量です。最初からセンターポールがないので、グランドレベルから全伸高までスピーディにセットアップ可能です。ねじり剛性も全モデル中もっとも高く、価格も一番リーズナブル。

ASCEND-14

使ったことがないので想像です。センターポールを使わなければTFCとほとんど全伸高は変わらないため(124cm)、実質夜間などは高さを稼げません。しかし縮長は44cmと全モデル中一番コンパクト。TQCと比較するとセンターポールの機構がとにかく使いやすく改良されています。ねじり剛性もTFCには及ばないものの、TQCより少し改善されています。価格がTQCより215ドルも高くなっているのが悩ましいところ。

ASCEND-14L

今回私が買ったモデルです。センターポールを使わなくても全伸高が142cmあるというのが一番のメリット。TQCよりもセンターポールの機構が使いやすく改良され、ねじり剛性も改善されました。問題は価格が高すぎること。また縮長が51cmと全モデル中一番長いため、トラベル用途としては少々長いです。

実際に比較してみた

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

ASCEND-14LとTQC-14 Mk2ではこれだけ高さに差があります。一般用途ではこの高さは魅力的です。しかしトラベル限定であればここまでの高さは必要ないかもしれません。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

全モデル、素晴らしい品質のカーボンでパターンも格好いいです。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

パイプのカットやシューホース用のホールの加工はお世辞にも丁寧とは言えません。この辺はカリフォルニアに本社があった頃の方が断然良かったです。現在はどのモデルを買ったとしても、このような加工精度です。

大きな違いはセンターポール。TQCは一般的な丸型パイプに空転防止用の溝が付けられただけですが、ASCENDは三角形のような形状です。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

この形状になったおかげで折りたたむ際のロスがなくなり、胴回りがかなりスリムになりました。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

エンドフックはTQCの方が大きいためバッグのベルトなどを掛ける時に使いやすいです。

Really Right Stuff RRS ASCEND-14

TQCはショートポール化するために1/8六角レンチが必要でしたが、ASCENDは工具要らずで分解できます。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

センターポールのロック機構も大きく変わりました。ASCENDはレバー式となり、正直めちゃくちゃ使いやすいです。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

ASCENDでは三脚の基部に水準器が追加されました。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

段ロックセレクターも変更点がありました。TQCもTFCもバネ式ですが、ASCENDはマグネット式です。メンテナンスが非常に簡単になりました。しかしマグネットの減磁によってセレクターが使えなくなる懸念があります。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

TQCやTFCは横長の通気孔が空いていましたが、ASCENDは無くなりました。小さな丸穴は通気孔ではなく、ASCENDは上部に大きな通気孔が空いてます。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

段ロックセレクターのストッパーが段々になりました。今回こういった見えない部分の変更がたくさんあります。

tqc-14 mk2 tfc-14 mk2 ascend-14

ゴム石突を装着するエンドのパーツの形状も変更されています。

結局シリーズ1はどのモデルがおすすめなの?

おすすめ発表

TQC-14 Mk2…残念ですがASCENDが出た今、このモデルをお勧めしにくくなりました。

TFC-14 Mk2少しでも軽くて強い三脚を求めている方におすすめ!全伸高は低いですが、とにかく軽くて頼れる三脚です。

ASCEND-14個人的に悩ましいスペックです。ボールヘッド付き(ASCEND-14-BH)でトラベル用途に限定するなら良いのかもしれません。どうしてもRRSのトラベル三脚が欲しい!という人におすすめです。しかし総合的に比較検討すると、Gitzo2型トラベラーの方が良いような気がします。

ASCEND-14L個人的に一番おすすめです!旅行に限定せず、通常使用を想定するならこれに決まりです。通常撮影ですと高さがあるってやっぱり便利です。一般的な雲台を使いたい場合は雲台なし(ASCEND-14L-PF)を、いずれPFが発売されたら追加するという方は雲台付き(ASCEND-14L-BH)をおすすめします。

低くても剛性重視なら「TFC-14 Mk2」、総合的に使いやすい三脚を求めるなら「ASCEND-14L」と結論付けさせていただきます。


この記事を書いている時点で、RRSの抱える問題が綺麗さっぱり解決したわけではありません。価格もGitzoを超えますし、もし購入を相談されたときに曇りなき眼で勧めるか?と聞かれたら正直人によって意見が変わります。

今回の結論に嘘偽りはありませんが、あくまでも私個人の見解です。高い買い物ですのでしっかりと他社製品と比較して、後悔のない機材選びをしてください。

Really Right Stuff ascend-14

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!
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