今回は先日届いたばかりのReally Right Stuffの三脚「ASCEND-14」のファーストインプレッションです。スペックなどに関しては前回記事をご覧ください。
前回記事:RRSから超久しぶりの新製品登場!ASCEND-14 アドベンチャー三脚
高さが理想的
まずTFC-14Mk2との比較記事を書いたり、動画を撮っていた時に気づいたことがあります。
TFC-14Mk2は縮長が約46cmで全伸高が120cmです。対してASCEND-14のPF版(ネジバージョン)は縮長が44cmで全伸高が122cmなんです。
これはちょっとおかしいなと思い調べてみました。
並べてみると、ああなるほど分かりました。基部が2cmくらい低くなっているのですね。なので脚の長さは一緒みたいです。それなのに全伸高が2cm高いのはなぜでしょうか?
答えは脚の開脚角度の違いでした。TFC-14Mk2は約51度に角度に対して、ASCEND-14は約42度と9度も開脚角度が狭くなっているのです。
なぜ開脚角度が変わったか考えてみたら、こちらもなるほど分かりました。TFC-14Mk2は開脚角度が全部で3段階でしたが、ASCEND-14は1段階増えて4段階です。そのため角度が少し変更になっているのですね。

※赤も黒も同じ長さですが、角度が異なるので全伸高が変わる。
そして私が購入したのはコンパクトではなくロングタイプですので、雲台を含めた天頂部はセンターポールを伸ばしていない状態で、なんと150cmに達します。一般的なボディを装着すれば158〜160cmくらいのファインダー高さになるので、日本人の一般男性の平均身長であれば、アイレベル相当となります。このクラスの三脚の中ではかなり高い三脚だと思います。
使ってみた感想としては、この高さはかなり便利だなと思いました。
センターポールがとにかく素晴らしい!
私はどちらかというと「アンチセンターポール派」です。Gitzoも基本はシステマティック+アッパーディスクでしたし、トラベラーもショートポールに変えていました。RRSだってTQC-14Mk2もセンターポールが嫌で、結局FIXに変えました。
これまで良いと思ったセンターポールなどGitzoのギア付きセンターポールしかありません。RRSのセンターポールにいたってはむしろ嫌いでした。
しかしASCEND-14のセンターポールは素晴らしいです。一体何がそんなに優れているのか探ってみましょう。
脚パイプに干渉しないような形状になっている。
センターポールが丸い形だとどうしても三脚全体の胴回りは太ってしまいます。ASCEND-14はセンターポールをパイプ径に合わせてえぐってしまうことで非常にスリムなウエストを実現しています。そのため片手でも楽々掴んで持ち歩くことも可能です。
またこの形状のおかげでパン方向の空転は絶対に起こりません。剛性やブレの強さは検証してみないと分かりませんが、丸パイプと同様の性能であれば、もっとも優れた形状なのかもしれません。
ロックレバーが使いやすい
RRSのセンターポールのロック機構は本当に使いにくいものが多かったのですが、ASCEND-14は非常に使いやすく作られています。ついつい意味もなく高さを変えてみたくなるほど、心地良い操作性です。レバーというだけで格好いいのに、さらに使いやすいなんて最高です。
すっぽ抜け防止機構が秀逸
エンドフックとセンターポールの間に挟まれている真鍮製のスペーサーが角度を変更できます。センターポールの形状と逆になるように角度を変えることですっぽ抜けを防ぐことができます。
工具いらずで簡単ショートポール
エンドフックを緩めればセンターポールが分離し、ショートポール化できます。工具は一切必要ありません。夜間の屋外でも試してみましたがとても素早く脱着できました。こちらもエンドの金具がすっぽ抜け防止機構になっています。
エンドフックが天才すぎる
このエンドフックは物を引っ掛けるだけではなく、センターポールを分離させるためのネジを兼ねています。伸ばすことでネジを強固に固定し、折りたたむことでネジを緩めることができます。考えた人天才か?ただフックが小さいという点だけ、実用面で欠点と言えます。
雲台は評価が分かれるかもしれない
雲台に関しては手放しでオススメできません。使用用途や被写体、撮影設定や機材重量によっては雲台一体型ではなく、PF版(ネジタイプ)を選んだ方が良いかもしれません。
ボールにグリースが塗られている
まず勘弁してほしいのがボールへのグリース。私はすでに拭き取りましたが、用途が潤滑目的でないことを祈ります。拭き取っても特に操作性が悪くなったようには感じません。
パンの動きが渋い(固い)
今日操作していてパン操作が非常に固く、さらにシューシューと擦れた音が鳴ります。結局クランプを分解して調整したら良くなりましたが、出荷の段階でもう少しきちんと検品してほしかったです。ただうまく調整したら非常に滑らかです。
ボールの直径が20mmしかない
ボールの直径が20mmしかありません。BC-18より大きいのだから大丈夫だろうと思っていましたが、BC-18の固定力があれだけ強かった理由は「ドロップノッチ(首を傾けるための切り込み)がなかった」からです。
ASCENDの雲台には大きなドロップノッチがありますから、当然固定力はガクンと落ちます。そのためボールサイズは少し大きいものの、BC-18の固定力には及びません。
六角レンチが小さすぎる
クランプには六角レンチがマグネット固定で収納されているのですが、このレンチが小さすぎます。実際に緩めてみましたが、しっかり固定されたネジを外すのは困難です。また指が痛くなるくらい力を入れないと強固に締めることもできません。いざという時のお守りのような物と思っておいた方が良さそうです。
4つほどネガティブなことを書きましたが、悪いばかりではありません。まず軽いです。雲台の重量はなんと88g! こんな軽くて実用性のある雲台なんて私は他に知りません。
またボール部分が三脚の基部と一体化していますので、超ロープロファイルなんです。ブレに強いというメリットがあります。
そしてBC-18より固定力が劣ると書きましたが、決して固定力が弱い訳ではありません。通常使用であればフルサイズ一眼+大三元レンズくらいであれば、十分使うことができます。
本当はプラットフォームだけオプションで購入できれば文句がないのですが、今はまだ販売されていないため、それが一番の欠点と言えるかもしれません。
ファーストインプレッションまとめ
さて今回は1日使ってみた感想でした。昨日は見えなかった欠点が少し見えてきました。特に撮影で困ったことがあった訳ではありませんが、固定力の弱さに関してはちょっと悩ましいところです。弱いより強いほうが良いですもんね。ただそれらを差し引いてもとても良くできた三脚だと思います。
少なくとも過去のどのトラベル三脚よりも満足度が高いことは間違いありません。
【商品ページ】https://www.reallyrightstuff.com/Ascend?quantity=1


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