【三脚レビュー】祝!新しい三脚を買いました!Novoflex Trio Balance

実は2〜3年前から、ずっと気になって仕方がない三脚がありました。しかしその三脚は日本国内ではほとんど出回っておらず、レビューも皆無。価格も非常に高額なため、そこにお金を投じるくらいなら、最初から良いと分かっているGitzoやReally Right Stuffを優先してきました。三脚雲台をメインに書いているブロガーとして、人気メーカーの最新の三脚を紹介しなければ!という使命感のようなものもありました。

しかしそもそも私が布教する必要なんてないくらいGitzoはもともと人気がありましたし、今となってはReally Right Stuffも多くのフォトグラファーが使うようになりました。SIGMAや TAMRONといったレンズメーカーが三脚座に採用するなど、ここ2〜3年でアルカスイス互換も業界標準になったと思います。この度発売されたNikonの三脚【NDTP1】にも「アルカスイス互換」のクイックシューシステムが搭載されましたね。

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私のTwitter界隈だけかもしれませんが、フォロワーさんの多くは、Gitzo/Really Right Stuff/ARCASWISSはもう持っていて当たり前のような状況になっています。

そんな状況の中、私事で申し訳ないですが、かなり使い古されたGitzoのサファリトラベラー2型を所有しています。この子がもう相当ガタがきていまして、買い替えを検討していました。候補は2つ。最新の2型トラベラーにするか、はたまたRRSのシリーズ1にするか?いつもなら嬉しい悩みのはずでした。

しかしそれらを買ったところで、もう感動は少ないでしょう。ご紹介してもあまり面白い記事になりそうにありません。つまり、フルモデルチェンジでもされない限り、GitzoやRRSの三脚をご紹介する必要は無いのではないか?と考えるようになった訳です。そして私自身も、もっと自由に機材を選んでも良いのではないか?と考えるようになりました。

さて新しい三脚を買う言い訳は以上です。ご高覧ありがとうございました。

そんな訳でNovoflexというメーカーの最高にイカした三脚を買っちゃいました!

まず三脚を披露する前にNovoflexとはどんなメーカーなのかご紹介したいと思います。

NovoflexはGitzoやReally Right Stuffほども認知度は高くないですが、今年で創業70年周年となるドイツのカメラアクセサリーメーカーです。すべての製品はバイエルン州メミンゲンの生産施設で作られています。日本での代理店は近代インターナショナル。かつてはレンズメーカーでもあり、マウントアダプターのメーカーとしても有名です。

さてNovoflexの三脚のシリーズは大きく分けて3種類あります。Gitzoのシステマティックに似たTripodProというごく普通なモデルも一つありますが、あとの二つは下のようにかなり個性的なシリーズとなっています。

※画像はNovoflex より

面白いのが全てのモデルが基部と脚部をバラバラで販売しているというところです。つまり気に入った基部をひとつ買えば、あとは用途に合わせて「脚のみ」揃えていけるという訳です。


そんな訳で私が選んだ基部は「TrioBalance Q 6/8三脚ベース」。あらゆる機能が集約されたモデルです。

ちなみにこの製品名の意味は、Trio(トリオ)は3本脚の意で、Balance(バランス)はレベラーの意で、QはQマウント(アルカスイス互換)の意で、6/8はパノラマの6と8(60度と45度)のクリックストップ有りの意だと思います。

基部としては小さめで、合わせる脚のパイプ径もGitzoなら2型、RRSならシリーズ1相当となります。

製品スペック

  • ハーフボールタイプのレベラーを搭載
  • パンニングベースのクリックストップは、6(60°)/ 8(45°)/ 10(36°)/ 48(7,5°)の4段階の設定が可能
  • アルカスイス互換のクランプ搭載
  • 重量:668g
  • サイドアクセサリー接続ネジ:1/4 “と3/8”
  • 脚の開脚角度:20°、40°、60°、87°

通常の三脚同様、角度調節セレクターが搭載されています。4段階の角度調節が可能でグラウンドレベル撮影も可能です。レベラーが最初から搭載されていますので、ビデオ雲台やジンバル雲台を使う時にとても便利です。また雲台取り付けがアルカスイス互換クランプになっています。雲台にダブテールプレートを付けることにより、瞬時にセットアップが可能となります。

また三脚なのにパノラマ雲台の要素を全て持っているため、雲台なしでも正確なパノラマ撮影が可能です。

それではさらに詳しく機能を見ていきましょう。

ミニ三脚にもトラベル三脚にもエクストラロング三脚にもなる!

※画像はNovoflex YOUTUBE動画より

ミニ脚を付ければテーブル三脚に、トラベラー脚を付ければトラベル三脚に、エクステンションパイプを付ければ高さが2mを超えるエクストラロング三脚になります。

ミニ三脚とは言え相当強く、かなり重量級の機材を載せてもビクともしません。脚が20cmあるので安定感も抜群。

トラベラー脚はパイプ径21.8mm。Gitzoで言えば0型相当。5段もあり一番下の脚は10mmとかなり細くなりますので、剛性は低いです。よほど軽い機材か、荷物を軽くしたい場合のみ有効です。

28mm径3段脚を付けた場合、1段目は67cm、2段目は111cm、3段目は157cmとそこそこ高さがあります。雲台が10cm、さらにそこからファインダーまで10cmとして178cmとなります。エクステンションパイプを付ければさらに50cmほど高くなるため、約230cmの高さから被写体を狙うことも可能です。

一脚にもなる

脚を一本外して雲台取り付け用スペーサーを付ければ一脚の完成です。最高!

脚の組み合わせも自由

例えば一本だけミニ三脚用の脚に交換すれば、台に立てたり、壁に持たれかけて使う事ができます。人の往来のある狭いスペースや、壁ギリギリで撮影したい場合などにとても便利です。

メンテナンスが容易

工具要らずで脚が基部から取り外し可能なため、脚が汚れてもメンテナンスが容易です。

実際に使ってみて分かった各部の操作性

ロックナット

購入前に一番不安だったのがロックナットでした。なぜならロックナットが固いと脚の根元から回って外れてしまうからです。もちろん操作する脚を掴んで回せば良いのですが、面倒臭いですから。しかしその心配は杞憂に終わりました。非常に軽く扱いやすいロックナットです。ただ防塵防滴のような凝った造りではなく、シンプルなものです。

基部の操作性
  • 基部の開脚、ボールレベラーの使い心地は良好です。
  • パンロックが結構弱い気がします。またパンロックを緩めて再度ロックすると微妙なズレが起こります。ローテーター機能を使う場合はロックを半締めにして行うと良さそうです。パンノブがネジを回し続けてると外れてしまうので紛失が怖いですね。
  • クランプノブは軽く、グリースが充填されていない感じです。ネジとネジ穴のクリアランスに不満があります。
  • ローテーターの7.5°と36°は扱いやすいです。
  • ゴム石突はキャップ式で外せば中からステンレスのスパイクが現れます。
剛性

全体的にはさほど強くありません。2型相当のサイズの基部で、また複雑な機構ですので、これが限界なのでしょう。しかしRRSやGitzoのシンプルな三脚と比較して弱い…というだけで、一般的な撮影において特に問題になるような弱さではありません。

脚部
  • 28mmというパイプ径はやはりフルサイズ一眼レフを支えるには、ギリギリだと感じました。ただこの基部に取り付けてきちんと脚を閉じることができるのは、この太さが限界のため、もし購入されるのであれば28mm径を選ぶ事をお勧めします。
  • 高さ調節用の印が2段目のパイプにあるのですが、どうせなら3段目のパイプにも欲しかったです。
  • 基部との接続がネジ式になっていますが、ここは1/4インチではなく3/8インチにしてほしかったですね。
質感

配色のせいか高級感はさほどありませんが、だからと言って安っぽさもありません。ロックナットやカーボン柄はシンプルですが、ロゴ入りのスポンジグリップや取り付け部の金具などは高級感があり格好良いと思います。基部は格好良いとしか表現できないですね。

将来的に懸念される点

脚の取り付け方法がネジ式ですので、将来的にネジ山の摩耗によるガタが懸念されます。基部の機構が複雑ですので砂の混入や、湿気による錆の問題もあります。基部は分解が難しいためメンテナンスは実質不可能な気がします。

凶暴すぎる価格

一番のネックは凶暴すぎる価格です。B&Hでの価格は以下の通りです。

基部 TrioBalance Q6/8  $ 966.43
39mm4段カーボン脚 $ 663.52

1629.95ドル…。Gitzoの最上位モデル5型ジャイアントよりも220ドル高く、Really Right Stuffの最上位モデルTVC-45よりも75ドル高額です。Gitzo2型相当だという事を改めて言っておきます。

ただしメーカーがドイツですので、ドイツ本国で買ったらもしかしたら安く買えるかも!という希望を胸にメーカーサイトを探してみました。見つかったものの、いきなり購入するのは怖いのでドイツ語で問い合わせする事にしました。私の希望を伝えると、色々とオススメの組み合わせを教えてくれました。B&Hでの合計が28万円になる組み合わせでしたが、見積もってもらうと驚くほど安くなりました。もう買うしかありません。いやそれでも決して安くはないのですけど、そのまま清水の舞台から真っ逆さま。南無三。

Gitzo や Really Right Stuff との比較

これからしっかりと撮影テストを重ねて検証する必要はありますが、王者Gitzo、好敵手RRSと比較しますと、三脚としての性能は一歩届かないと思います。

アクラテック雲台同様に、GitzoやRRSの3型や4型というメインの三脚があった上で、サブという位置付けで持つには良いと思います。

動画

まとめ

  • 今回は初めてNovoflexの三脚を買いましたので分からない事ばかりでした。失敗したなと思ったのは、トラベラー脚です。細すぎて、あまり使いたくないです。
  • エクステンションパイプはGitzoの5型やRRSのシリーズ4相当の太さがありますので、3段に装着するなら買っても良いと思います。
  • ミニ脚はすごく便利ですので買っておいて損はなさそうな気がします。
  • ローテーターの必要性と、取り付けがクランプである必要性はあまりないかもしれません。メンテナンスも出来ないためシンプルなボールレベラーのみのタイプだと軽く剛性も高くなると思います。いつか余裕ができたら今度はシンプルな基部も買ってみたいと思います。
  • 脚1本から購入可能ですので、万が一破損したとしても気楽に買い換えることが出来ます。また脚がリニューアルされても脚だけ買えるというのは嬉しいですね。

さてファーストインプレッションとしてはこんな感じです。年末ギリギリに届いてくれて本当に良かったです。今年のお正月はこいつで思いっきり遊び倒したいと思います。


お陰様で無事に年の瀬を迎えることができました。
来る年も変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
向寒の折から、お体を大切に、よいお年を迎えられますようお祈りいたしております。

それでは皆様、良いお年を!

HAKU

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. 写真家 より:

    Novoflexの三脚の新製品の発想は昔SLIKのシステマチック三脚で既に実現されていましたね。

    要の鼎(脚を取り付ける部分)と脚、雲台好きなものをばらばらに購入して自分の使用目的に合うように組み合わせることができるというものでしたが、肝心かなめの三脚を取り付ける鼎の部分が弱く、雲台の使いにくさ(特別な方法で水平だししていた)もあってあまり普及しなかったものです。
    40年ほど前のはなしですが、、、

    • haku haku より:

      写真家さん、コメントありがとうございます。今回のスリックのシステム三脚の紹介の時にその三脚の話しに触れていた記事を読みました。
      私は知りませんでしたが、その路線を追求していれば、スリックは良い三脚を作っていたかもしれないですね。
      このNovoflexも剛性や撓みに関しては、お世辞にも褒められたデキではありません。

  2. […] 前回記事:祝!新しい三脚を買いました!Novoflex Trio Balance […]

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