長かった!何が?ってNikon Z50専用Lプレートが発売されるまでの期間が、です。昨年11月22日のZ50発売から8ヶ月、ようやく発売が正式決定したのでご紹介したいと思います。
(2020/07/28:発売が中止となりました。詳しくは以下リンク先をご確認ください)
【お詫び】Nikon Z50 Lプレート発売中止のお知らせ
完成までの経緯
紹介の前に、なぜZ50のLプレートがどのメーカーからも発売されていないのか?について話したいと思います。
もっと詳しく知りたい方はこちらをお読みください→Nikon Z50 専用アルカスイス互換 Lブラケット は出ない?今できる対策はこれ
実はZ50の発売直前に製品化の要望や質問を各メーカー(R社K社M社S社S社P社)にメールしました。
しかしどのメーカーも「開発の予定は無い」という返事ばかり。普段はボディ専用プレートの優位性を「これでもか」とアピールしているにも関わらず、Z50に関しては「自社の汎用プレートをお勧めする」と口を揃えたことは、驚きを通り越して呆れました。
商売ですから「売れる見込みがないから発売しない」とか「開発が難しいから発売しない」という理由ならわかります。もちろんそんな回答なんて出来ないでしょうから「発売の予定はありません」だけで良いと思います。しかしろくに使い物にならない汎用プレートを勧めるという開き直った態度はどうかな?と思いました。しかも汎用プレートでまともに使えたのはMarkinsくらいです。
KIRKなどは汎用LブラケットULB-1をまるで専用品のようにZ50の名前を出して販売してますが、画像を見るとかなり無理やりです。
そんな中、唯一SmallRigだけは「生産の予定はないが必要と思いますか?」と返事があり、製品化するためのアイデアがあるからぜひ作ってほしいという要望を伝え企画書を渡したところ「では作りましょう!」と言ってくれました!感動です。
しかし新型コロナウイルスの影響により、何度も開発が止まってしまい、完成が延び延びになってしまいました。そんな紆余曲折を経てようやく完成まで漕ぎ着けましたので、喜びもひとしおです。
すごく完成度の高い製品に仕上がったので、ぜひZ50ユーザーの皆様に使っていただきたいと思い、今日は目一杯ご紹介させていただきます。今回も企画&デザイン&一部設計に、わたくしHAKUが携わらせて頂きました。
それではご覧ください!
外観
Nikon Z50 実機を元に各部計測をしたうえで設計、切削成形されています。汎用品のようにズレる心配がないので、カメラ接地部分にコルクやゴムなどを挟む必要がありません。
スペック
素材:6061-T6アルミ合金から削り出し
表面処理:ブラックアルマイト仕上げ
重量(固定ネジ含む):約70g
カメラ固定ネジ:4mm六角穴付き1/4インチボルト 素材ステンレス
プレート固定ネジ:4mm六角穴付き1/4インチボルト 素材ステンレス
付属品:4mm六角レンチ
生産国:中国
出荷予定日 :未定(近日発売予定)
価格(税込): 未定
販売ページ:現在製作中とのこと
立ちはだかる難題をスライドプレートで解決!
Z50のLプレートの制作が難しいと判断された理由はいくつもあると思いますが、設計上の一番の理由は、180°反転チルト液晶モニターがクイックリリースプレートと干渉してしまう問題があるからだと思います。
この難題をクイックリリースプレートを前後にスライドさせることでクリアしました。
干渉といえばFTZ問題もありますね。これもモニター問題と同様、プレートをズラすことで回避できます。
またクイックシュープレートを前後左右どちらの方向からでも装着可能なスクエアプレート(正四角形のプレート)を採用。クランプの装着方向を変えることでFTZとクランプの干渉問題を解決できます。
また180°反転の自撮りモードではクイックリリースプレートが邪魔になりモニターが見難いという問題があります。
しかしこのクイックリリースプレートはスライドだけではなく、脱着も可能なため、取り外してしまえば厚さ約5mmの超薄型プレートになります。そのため非常に広い視界でモニタリングできます。
妥協のない細部の作り込み
●Z50の最大のセールスポイントは小型軽量であることです。Lプレートを付けたらズッシリ重くなりました!ではZ50の魅力も半減というものです。
しかしこのLプレートは約70gと超軽量です。小型軽量化にあたりベースプレートと縦位置プレートを一体型としています。最近ほとんどのメーカーが、この部分を分離式にしていますが、Z50L-プレートでは重量と強度を優先して、あえてコストのかかる一体成形にこだわりました。
●この試作品の前にもうひとつ試作品(初号機)を作っているのですが、そちらではプレートを真っ直ぐ装着しないとズレてしまいました。
ちょっと極端ですが、こんな感じです。こういったズレが起きないように、ボルトとスルーホールのクリアランスをギリギリまで狭めて、プレート専用の溝を設け、プレートにはホゾを設けました。
●モニター部分の下は空洞になっています。このおかげでモニターの下側に指が入るため、モニターを上に向けるチルト操作がしやすくなっています。
上から下に開くチルト操作に関しては、モニターの爪の部分が干渉しないように設計したので、こちらも操作しやすくなっています。
●横位置、縦位置ともにセンターマークが刻印されていますので、構図変更時の光軸のズレは最小限に抑えられます。
●端子ボックスの内部はかなりゆとりのある空間となっています。全ての端子に快適にアクセスできます。
●当然ですがL-プレートを装着したままでバッテリーの脱着、SDカードの脱着が可能です。
●カメラとプレートの取り付けネジは六角穴ボルトを採用。マイナスネジと違って一手間かかりますが、その分マイナスネジよりも確実にプレートを固定できます。
残念なところ
ちょっと残念だったのが六角レンチをプレートに内臓していないところです。どう考えても横位置には収納不可能ですので、縦位置に収納できないか打診していたのですが、SmallRig社で取り扱っているレンチの一番小さいものでも、サイズが大きすぎて収納できないという事でした。
それとこれはプレートを付ける以上どうしようもないですが、一応残念なので書いておきます。180度反転した時に自分撮りモードに切り替わるのですが、モニターの上部がプレートの厚み(5mm)だけ見えなくなります。
左上の「モード表示」が見えなくなっています。また絞りやシャッタースピードを変更して、撮影画面に戻りたいときに右上の「リターンマーク」が押せません。撮影中じゃない場合はモニターを少し戻すと自分撮りモードが解除され、自動的にリターンされます。撮影中(録画中)は通常モニターモードに戻して「リターンマーク」をタッチして戻る必要があります。
また録画中の赤い丸表示もプレートに隠れて見えなくなります。地味にこれが一番不便です。
自分撮りモード時の最大のデメリットはタッチAFの押せる範囲が狭くなることです。本来上の画像の黒四角がタッチできる一番端なのですが、プレートが邪魔をして赤四角くらいの範囲しか押すことができません。
どうしてもこれが嫌だという方には、当プレートをお勧めしません。
気になる点
気になる点はケーブルを使う時に縦位置プレートをズラすことができません。しかしそもそもZ50にはレリーズケーブルがありません。そのためスチル撮影の方にはあまり問題にはならないのではないかな?と思います。
どうしても縦位置でケーブルを使う必要がある方は、私が手掛けた「ケーブルリリーフスペーサー」をお使いください。
それと小指余りに関してですが、やはり余っちゃいます。もう少しグリップ側の高さを上げれば改善するのですが、そうすると大きく重くなるため、Z50の魅力が霞んでしまいます。落とし所として、この高さにしましたが、手の大きな方にはちょっと不満に感じるかもしれません。
未練
企画の段階ではスライドプレートをPeakDesign互換にしようと思っていました。特許の問題に発展してはいけないということで、何度もPD社に問い合わせをしたのですが、明確なお返事をいただくことが出来ず、そちらは諦めることになりました。また次に作るときも打診していきたいと思います。
注意点
プレート自体、とても薄く作っているため注意点があります。底の1/4インチネジ穴の深さも5mmしか無いということです。お使いの雲台のネジの長さが5mm以上の場合、きちんと固定できません。また無理にねじ込んでしまうとZ50ボディの底部を傷つける可能性があります。
上の画像のように、まずは使用前にボディに付けずに装着テストをしてみてください。なお、私の持っている以下の機材は大丈夫でした。
●SLIK #6264クイックシュー
●Velbon QHD-33
●トヨ商事 Husky雲台
●PeekDesign スタンダードプレート
Manfrottoのフリクションアーム244Miniはネジが長すぎて使えませんでした。ただし縦位置プレートの方にも1/4インチネジ穴が一箇所空いていますので、そちらなら問題なく装着できます。
どうしても下側でないといけない理由(例えばアクセサリーターミナルを利用するなど)がない限り、縦位置プレートのネジ穴を利用した方が安全です。
動画
まとめ
先日発表されたデジタルカメラグランプリ2020SUMMERでは、Z50が総合金賞に選ばれたそうです。他社のカメラと比べて本当にそこまで良いかどうかは分かりませんが、個人的にはコンパクトで気軽に使えるのでとても気に入ってます。この受賞を機に、少しでも多くの人に使ってもらいたいと思います。
そして今回ご紹介したSmallRigのLプレートによって、Z50の魅力がより一層高まると思います。販売が開始されたらぜひ手にとって頂ければ嬉しいです!
(2020/07/28:発売が中止となりました。詳しくは以下リンク先をご確認ください)
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