発売間もない新しいカメラは、ボディ専用のL型プレートが発売されていません。その理由はカメラが発売されてから、メーカーが入手し、実際にカメラから型を取って製作するからです。そのため完成までに数ヶ月かかってしまうのは当然と言えば当然です。
その間、プレートが付けられない訳ですが、付けられないということはイコール三脚が使えないということです。これはとても不便ですね。対策として汎用プレートというものを使うのですが「本当に汎用性を目的に作ったの?」と疑ってしまうような製品が多いのが現状です。
今回はそんな汎用プレートをじっくり調べてみたいと思います。
安い汎用プレート
アマゾンで検索すると安い中国製の汎用L型プレートが表示されます。中には1000円程度で販売されている物もありますが、注意してほしい点がいくつかあります。まずはきちんとした精度が出ていない可能性があるということ。横と縦のプレートが直角ではないということもありますし、角が滑らかではないので手や機材を傷つけることもあります。最悪の場合は互換性がないという悲惨な結果が待ち受けていることもあります(実際過去にありました)。
下の画像の商品のように、縦位置のプレートがケーブル端子にアクセスするためのスペースが確保されていないという商品もあります。これでは実質プレートを装着している時はケーブルを使えないということになります。
ではこの2点をクリアすれば大丈夫かと言えば、そこは最低限であって、まだまだ問題はあります。
例えば上の画像の商品は取り付けネジが左右に動いて位置を合わせられるのですが、全てのカメラが真ん中に取り付けネジ穴が空いている訳ではありません。
上のようにかなりレンズ寄りにネジ穴があり、プレートの中央にしかネジがない場合、かなりプレートがずれた状態で装着することになります。
当然ですが、縦位置のプレートのズレてしまうので、ケーブル端子にアクセスできなくなる可能性もあります。ネジ穴が真ん中近くに空いているような機種でしたら問題は出にくいと思います。
有名メーカーの汎用プレート
アルカスイス互換の2大巨頭であるKIRKとReally Right Stuffといえど、汎用プレートの完成度は低レベルです。KIRKに至っては「これでもか!」と言わんばかりの分厚いゴムシート貼りであり、ヤル気のなさを感じます。Really Right Stuffも「とりあえず作りました感」が半端なく、マジでピッタリのモノを作る気はさらさら無いように見えます。いずれも1万円前後とそこそこ高く、値段に対して作り込みが足りず満足度は低いです。
本家アルカスイスの汎用プレート
本家アルカスイス社からも汎用プレートが販売されています。これも前後のネジ位置は変更できないのですが、機構としては面白く、やっつけではなくちゃんと考えて作ってあります。しかし数あるL型プレートの中で最も重く、また縦位置をズラさない限りケーブル端子にはアクセスできません。作り込みがしっかりされているので、所有満足度は高いのですが、使いにくさが原因で結局使わなくなってしまいました。
マーキンスという伏兵
マーキンスはこれまで何度か使ったことがあるのですが、剛性不足感が理由で満足できるものに出会えませんでした。しかしFTZ用のL型プレートは設計がずば抜けていて「ああきっとこのプレートを考えた人はとても良く使い勝手が分かっている人なんだろうな」と思っていました。剛性に対する不安感は多少ありましたが、汎用プレートを使ってみることにしました。
型番はベースプレート「PV-80」と縦位置プレート「LV-170」
他にもPV-100とLV-160というラインナップがあるのですが、それぞれ組み合わせを選んで単品購入できます。フルサイズミラーレス機であればPV-100とLV-170のセットの方が良いかもしれません。
さてではセッティングします。まず下の画像の回転矢印のネジを緩めて左右の位置を決めます。決まったら右に回して固定します。
次に前後の位置を合わせ、ベースプレートを固定します。
最後に縦位置プレートの位置も左右に微調整が可能となっています。これにはちょっと感動しました。すごく便利で、汎用性も高いです。
最初、画像で見た時に「縦位置プレートをネジ一点止めって!」と半分バカにしていましたが、実際にはきちんとミゾとホゾが作られており、そこまでヤワな作りではありません。(決して強くもないですけどね)
これまで使ってきたどの汎用プレートよりも完成度が高いのは間違いありません。アジアの中ではアルカスイス互換の先駆者というだけはあります。ただ値段が結構高くてセットで実勢価格は18000円前後。アルカスイス純正に比べたら安いものですが、機種専用のL型プレートと変わらない価格というのは、ちょっと考えてしまいますね。
ただしこれひとつあれば、専用プレートの発売までの間、何とか繋ぐことができるのは確かです。使わない期間もバッグに入れておけば、プレートをうっかり忘れてしまった時にどんなカメラにだって装着できるというのも安心ですね。ちょっと高いですがひとつ持っておくと便利であることは間違いありません。
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