三脚雲台に凝り始めると、自然に増えていくのが工具です。最初は三脚や雲台付属の工具で済ませる方も多いと思いますが、そのうち気づき始めます。
もしかしてコレ、品質悪いんじゃない?
所詮は付属品、品質は良くない
当たり前ですが付属品は所詮付属品です。とりあえず使えたら良いという程度の品質なのです。安い工具は安いだけあって、安い素材で作られています。大きな力が掛かればあっという間に角がナメてしまうこともあります。安い工具は精度にこだわれませんから、品質のチェックもいい加減だったりします。ネジ穴にピッタリに作られていない工具を使うと、ネジ穴自体をナメてしまうこともあります。そしてこれが最も恐ろしいことだったりします。雲台とクランプを取り付けているネジがナメてしまったら、もう後でどんなに良い工具を使っても取り外すことが出来なくなります。良い工具を使ってもナメるときはナメますが、圧倒的にナメにくくなります。
工具は正しい使い方をすること
プラスネジにもドライバーにも種類がある
工具の正しい使い方って皆さんご存知でしょうか?まず工具の知識を得て、ぴったり合った物を選ぶことです。例えばプラスネジ。実はプラスネジにも種類があるって知ってました?
この2つ、よく見ると片方は普通の十字のネジですが、もう片方は十字の溝の間にさらに小さな溝がありますね。このネジはポジドライブといってイギリスのEIS社が特許を持つネジです。普通の十字ネジはアメリカのフィリップス・スクリュー社が発売したネジで一般的にプラスネジと呼ばれているものです。もちろんドライバーにも普通のプラスドライバーとポジドライブ用のドライバーがありますので、使い分ける必要があります。
サイズも規格化されている
またドライバーにもサイズがあります。これもきちんと規格がありまして、ネジに合わせて00番、0番、1番、2番、3番、4番と番手があります。数字が大きい方がドライバーのサイズも大きくなり、一般的によく使われているのは2番です。合っていないネジとドライバーを使うと、高確率でネジがナメてしまいますので注意が必要です。
操作の基本は押し回し
正しい操作方法の基本は「押し回し」です。グリップエンドに手のひらを当て、ネジの方向にドライバーを押しながら回転させます。押す力が70%、回す力が30%が理想的です。そうすることでカムアウト、いわゆる「ネジナメ」を回避できます。
トルク管理も重要
ネジは思いっきり締めたり、力任せに外せば良いものではありません。きちんとネジサイズや素材や用途に合った適切なトルクというものがあります。このトルク管理の知識を知っていれば、工具や対象物を破損から守ることができます。トルク管理に関してはまた別の機会に詳しく書きたいと思います。
使っている機材に合わせて押さえておきたい工具
5/32インチ六角レンチ(アルカスイス互換プレート用)
カメラボディやレンズの三脚座のネジ穴にプレートを装着する時に使う六角レンチは、一番使用機会が多い六角レンチですから、きちんとしたものを持っておきたいですね。サイズは5/32インチ。特にweraがお勧めです。
5/32インチは、ミリに換算すると3.96875mmとなります。あまりオススメはしませんが、どうしても外出先で外さなければならない場合は、4mmの六角レンチでも代用できます。
1/8・3/16インチなど様々なインチの六角レンチ(RRS製品用)
ReallyRightStuffの止めネジやAPEXシステムの固定ネジは1/8インチ、三角の開脚ネジの調整には3/16インチの六角レンチが必要です。ただ使用頻度が高くないので、BONDHUSのナイフ形六角レンチ「ゴリラグリップ」などを持っておけば便利だと思います。品質も良いです。HF9Sという型番の製品なら、三脚雲台はもちろん、プレート周りまでのネジを、ほぼすべてカバーしていますので、非常に便利です。
3mm六角ビット・11mmソケット(アルカスイス雲台用)
アルカスイス雲台のクランプ用の六角ビットとソケットです。これに関しては非常に精度が求められる上、工法も素人では難しいため、当ブログでは推奨しておりません。すでに交換されている方にはweraの3mmの六角レンチをお勧めします。ソケットタイプのボルトで固定された雲台をお使いの方は、KTC neprosの11mmソケットがお勧めです。ビットハンドルやラチェットは同じメーカーで揃えると良いでしょう。
T25 ヘックスローブレンチ(Gitzo開脚ネジ調整用)
Gitzoの開脚の固さを調整するためのレンチです。Gitzoは付属工具が本当にダメですので、これは絶対に買っておくことをお勧めします。PB SWISS TOOLSが一番遊びが少なくて扱いやすいと思います。両側から差し込んで調整する必要がありますので2本必要です。
T10 ヘックスローブレンチ(RRSミニ三脚開脚ネジ調整用)
Really Right Stuff TFA-01 Ultra Pocket ‘Podの脚の調整用のヘックスローブレンチです。両側から工具を回すことでネジを調整できます。そのため2本必要となります。お勧めはトラスコ中山のヘックスローブレンチ「THR-10H」です。
コインドライバー(カメラネジ用)
マイナスのカメラネジを固定する場合は、きちんとしたマイナスドライバーで刃先の厚みが1.6mm~2mmのものを選びましょう。
お勧めはPB SWISS TOOLS スタビーマイナスドライバー -10.0X1.6mm 8135-6-30 です。刃先が平行に仕上げられていますので、コイン式のネジ穴にもしっかりフィットします。
ドライバー(国産三脚・雲台用)
国産三脚・雲台には結構プラスネジやマイナスネジが使われています。一番のお勧めは先がレーザーチップ加工がされているwera。非常に食いつきが良く、ネジをダメにしません。1番2番3番あたりを抑えておくと安心でしょう。
携帯用工具
KIRK TC-2
パッケージはアメリカならでは、といった感じですね。ビットがこれでもか!というくらい付いているのですが、何となく商品説明に記載されているビットの数よりも倍くらい多く入っています。この辺りもさすがアメリカ。
シンプルながら、なかなか上手く作られていて使い勝手も上々です。プラスやマイナスの他に5/16 “、9/32″、1/4 “、1/8″といったインチの六角ビットが入っているのも嬉しいです。価格はB&Hで約14ドル。ポーチも付いてこの価格なら納得です。購入はB&H。
Really Right Stuff MTXマルチツール
外観はただのドライバーで、ボディは樹脂製。一見おしゃれで高級感がありますが、質感はやや安っぽいと感じるかもしれません。
内蔵できるビットは10本とレンチ1本。付属されているビットは22本ありますので、自分のよく使うビットを厳選して収納しましょう。日常生活でよく使うプラスとマイナスを入れておくと便利です。
工具はいざと言う時にすぐ出て来ないと意味がありません。特に屋外でネジが緩んでしまった場合、工具が家では途方に暮れてしまうでしょう。しかしMTXマルチツールなら、アッパーディスク裏の3/8インチネジを利用して、普段はエンドフックの延長ポールに変身。バッグを掛けるのにちょうど良い高さになるのも嬉しいところです。価格は$50。Really Right Stuffの三脚を買われたら、ぜひ一緒に買ってほしいアクセサリーです。
その他あると便利な工具
コブラレンチ
三脚と雲台が固着して外れなくなった時などに使っています。2本あると便利です。
バイスクランプ・プライヤー
どうしても外れなくなったネジやアダプターなどを外す時、まずは刃先が樹脂で作られているソフトタッチなどで試してみましょう。それでも駄目ならロボグリップやバイスプライヤーを使って外します。掴んだら最後、ほぼ間違いなく傷がつきますので最終手段です。
ピッチゲージ・ノギス(ネジの計測)
ネジの計測には2種類の計測器が必要です。まずはネジの太さ、長さを測る為にノギスが必要です。ミツトヨのデジタルノギスがもっとも信頼できます。
次にネジ山を山数を測るために、ピッチゲージが必要です。ミリ用インチ用2種類用意しておけば、ネジの規格が分からず困ることもありません。私はシンワのピッチゲージを使っています。
吸盤・シールリムーバー
Oリングやシールキャップなどを外す際に使います。シールリムーバーはsnap-onのものを使っています。他のは使ったことがないので比較はできませんが、こちらは使いやすいのお勧めです。
吸盤はシールキャップを外す(浮かす)際に使用します。100均で買いました。
例えばノブの先っぽのキャップを吸盤で吸引してキャップを浮かせる訳です。これを思いついた時は我ながら天才かと小躍りしました。ちなみにFG-02のキャップの内側は何もありませんでした。
まとめ
まだたくさん紹介したい工具があるのですが、一度に揃えるのは大変ですし、ここまでとさせて頂きます。大切な機材を長持ちさせる為に、ぜひ工具にもこだわってほしいと思います。参考になりましたら幸いです。ではではー
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