三脚フォトグラファーにとって一番使いやすいカメラバッグについて考える

三脚を使う、使わないを問わず、フォトグラファーにとってカメラバッグ選びというのは非常に難しいと思います。というよりこれがベストだ!というバッグなんて存在しません。それはなぜでしょうか?

なぜなら人それぞれ体格は違いますし、体力も腕力も違います。何よりも使う機材も違えば、撮影に持って出るカメラの台数すら違います。万人にお勧めのバッグやポーチなんて無いわけです。

それを踏まえた上で読んでいただけたら幸いです。

ショルダーバッグ?メッセンジャーバッグ?キャリーバッグ?リュックサック?

ひとくちでカメラバッグと言っても様々な種類があります。ミニ三脚やトラベル三脚のように縮長が短い物でバッグに入ってしまう場合は特に気にする必要はありませんが、縮長が長くバッグに収納できない場合は三脚を単体で持つか(もしくは三脚バッグを使うか)、三脚を取り付け可能なバッグを選ぶ必要があります。

ショルダーバッグ肩に掛けるタイプのバッグです。機材をしっかり視認でき、出し入れする時に手間がかかりません。デザインや大きさ、種類が豊富です。例えばお財布、スマホ、コンパクトデジタルカメラ、ミニ三脚程度の少ない荷物なら、もっともストレスフリーだと思います。しかし機材が多くなればなるほど、バッグも大きくなります。その重量が一本のベルトにかかるため、肩にかかる負担もかなり大きくなってしまいます。また私はなで肩のため普通に歩いているだけで、肩からずり落ちてしまいます。そのため何度も何度も掛け直す必要があり、非常に大きなストレスを感じます。地面が汚れていたり濡れていると置きたくない、と思うことも大きなショルダーは使いにくいと思う一因かもしれません。

長めの三脚を取り付ける時は横向きに取り付けるのが一般的です。移動時に人にぶつかる危険性が高く、特に電車などの公共機関を利用する場合は注意が必要です。

メッセンジャーバッグ機動力・機能性は抜群で、機材の出し入れもしやすいバッグです。ただカメラ向けのメッセンジャーバッグは容量が少ない物が多いので、持っていける機材に制限があります。バッグ自体が背中に対して斜めになるため、荷物の重量バランスが左右均等になりにくく、また片方の肩で背負っているため、リュックよりも肩や身体に掛かる負担が大きくなります。

こちらもショルダーと一緒で、長めの三脚を取り付ける時は横向きに取り付けるのが一般的です。移動時に人にぶつかる危険性が高く、特に電車などの公共機関を利用する場合は注意が必要です。

キャリーバッグローラーバッグ・キャリーケースタイプのカメラバッグは、大きな機材でも軽い力で移動することが可能です。地面がフラットで階段を避けられるのであれば、一番楽かもしれません。しかし実際には階段や段差はありますし、アスファルトもそんなにフラットではありません。その度に重すぎるバッグを持ち上げたり、抱えて階段を降りる必要があり、その時は一番大変なバッグになります。振動がダイレクトに機材に伝わるため、故障のリスクが一番大きそうな気がします。ただこれまでキャリーバッグを使ったからと言って故障したことはありません。移動時に人の足をぶつけてしまったり、通行の邪魔になる危険性が高く、特に電車などの公共機関を利用する場合は注意が必要です。

長めの三脚を取り付ける時は縦向きに取り付けるのが一般的です。

リュックサックリュックサック・バックパック・ザックのカメラバッグは、両手がフリーになりますので安全性が高く、登山など過酷な撮影シーンにおいて大活躍してくれるでしょう。メッセンジャーバッグやショルダーバッグと比較して肩の負担は少なく、大きな機材を持ち歩く時も身体への負担が少ないバッグです。ただし機材の出し入れはもっとも苦手で、背負ったまま出し入れするのは非常に困難です。また背中側に大きくせり出すため、背負ったままだと電車などでは邪魔になってしまいます。公共機関を利用する場合は、必ず胸側で抱えるようにするなど、周囲の迷惑にならないように心がけましょう。

長めの三脚を取り付ける時は縦向きに取り付けるのが一般的です。バッグが揺れた際に遠心力が掛かるため、雲台が周囲の人の顔に当たるなどの事故に繋がる可能性もあります。揺れにくいようにしっかり固定しておくことが大切です。

私が使っているカメラバッグ

F-stopのTilopa(ティロパ)

私が今、メインで使っているカメラバッグはF-stopのTilopa(ティロパ)という50Lのリュックです。これに専用のICUというインナーケースを入れて使っています。これを選んだ理由は、F-stopには三脚バッグという商品がありまして、これが欲しかったというのがキッカケです。

※画像はf-stop gearより

またログカメラという悪魔のようなブログに洗脳されたことと、昨年、みくろうさんに実際に背負わせてもらって、良い物であるということを既に知っていたので、じゃあついでにリュックも買ってしまうか、となった訳です。Tilopaを選んだ理由はインナーケース Large Proをいれても、ジンバル雲台や角形フィルターといったそこそこかさばる機材を入れる余裕が欲しかったからです。

ログカメラ:あなたにピッタリなf-stopのカメラザックの選び方!

ただ私が想像していたよりも少し重かったです。また私自身、他のカメラ専用リュックという物を使ったことがありません。もしかすると他にもっと良いバッグがあるかもしれません。価格も高いですから、じっくり他のバッグと比較してから購入されることをお勧めします。

雲台ポーチ

ちょっと三脚バッグの話題から逸れてしまいますが、機材のポーチについても触れておきます。雲台ポーチはReally Right StuffやKIRKから販売(もしくは付属)されています。海外のショップで雲台を購入すると貰える場合もあります。雲台の保護だけではなく、万が一人にぶつかった場合に被害者を怪我から守る目的もあります。リュックのサイドストラップに三脚を取り付けて移動する場合は、雲台ポーチを被せておくと安心感が違います。

KIRKの雲台ケースであればスタジオJinから購入可能です。

【KIRK】BH-1専用雲台カバーポーチ

普段はストラップに挟んでいます。小型〜中型雲台ならレンズポーチでも代用可能です。チョークバッグは形こそ似ていますが、薄いので防護性能は劣ります。

機材ポーチ

アルミ合金製の機材はちょっとした衝撃で傷ついたり、アルマイトが剥がれてしまうことがあります。また角が鋭利な機材同士がぶつかって故障してしまう可能性もあります。そういったトラブルを避けるならネオプレン製のポーチは良い保護方法と言えるでしょう。

ネオプレンは伸縮性がありますので、思った以上に大きな機材を収納可能です。…が、嵩張らないといえば嘘になります。数が増えれば結構場所を取られてしまいます。ですので全部の機材をカバーするのではなく、壊れやすい物や、鋭利な機材のみに絞って使うようにしています。ホームセンターなどでも似たようなポーチが置いてあります。100円ショップにも置いていますが、耐久性が悪くすぐにへたってしまうので、品質は重視した方が良いと思います。

ジンバルケース

ジンバル雲台のような、あまりバラバラにしたくない大型機材は専用のケースがあれば便利です。

Really Right Stuffジンバル雲台の専用ケースです。単体でも購入できますが、フルジンバルを買うと付属されます。アメリカ製だけあって、ファスナーはYKKほど滑らかではありません。実寸で幅28cm、奥行き15cm、深さ10cmとそこそこ収納力があります。先ほどF-stopのTilopaでICUを入れても空いたスペースで入れたい、と書いたのはこのケースのことです。ケース単体の購入先はReally Right Stuff直販のみだと思います。ジンバル雲台に限らず、細かい機材がバラバラにならないように収納しておくのも便利です。

三脚バッグ・三脚ストラップ

どうしてもバッグに三脚が収納できない場合は、三脚ケースや三脚ストラップを利用するという方法があります。

HAKUBA「ルフトデザイン トライポッドケース HTC-T800」Really Right Stuff「3シリーズ用 QDストラップセット」

しかしこれらの方法もショルダーバッグと同じで、肩にかかる負担が大きく、片方掛けだと不安定になり周囲の人に迷惑をかけてしまう可能性が高まります。電車などの公共機関を利用する場合は注意が必要です。

Really Right Stuffの三脚ストラップ(マグプルのストラップ)はめちゃくちゃ格好良いのですが、使いやすいかと問われれば、正直微妙と言わざるを得ません。昨年から使いやすいものを自作で制作しているのですが、なかなか問題が多く、1年以上経っても完成が見えない状況です。いつかは完成させたいと思います。

※試作品の革ストラップ。専門家に見てもらうと強度と耐久性に懸念があると指摘がありました。

三脚バッグは出し入れが結構面倒臭いので、邪魔になるという理由で車移動の時にトランクに入れておく時だけ使う程度です。Really Right Stuffの三脚ストラップは問題点はあるものの、便利には違いないので、今でも使っています。

結局どのバッグが一番オススメなのか?

私個人的な好みになってしまいますが、やはりリュックサックが一番良いのではないかと思います。両手がフリーになるというのはフォトグラファーにとって理想的ですし、移動が多い場合の肩や身体への負担が小さいのは助かります。

三脚が縦方向に取り付け可能ですので、電車に乗る時は前側で抱えたり、雲台ポーチを利用するなど、正しく運用できれば一番安全性が高いバッグと言えます。最近はアルカスイス社のクイックリンクという製品を導入したので、長時間移動する際は雲台を取り外せるため、より安全になりました。

またリュックのサイドストラップをうまく利用すれば、飛躍的に操作性がアップします。

三脚の底をスポッと収納するホルダーを取り付けてあります。これによって三脚の脱着が非常にスピーディになります。ペットボトルホルダー(ハーネスタイプ)を改造して作りました。どれくらいスピーディかは下の動画をご覧ください。

私の現在のカメラバッグはこんな感じです。「これ以上良いものはない!」と断言できる自信はありませんが、私が使ってきた中では、三脚フォトグラファーにとって一番使いやすいバッグではないかな、と思います。

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haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!
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