私としたことが前回ブツ撮りで使ったカメラ・レンズ・三脚を紹介していませんでした。大失態です。早速紹介したいと思います。
カメラ
基本的にどんなカメラボディがブツ撮りに向いているのでしょうか?ちょっと思いつく項目を挙げてみましょう。
- センサーサイズは画質が程良く価格もこなれたAPS-Cかマイクロフォーサーズで、解像度は2000〜2400万画素くらいが理想的。
- ワイヤレスでストロボをコントロールする機器が使える機種を!
- 高感度に強い機種が安心。
- 画像の転送やテザー撮影に対応していると便利。
というところでしょう。それでは上記項目がなぜブツ撮りに適しているかひとつずつ説明していきます。
1.まずブツ撮りの目的が、ネットショップ・フリマサイトの商品画像だったり、チラシ・カタログなど紙媒体の商品画像であれば、センサーサイズによる画質の差はそれほど顕著に出ません。価格・サイズ・重量を考慮してAPS-Cかマイクロフォーサーズがちょうど良いのではないかと思います。
紙媒体の印刷に適した画像解像度は原寸サイズで350dpiです。A4サイズで印刷するなら1200万画素あれば十分ということになります。ただ被写体が小さくて寄りきれない場合はトリミングすることになりますから、経験上2000〜2400万画素くらいはあった方が良いと思います。
2.ブツ撮りのカメラボディ選びにおいてもっとも重要なことはオフライティングができること。CactusやGODOXなどワイヤレスコントローラー対応機種の中から選ぶことをおすすめします。Nikon、Canon、SONYのレンズ交換式デジタル一眼なら、対応したワイヤレスコントローラーやストロボがたくさん出ていますので、機材を揃えやすいと思います。
3.撮影時点で完璧なライティングができれば良いのですが、そうそう上手くはいきません。撮った時は良いかなと思ったけど帰宅してパソコンに取り込んでみたら、思ったよりも暗くて補正が必要ということもあるでしょう。しかしあまり古い機種だと暗所に弱い製品が多く、Photoshopなどで暗部を持ち上げた時に画質の劣化が気になる場合があります。最新の製品ほど高感度耐性が強い製品が多く、綺麗に補正できます。もちろん撮って出し前提できちんとライティングを追い込むのであれば、古いカメラでも全く問題ありません。
ちなみに私が前回のブツ撮りの記事で使ったカメラはNikon Z50でした。しかし特別Z50がおすすめという訳ではなく、たまたま私が所有しているAPS-C機がZ50だったというだけです。スペックで見ればNikonのD7500 18-140 VR レンズキットや、CanonのEOS 7D Mark II EF-S18-135 IS USM も良いんじゃないかなと思います。
4.テザー撮影というのはカメラをパソコンでコントロールする撮影方法です。また撮った写真をタイムリーでパソコンに転送できれば、ブレの有無やピント位置の確認を、その場で確実に行うことができます。もちろんカメラの液晶画面でもチェックできますので、何が何でも必須という訳ではありません。
Nikon Z50は「Camera Control Pro 2」があればテザー撮影が可能です。純正アプリだけあって新製品への対応が早く、機能もシンプルで良いと思います。LightroomではZ50のテザー撮影はまだ未対応ですが、画像の取り込みは可能です。カメラボディ付属のUSBケーブルに、エレコムの2mの延長ケーブルを接続してデスクトップPCに繋いでいます。部屋とはいえ1mは短いので2mにされた方が絶対良いと思います。
レンズ
レンズはZ50のキットレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」を使いました。ブツ撮りは単焦点のマクロレンズが良い!のは確かです。が、たくさん商品点数があって何枚も撮影しなきゃいけない場合は、スピーディに進めないと撮影をこなせません。実際の現場では70-200mmf4レンズを使用することが多いです。ただし今回はあくまでも初心者がチャレンジしやすいように、あえて標準画角のキットレンズにしました。なるべく歪みがでないように望遠端の50mm(35mm換算75mm)で撮影しています。
とはいえ、75mmでも歪みが出る場合があります。もしダブルズームキットを買われた方であれば望遠ズームレンズの方に交換された方が良いと思います。推奨画角は歪みが少なく、立体感を残せるように中望遠域(35mm換算90-100mmあたり)。
三脚
今回は環境光を排したストロボ使用でしたので、三脚はカメラを固定さえできれば良いので、ちょっと前に入手したお手頃三脚 SLIK スプリント240 を使いました。
もちろんしっかりした三脚を使うメリットもありますが、これらの理由は書き始めると長くなるので、また別の機会に説明します。
撮影台の高さが選ぶべき三脚の最低高となります。お使いの撮影台を基準に選ばれると良いでしょう。地面すれすれで撮影することもありませんから、開脚角度を変更できなくても問題ありません。もし洋服などを俯瞰で平置き撮影したいのであれば、ある程度の高さがあった方が便利です。
ブツ撮りでは微妙な高さ調整が必要になることが多いので、三脚にはセンターポールがついている方が便利です。中でも微調整がしやすい回転ハンドル式が特におすすめです。ちなみにスプリント240のセンターポールは回転ハンドル式ではありませんが、ロックを緩めても急激に落下しないようにするフリクション調整機構がついています。
注意点としては三脚に載せて撮影する場合はレンズ、ボディともに手振れ補正をOFFにしておくこと。環境光を排したストロボ使用ならONになっていても別段問題ありませんが、定常光であれば必ずOFFにするように心がけてください。
ちなみに普段の撮影ではGitzoの古いアルミ三脚にアルカスイスのギア雲台 d4 GP か アルカスイスのP0 Hybrid を使っています。古いアルミ三脚を使っている理由は、すでにボロボロですので、気兼ねなく脚にBクリップやスーパークランプなんかを挟んでおけるからです。USBケーブルやレリーズ・リモコン、電池などのアクセサリーが常に三脚に付けていると撮影効率が大幅にアップします。ついでにパーマセルテープも適当な長さに切って脚に貼っておくと便利ですよ。上の写真を参考に皆様もぜひやってみてください。
Gitzoのギア付きセンターポールはロックを緩めても機材の重さで下がってこないので、暗いスタジオ撮影では安心して使用できます。ハスキー三脚のセンターポールはロックを緩めると勢いよく落ちるので、慣れない間は注意が必要です。
Gitzoといえば超高級で手が出ないというイメージがあるかもしれませんが、見た目がボロボロで良いなら使える中古品が1万円以内で結構転がっています。特にヤフオクやメルカリといったフリマサイトなどを小まめにチェックされると、きっと良い相棒に巡り会えると思います。
ブツ撮りにおいてギア雲台は超おすすめです。ただしアルカスイス雲台は異常に価格が高いので、まずはManfrotto 410か、中国メーカーのギア雲台からスタートされると良いと思います。
アルカスイス互換のクイックリリースシステムを導入しよう!
使っている三脚の雲台がアルカスイス互換ではない場合は、アルカスイス互換のクイックリリースシステムの導入をおすすめします。ブツ撮りでは被写体の形状により、縦構図⇆横構図を頻繁に切り替えることがあります。いちいちその度に三脚のセッティングを変更するのは非効率です。

雲台で横構図から縦構図に変更すると高さや左右位置が大きくズレてしまう。

L型プレートだと高さも左右位置もほぼ変わらずに横から縦へ構図変更ができる。
導入といってもそんなに大層なことではありません。雲台にアルカスイス互換クランプを装着し、カメラボディにL型プレートを装着すれば導入完了。最近は中国メーカーからたくさん出ていますので、比較的安価(3000円〜4000円程度)に導入できると思います。機種専用のL型プレートが出ている場合もありますので、購入前にしっかり調べてくださいね。
ちなみにNikon Z50専用のアルカスイス互換L型プレートは現時点ではまだ発売されていません。
レリーズケーブルは必須?
ブツ撮りではレリーズケーブルが必須!と書かれている記事や書籍をたまに見かけますが、環境光を排したストロボ撮影であれば必要ありません。定常光の場合でも、カメラのタイマー機能や、露出ディレーモードなどを利用すれば良いだけですので、何がなんでも必須という訳ではありません。もちろん使った方が良いというのは間違いありません。
ケーブルリリーフスペーサー
ケーブルリリーフスペーサーを付けておくと、レリーズケーブルやUSBケーブルを装着したままL型プレートを使うことができます。

画像はスモールリグwebサイトより
セッティングも撮影のプロセス。楽しもう!
さていかがでしたでしょうか?ブツ撮りの特性を理解して上手く機材を選べば、手が出ないほど高額な機材じゃなくともきちんとした商品写真を撮影できるということが伝わったのではないかなと思います。(それでも高額には違いないですが…)
紹介した中で「これがあればきっと今より便利になるはず!良い商品写真が撮れるはず!」と思う機材がありましたら、ぜひ試してみてください。


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