アルカスイス雲台のクランプ交換時の注意点

一般的なアルカスイス互換製品を使うにはアルカスイス純正クランプは、他社クランプと比較すると正直少し使いにくい部分があります。

しかしクランプ交換にはリスクが伴います!

arcaswiss-Z1+

かつてZ1のクランプは11mmの低頭六角皿ボルトで固定されていましたが、9/64”の六角穴付き皿ボルトに変更され、さらに現在は3mm六角穴皿ボルトに変更されました。

arcaswiss-screw

通常M6の六角穴付きボルトというのは、5/32”か4mmの六角穴が採用されているのですが、ARCA-SWISS社のM6ボルトは3mmの六角穴という非常に稀な規格が採用されています。その上でロックタイトで固定することで、ユーザーの安易なクランプ交換を防止している。と言われています。(ARCA-SWISS社が声明を出していないので真実は不明です)

このような対策されたボルトを外して他社のクランプに交換するには、適切な工具、工具を扱う技術、ロックタイトやネジの剛性の知識、経験が必要となります。

そのため当ブログでは安易なクランプ交換はお勧めしておりません。

また現在このネジを舐めてしまった場合、修理に応じてくれる工場やプロショップは、私の知る限りありません。かつてはKPI経由で購入したものであればスタジオJinが請け負ってくれましたが、現在はネジが舐めてしまったものに関しては受付不可となっています。失敗後の救済の受け皿は実質ありませんので、ネットなどの情報を元に交換される方はくれぐれも自己責任で行ってください。

※販売経路に関わらず、ごく一部にクランプ固定ネジが非常に強力に接着されている個体が存在することを確認しております。このタイプのクランプ交換は不可能です。※クランプ交換サービスはKPI国内正規輸入品(雲台本体にKPIのナンバリングシールが貼付され、かつ同じ番号の保証書があるもの)以外は承れませんのでご了承ください。※お客様にて作業をされ、六角ネジ穴やボルトにダメージがある状態では作業を承れません。

引用元:スタジオJinインストールサービス

ARCA-SWISS社のネジの六角穴にいじり防止処理が追加された?

ARCA-SWISS純正クランプについて、以下のような質問をいただきました。

質問者
質問者

私が購入したARCA-SWISS C1 CUBE GPは、今年の2月にArca-Shopから取り寄せたものになるのですが、クランプのネジに六角ビットを挿し込もうとしたところ、何故かうまく入りませんでした。

おかしいなぁ…と思い、六角穴をよくよく見てみると、穴が黒く縁どられていて、どう見ても3mmより小さそう。

なので試しに2.5mmのビットを挿し込んでみたところ、これでも何とかパツパツで入るくらい。

「もしかしてアルカスイス、ネジの仕様を変えたのかな??」

と思いつつ、穴から六角ビットを引き抜いたところ、穴の黒く縁どられていた部分も一緒にスポッとビット側にくっついて取れてしまいました。

どうやら黒いキャップのようなものが六角穴に埋め込まれていたようです。

そのキャップ(のようなもの)自体も写真に撮ってお見せしようと思ったのですが、残念ながらビットから取り外す際にパキッという音のもと砕け散って見失ってしまいました。。。

一応わずかに残った破片を見る限り、キャップはゴムではなくプラスチックのようなものでできていそうです。

ちなみにそのキャップが外れたら3mmのビットでピッタリでした。

HAKU様はこのようなキャップ、ご存じでしたでしょうか?

このような情報を読者様からいただきました。貴重な情報を提供していただきありがとうございました!もしいじり防止対策であれば厄介ですので調査しました。

実際に六角穴付きボルト用のいたずら防止部品は存在する

ちなみに六角穴を塞いでいじり防止を行う事は存在します。

リセスインナー

ボルトの不正な取外しを防止する目的の製品で、他にも塩害などによる錆から六角穴を保護する用途としても優れた効果を発揮します。

ARCA-SWISS社ももしかしたらこういった対策を講じたとしても不思議ではありません。

各方面へ確認してみた

しかし推測で結論付ける訳にもいきません。

そこで最近購入された方に聞いてみようと思い、ツイッターや知り合いの方々に聞いてみました。が、まったく情報提供が集まりません。集まらないということは、そういった事象が起こっていない可能性が高いということです。

次にケンコートキナー様(を通じてKPI様)に問い合わせてみたところ、以下のような回答がありました。

ケンコートキナー
ケンコートキナー

アルカスイス雲台上部のベースネジについてですが、簡単に交換できないように(交換しづらくするように)ネジの接着材を塗っています。
プラスチックのような物は接着材が固まった物だと思います。
アルカスイス雲台の交換用ベースは色々なメーカーから販売されていて、アルカスイスとしては、他メーカーのベースに交換せず、そのままアルカスイスの状態で使って頂きたいとの願望で接着剤を塗っているようです。
もちろん、緩み防止の意味もあるようです。

ケンコートキナー様、およびKPI様、お忙しい中ご回答いただきまして、誠にありがとうございました!

使用されているネジロック剤が嫌気性接着剤ではない可能性があるということですね。
なるほど、仮に嫌気性以外のネジロック剤があるとして、それをARCA-SWISS社が使っているとすれば、確かにその推測はあり得ます。

いずれにしても仕様変更であれば、国内輸入代理店であるKPIに伝わっていると思うので、いじり防止対策として樹脂でキャップをしたという訳では無さそうです。

実際の状態を確認していない以上推測の域を出ませんが、おそらくは「ネジロック剤が固まったもの」もしくは「塗料が固まったもの」の可能性が高いと結論付けたいと思います。

〜追記〜

質問者様から砕け散って紛失した樹脂の一部が見つかったと連絡があり、写真を送っていただきました。

※画像は T.I 様より提供いただきました。無断転載禁止です。

端の処理を見る限り、綺麗に整っていないので、やはり成形品でなく自然硬化した物に見えます。色が赤いので塗料が固まった物の可能性が高いですが、ネジロック剤にも種類によって赤い物がありますので、何とも言えません。

どちらにしても、こういった硬化物が六角穴の内部に詰まっていると、六角レンチが中途半端にしか入らず、その結果六角穴を舐めてしまう危険性が高まります。

クランプ交換時には十分注意が必要です。

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haku
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