イチから始めるアルカスイス 〜アルカスイスとは〜

今回はアルカスイスの事を分かりやすく書いてみたいと思います。

アルカスイスとは?

まずアルカスイス(ARCA-SWISS) とは一体なんなのか?

答えは「アルカスイス・インターナショナル社」という名前の企業で、1926年にスイスのチューリッヒで創業、現在はフランスに本拠を置くビューカメラのメーカーです。

ビューカメラとは独立したファインダーを持たないカメラのことで、基本的にレンズ、蛇腹、ガラス(フィルム挿入部)の三つの部分から構成されます。

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※画像引用(KPI ケンコープロフェッショナルイメージング

この三つを保持するためにモノレールを用いるため「モノレールカメラ」とも呼ばれています。そのレールを乗せるために開発されたものがいわゆる「アルカスイス雲台」なのです。

アルカスイス規格?アルカスイス互換?

1964年に自社ビューカメラのレールをホールドするために生まれた自由雲台は瞬く間にカメラ愛好者にも広まってゆき、今ではあらゆる雲台メーカーが採用する規格になっています。
ただし「アルカスイス規格」と勝手に呼んでいるだけで、実際には明確にサイズが規格化されている訳ではありません。そのため「アルカスイス互換」という表現のほうが正しいでしょう。
また互換品はあくまでも真似です。アルカスイス社に許可を取って作っている訳ではないので、互換品が出回ることでアルカスイス社がメリットがある訳ではありません。逆にいい迷惑だと思います。

互換性には注意が必要

このように規格化されず勝手に模倣されたきたアルカスイス互換製品には、従来より致命的な欠点がありました。それは各社製品のプレートのサイズのバラツキ。このバラツキの原因はアメリカの測定単位がインチであるのに対して、アメリカ以外の主要国はメートルだったことです。それなのにアルカスイス互換黎明期からシーンを引っ張ってきたのはアメリカメーカーのReally Right StuffKIRKでした。彼らは元よりアルカスイス社のプレートに不満を持っていた訳ですから、新しく作る際に独自のインチ設計で開発してきたのです。そのサイズ規格による誤差がアルカスイス互換品のメーカー間のバラツキを生んだのです。

しかしこのバラツキも近年ほとんど解消されてきています。ただし互換性に乏しかったアジアメーカーがインチ設計に寄せてきたという感じですので、昔のプレートを使った場合は今でも問題が生じる可能性が高いでしょう。また滑落防止機能も各社まったく異なるシステムを採用していますので、互換性のないものが多いです。その辺りもしっかり調べてから購入するようにしましょう。アルカスイス社のプレートは、今でも互換性がないものが多いので、特に注意が必要です。

ちなみにこのアルカスイス社、いまどきSNSをやっていないどころか、自社webサイトすらありません。日本の正規取扱店であるKPIがメールで問い合せをしても、無視されることがあるらしく、ちょっと変わった企業としても有名です。

話が少し逸れてしまいましたが、現在人気の自由雲台やクランプ、プレートの基礎を作ったのは、アルカスイスだと言っても過言ではありません。しかしその互換製品たちはコピーや模倣品といった枠を飛び越えて、今ではオリジナリティのある様々な製品が発売されています。

アルカスイス互換自由雲台

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日本でも最近は3WAYを抑えて、自由雲台が主流になりつつあります。特にアルカスイス互換の自由雲台が人気で、アルカスイス社のモノボールZ1+、ReallyRightStuff社のBH-40/BH-55、KIRK社のBH-3、BH-1などが特に人気があります。

中でもReally Right Stuffが人気がもっとも高く、RRSの相性で親しまれています。KIRKは国内ではスタジオJINというショップが正規取扱いをしており、こちらも人気があります。
スタジオJIN HP

三脚の雄「Gitzo」もアルカスイス互換がメインとなってきており、マンフロットもプレートにのみ互換性を持たせてきました。他にもドイツのFLM、アメリカのアクラテックなどアルカスイス互換の自由雲台を発売しています。

日本メーカーではSLIKが割と早い段階から一部上位機種に採用していましたね。

また近年、中韓系メーカーの勢いが凄まじいです。代表的なのはマーキンスやSIRUI、sunwayfoto、BENRO、最近だとLoefotoでしょう。元々は大陸コピーと呼ばれ、低価格戦力でシェアを拡大してきましたが、最近では高品質を謳い、価格もそこそこ高くなってきています。

アルカスイス互換クランプ

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アルカスイスの互換クランプもあらゆるメーカーから発売されています。その大きな要因は本家アルカスイス社のクランプが使いにくい事が起因しています。アルカスイス社が後発で出した新規格「フィックス」と従来の規格を共存させる形で作ったもので、2段式となっています。この段が曲者で、慣れないうちは引っ掛けて上手く装着できません。

そういった問題がなく使いやすい他社のクランプに人気が集まってしまうのは自然の流れで、Really Right StuffやKIRKといった先発互換メーカーをはじめ、何十というメーカーから互換クランプが販売されています。

特に人気が高いのはReally Right Stuffのレバークランプと、KIRKのノブクランプです。

他にもジッツオやSLIKなど有名なメーカーを初め、耳慣れない中華系メーカーまで数えきれないほどのメーカーから販売されています。格安な中華系メーカー製品でも使えるものも出てきていますが、耐久性など不透明な部分が多いのも事実です。直接カメラを取り付ける部分ですから、購入の際は慎重に選ぶことが大切です。

またアルカスイス互換ではない雲台のクランプを、アルカスイス互換クランプに交換するという改造ももはや定番となってきており、HejnarPhoto社からは専用の改造プレートが発売されています。

汎用性の有無

様々なメーカーから互換クランプが発売されるようになる中で、普通にネジ穴が空けられている汎用品も多く出回っています。通常の雲台にそのまま取り付けることが可能です。対して中央にネジ穴が切られていないものもあり、こちらはZ1などの自由雲台に付いているクランプと交換する目的で販売されているものが多いです。用途によって使い道が違いますので、購入前にしっかりとチェックしておく事が大切です。

ノブ式かレバー式か

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ノブ式クランプはノブを回転させることでクランプを開閉し、プレートを脱着する方式です。プレート精度のバラツキによる影響を受けにくく、メーカー間の互換性は高いと言えます。同じノブ式でも操作性に各メーカーにより差があります。特に有名なのはKIRKのクランプで、ノブのピッチが非常に大きく、少ない回転で着脱できます。

レバークランプはレバーを開閉することによって、クランプを開閉し、プレートを脱着する方式です。プレート精度のバラツキによる影響を受けやすく、メーカー間で互換性に問題がでる可能性があります。特にReally Right Stuffのレバークランプはクランプの固定幅を調整できないため、しばしば問題が発生します。しかし最近ではクランプ側にも改良が施されたようで、ほとんど問題は起こらなくなってきています。

特殊な機能がついているモデルも

パノラマ機能が付いたクランプや、パン棒付きのクランプ、ストラップホール付きと言った特殊なクランプも存在します。撮影用途に合わせて持っておけば非常に撮影が快適となるでしょう。

PCL1-B

アルカスイス互換プレート

プレートもクランプと同じように各社から発売されています。アルミ板とネジで構成されているシンプルなアクセサリーですのでさほど慎重に選ばなくても良いかな?と多くの方が考えてしまいがちです。しかし某有名プロショップの店長さんに言わせると「何を使って、どんな作り方をしているかも分からないものに機材を任せられない」と仰られています。確かにきちんとした素材すら公表していないメーカーの製品は怖いですね。

またプレートには汎用品と機種専用品があります。機種専用品はコストパフォーマンスは悪いですが、満足度は非常に高いです。ボディやレンズの三脚座に付けっぱなしにしていても、まったく苦にならないように作ってあるので、長く使う機材であれば多少高くても機種専用品を購入されることをお勧めします。

RRS-L

 

まとめ

一般的に「アルカスイス」とはアルカスイスという会社が作ったカメラシステムのことです。そのカメラシステムの中の「雲台」部分のみが人気が高まり、様々な互換メーカーが誕生し、今やもっとも有名なクイックリリースの規格にまで成長しました。その勢いは三脚雲台メーカーにとどまらず、ストラップやレンズメーカーの三脚座にまで互換化は及んでいます。今後さらに拡大し、近い将来、きっとほとんどのカメラメーカーが標準として採用するようになるでしょう。

 

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こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

  1. […] イチから始めるアルカスイス 〜ARCA-SWISSとは〜 […]

  2. Ike より:

    はじめまして。Ikeと申します。
    HP開設おめでとうございます!
    前々からブログをよく拝見させてもらっています。
    アルカスイス 互換に関して質問があります。

    つい先日、私は 自由雲台のSIRUI K-30Xを買いました。
    そのためLプレートもほしくなり中華製を考えましたが、
    やはりRRSが欲しく、現在購入を検討しています。
    SIRUIとRRSは互換があるのでしょうか?

    もし分かりましたら、教えてもらえないでしょうか?
    よろしく御願いします。

    • haku haku より:

      Ikeさん、ご訪問いただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
      さてご質問の件ですが、K-30Xはノブ式クランプですので、ほとんどのLプレートに対応しています。
      よほど安価な中華製プレートでもない限り問題ありません。RRSのLプレートは本当に品質が良いので
      自信を持ってお勧めします。

      • Ike より:

        hakuさん、ご回答ありがとうございます。
        問題ないとのことで安心しました。
        早速購入して見ます。

        またブログ記事楽しみにしています。

        ありがとうございました。

        • haku haku より:

          Ikeさん、きっとご満足いただけると思います。ご報告、楽しみにしてます!

          • Ike より:

            ハクさん!こんにちは!ikeです!
            RRSのLプレートが届きました!あまりの出来の良さに感激しております!軽くて質感もよく、1番びっくりしたのは、カメラにピッタリのその精度です!他のアイテムもRRSのものに、買いかえたいぐらいです!本当にいい買い物ができました!改めてありがとうございます!!

          • haku haku より:

            Ikeさん、ご購入おめでとうございます!もうその感動を知ってしまうと後には戻れませんよ ^^