ARCA-SWISS(アルカスイス)社の製品には型番の末尾に「GP」が付くモデルがあります。
これはGeared Panningの頭文字を取ったモデルで「ギア式のパンニング装置」という意味です。
このGPにはギア式以外に粗動でパンニングも可能となっています。
粗動はスライドレバーを使ってON/OFFの切り替えするのですが、このロックを解除してもスムーズに粗動させることができないという現象が報告されました。
この報告を受けた方の使用しているARCA-SWISS d4 GPは、実は昨年末に私がRRSのレバークランプに換装した物で、その時に実際に触ったことがあります。
確かに若干粗動の動き出しが固いかな?と思った記憶がありますが、操作が困難というほどでは無かったことは確かです。
それが徐々に悪化しているとのことですので、一度お預かりして原因を調査することにしました。
分解
お預かりして触ったところ、確かに固い。
一旦動き出せば、普通かちょっと固いかな?ってくらいですが、ロック解除した直後がめちゃくちゃ固いのです。
これは個体差云々では無さそうです。
それではGP部分を分解して原因を探ってみましょう。
GPの底に3ヶ所、ボルトで固定されています。六角穴の二面幅は2mm。
しかしGPと雲台本体が近接しており、一般的なラチェットハンドルを使用するだけのクリアランスを確保できません。
六角レンチで地道に回すのも良いのですが、結構手間と時間が掛かりますので、極薄のラチェットハンドルと極短ビットがあると便利です。
私はSK11の板ラチェット、ビットは約18mmのブルーポイントのセットに入っていたビットを使っています。
単品で購入できる極短ビットの中ではANEXの短ビットが長さ19mmですので、こちらが一番適しているのではないかと思います。
ラチェットで空転するまで緩めた後、ビットを上から指で押さえながら回すという方法が一番楽に早く脱着できるのではないかと思います。
結果的に悪さをしていた犯人はグリースの固着でした。
動き始めが特に固かったことから何となく予想はできていましたが、かなり粘性の高いグリースに変質していました。変質してしまった理由までは分かりません。
これを綺麗にパーツクリーナーで脱脂し、グリースアップして組み直すことにしました。
これにて一件落着!
といかなかったのが、今回のつらかったところでした。
組み直してみたもののまだ固い。。
再度分解して完全に脱脂するとまた動きが軽快になり、再度同じグリースを塗布すると途端に渋くなりました。
そもそも極々少量しか塗布してないですし、No.2と言えばめちゃくちゃ固い訳でもありません。
それなのにここまで影響があるものなのかと驚きました。
これは雲台の個体差によるものの可能性が高く、私が使っているd4 GPでは同じちょう度のグリースを使用しても再現できませんでした。
もしかすると歯車同士のクリアランスが関係しているのかもしれません。
ともかくNo.2では固すぎるのであれば、柔らかいグリースに変えるのみ!
今度はNo.0のグリースに変更してみた所、何とバッチリ最高の動きに変わりました!
持ち主の元に帰って本日で2週間近くになるのですが、本日も動きは軽快との回答をいただきました。
もしアルカスイス d4 GPの動きでお困りの方がいれば、ぜひ試してみてください。
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