アルカスイス互換メーカーには古くから相性問題という困った悩みがあります。
アルカスイス互換クランプとプレートの仕組み
この相性問題は、「アリガタ」と「アリ溝(アリミゾ)」の形状やサイズが合わない事によってしっかりとプレートを固定出来ないことによって起こります。アリガタとアリ溝とは、アリガタがプレートの取り付け部分、アリ溝がクランプの取り付け部分です。図で描くとこんな感じです。
建築や金属加工の分野で、そのように呼ばれており、これらを組み合わせる接合方式は、何と弥生時代の遺構に存在しているとのことで「アリガタ」という名称は昆虫のアリの触角の形(角度)に由来するらしいです。
このスタイルを真っ先に取り入れた企業が「アルカスイス」社です。そして、そのアルカスイスを基準として様々なメーカーから互換製品が製造されてきました。
アルカスイス互換同士なのに上手く装着できないことがある
アルカスイス社はこの機構を規格化した訳ではなく、各企業が勝手に似せて作られてきました。そのため作る企業によっては精度が悪かったり、mm・インチと設計サイズ自体が異なっていたりしたため、互換性はあるようで無いような状態が続きました。特にアジア諸国の企業で作られたものと、アメリカで作られた製品では大きな誤差がありました。そのためアルカスイス互換黎明期といえる時代(〜2015年くらいまで)に製造販売された製品は互換性が悪い事が多いので注意が必要です。
問題の原因
さらに問題の詳細な原因を探るべく、数種類のプレートを正確にトレースしてみました。
思った以上に形状に違いがありました。ではこれを作った仮想クランプに、各プレートを合わせてみましょう。
まずはひとつ大きそうなプレートを選んで、基準にします。そしてこのクランプの幅を変えずに、次のプレートを取り付けます。
ほんの少しだけですが、隙間が出来てしまいましたが、この程度の誤差であれば、問題は起こりにくいでしょう。
さて、では明らかに形が違って見えたB社をあててみましょう。これは誰の目にも明らかに問題発生ですね。そうこの問題の犯人は、アリガタの傾斜が始まる高さの違いです。傾斜の始まりが低い分、アリ溝の奥に潜り込んでしまっているのです。同じように高さが低いA社もほぼ同じような結果となっています。
レバークランプが問題となる可能性がある
この問題はスクリューノブ式のクランプですと起こりにくい問題です。ところがレバー式に変えた途端、その問題が表面化します。実際、私もかつてレバークランプで、この問題に悩まされてきました。結局この問題を回避するには「レバー式のクランプを使わない」か、プレートとクランプを同一メーカーに統一するしかありません。
その問題も今や過去の話となりつつある
しかし、その問題も今や過去の話となりつつあります。レバークランプの代表といえるReally Right Stuff社がクランプを改良したことと、ReallyRightStuff社がアルカスイス社を上回るほどの大きな人気を獲得した事で、アジアメーカーの多くがアメリカメーカーのサイズに合わせるようになってきたからです。
まとめ
このように相性問題は過去のものとなりつつあります。しかし少なくなっただけで、まだ完璧に解決した訳ではありません。また中古品などを買う時も確認しておかないと、まったく合わない可能性もあります。「アルカスイス互換だから」と油断せずに、しっかり下調べしてから導入することが大切です。


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