缶コーヒーと喫茶店で飲むコーヒーの味は違います。好みは人それぞれあると思いますが、香り、味わいすべてにおいて、喫茶店で飲むコーヒーの方が私は好きです。
しかし喫茶店と一言で言いましても、それはまた沢山の喫茶店がありまして、美味しいと思う喫茶店もあれば、口に合わない喫茶店もあります。同じお店であっても使用されている豆によって美味しさは左右されますよね。
つまり「珈琲」という飲み物は大きな一括りの中にも沢山の種類があり、口に合うものもあれば、合わないものもあるのです。しかし缶コーヒーもまた、コーヒーである事は事実です。
(コーヒーは他に例えとして最適なものが見つからなかったので、例にさせていただきました。缶コーヒーが喫茶店のコーヒーより不味いと思っているのは私個人の感想です。粗悪品と言いたい訳ではありません。また缶コーヒーはコーヒーではない、という意見も頂きましたが、それはどう考えても私情の入った意見と判断し、缶コーヒーもコーヒーに含めることにしました。)
アルカスイス互換は規格じゃないから信用できない?
さて最近アルカスイス互換がどんどんメジャーになってきており、それに伴ってよく目につく意見に「アルカスイス互換は規格ではないから信用できない。」というものがあります。
確かに品質の悪い安価な海外メーカー製の互換品などは、精度にバラツキがあり、使えないものもあります。しかしそんな事は当たり前なのです。
Really Right StuffだってKIRKだってアルカスイス互換品です。もちろんどんなメーカーの製品にも初期不良品はありますが、そういう物を除けば「RRSやKIRKの製品はアルカスイス互換は規格ではないから信用できない」なんて意見を聞いたことがありません。
言い方は良くないかもしれませんが、安物を買って「アルカスイス互換品は使えない」というのは少し違うのではないかな?と思うのです。
よく考えてみてください。高い料金を払って喫茶店でコーヒーを注文したのに、缶コーヒーが出てきたらどう思いますか?おそらく多くの方が不満に思うでしょう。しかし出された飲み物は紛れもなくコーヒーである事に間違いありません。
そもそも他社と互換性なんてない
そもそも互換品は互換品です。各メーカーが、どこかのメーカーのサイズに似せて作っているのですから、誤差が生じるのは当たり前です。同一メーカーであっても多少の個体差はあります。そもそもアルカスイス社が「ミリメートル設計」で制作にしているのに対して、Really Right StuffやKIRK、ウィンバリーなどは「インチ設計」で制作しています。この3社に関して言えば、完全な互換性など最初から捨てているのです。
またほとんどのメーカーは自社の製品には自社のプレートを使用するように推奨しています。当たり前です。勝手に他社の製品と組み合わされて、上手く装着できなくて壊れた!なんて言われても迷惑なだけです。他社がどんな互換品を作ってくるか分からないのに、完璧な互換性を持たせるなんて不可能なんです。「使える・使えない」を語る前に、そういった基本を考えずにメーカーばっかりを叩くのはおかしなことです。
アルカスイスなんて潰れてしまえ
かなり刺激的な意見ですが、ご自身が使っているマウントと違うのか、アルカスイス互換がシーンを席巻している現状が気に要らないようです。大元であるアルカスイスが潰れれば、熱が冷めるだろうという安易な意見と言えます。
まず最初に言っておきますが、アルカスイス社はすでに「アルカスイス互換」のほとんどを捨てています。現在は一回り小さい「fix」という規格を採用しています。アルカスイス社製の大判カメラのマウントはほぼ全てfixに変わっています。ですので今更、アルカスイス社がつぶれてもアルカスイス互換が廃れる事はありません。
またアルカスイス社の規格は先に書いたように「ミリメートル設計」です。現在主流の互換品はインチ設計のReally Right Stuffなどに合わせて作られたものが多いので、アルカスイス互換と呼ぶこと自体が、すでにおかしいという状況です。
アルカスイスは構造的に弱く、固定力がない?
一体どういった理屈でこのような意見を仰られているのか、もっと具体的に発言してほしいですね。望遠レンズだとズレてしまうから使えないという書き込みもありました。
こういうことを発信される方の多くは、何の検証もせずに勝手な思い込みで発言しているか、「信用できない」と言っていた人と同じで、安価な粗悪互換品を一般的なアルカスイス互換として発言されていることが多い気がします。
つまり缶コーヒーと喫茶店のコーヒーを同列で比較している訳です。缶コーヒーを飲んで「コーヒーって甘すぎて不味い!こんな飲み物はオススメしない!」と大声で叫んでいるようなものです。
私はアルカスイス雲台やReally Right Stuff雲台で、超重量級の耐久テストを何度も行ったことがあります。私のしょうもないYouTubeチャンネルの過去動画を探せば、まだ残っていると思います。数十kgというバーベルでテストしていましたが、雲台の固定力が耐えられなくなりお辞儀することはあっても、クランプからプレートがズレたことなど一度としてありません。一見すると確かに横方向に強い力が掛かればズレそうな気はします。しかしそれは勝手な思い込みであり、実際には望遠レンズごときでずれる事はあり得ません。もしあり得るとすれば、レバークランプでサイズが合っていないプレートを使った場合だけでしょう。
後日、テストしてみました。吊っているバッグと機材の総重量は11899gです。旧ヨンニッパでも5kgちょっとですから、「構造上」望遠レンズで使うとズレるっていうのは、やっぱりちょっと考えにくいです。
アルカスイス互換は素晴らしい!
色々と愚痴を書きましたが、昔はこういう不満すら聞こえてきませんでした。ネガティブな発言も含めてシーンが盛り上がるのは良いことだと思います。アルカスイス互換はとても素晴らしいと思うので、これからも布教活動に取り組んでいきたいと思っております。皆様もぜひ!
〜今日のオススメ雲台〜
↑P0ハイブリッドは国内で買うと高いですが、めちゃくちゃ使いやすい雲台なのでオススメです ^^


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