色々あるアルカスイス雲台。あなたにピッタリの一台はコレだ!

どんな雲台が必要なのか?

あなたは雲台に何を求めていますか?大きさや軽さ?それとも固定力?何よりも操作性だ!っていう方もいるでしょう。アルカスイス雲台には様々な種類があります。今回は各雲台がどんな特徴があり、どんな撮影シーンに向いているのかをご紹介したいと思います。

動画や動体撮影には不向き

色々と種類はあるものの、動画や動体を得意とした雲台は、アルカスイスにはひとつもありません。方法があるとすれば、社外品との組み合わせとなりますが、ウィンバリー(Wimberley)のサイドキックという製品をZ1+に装着することでジンバル雲台のようなスタイルで使用可能です。

同じような使い方で、アルカスイス純正品でSviltという製品があります。

画像は随分古いPDFのスキャンデータですが、製品自体はクランプがリニューアルされて、現在も販売されているようです。いつかは使ってみたいなぁと思っています。

アルカスイス雲台は大きく分けて5種類ある

アルカスイス雲台には大きく分けて5種類あります。

  1. Z1シリーズ…スタンダードな大型自由雲台。ボール径50mmのZ1+とさらに大きいZ1g+があります。
  2. Z2シリーズ…Z1g+クラスのサイズの大型4WAY雲台です。一見自由雲台に見えますが、3WAY雲台と同じような操作性です。
  3. Pシリーズ…ボール径40mmクラスの中型自由雲台(もしくは中型自由雲台+ギア雲台)です。ギア機構が搭載されたハイブリッドモデルがラインナップされています。
  4. d4シリーズ…Z1+クラスのサイズの中型4WAY雲台(もしくは中型4WAY雲台+ギア雲台)です。一見自由雲台に見えますが、3WAY雲台と同じような操作性です。ギア機構搭載のd4ギア、ギアパン機構搭載のd4GPというモデルがラインナップされています。
  5. C-1 CUBEシリーズ…キューブ型のフォルムが特徴的なギア雲台です。ギアパン機構搭載のC-1 CUBE GPというモデルがラインナップされています。

三脚のサイズで選ぶ

三脚のパイプ径やベースサイズに合わせて雲台を選ぶと言う方は結構いらっしゃいます。上下のバランスって重要ですからね。例えばGitzoの2型ならPシリーズがベストマッチだと思いますし、3型や4型にはZ1+かd4シリーズが良く合います。5型にはZ1g+かZ2シリーズでしょう。

固定力(耐荷重)から選ぶ

持っている機材の大きさによって、必要な雲台の耐荷重は違います。アルカスイス雲台はもっとも小型軽量なPシリーズでもフルサイズ一眼レフ機&大三元クラスのレンズであれば、支える固定力を持っています。それでもシリーズによってかなり固定力は異なります。順番を付けるなら以下のようになります。

Pシリーズ < d4シリーズ < C1 CUBEシリーズ < Z1シリーズ Z2シリーズ

操作性から選ぶ

雲台の良し悪しは操作性で決まるといっても過言ではありません。この項では各モデルの操作性を紹介したいと思います。

Pシリーズ…P0はフリクションコントロールを持たない(一応調整する裏技はあります)自由雲台で、胴体部のリングを回すことによって全方位の構図変更が可能です。独立したパンノブがあるだけのスッキリしたデザインで、小型軽量のため、可搬性に優れています。

P1はフリクションコントロール搭載の自由雲台で、胴体部のリングを回すことによって全方位の構図変更が可能です。しかし角度が20度までしか傾かないため、使い方が限定されます。何もかもが中途半端な雲台で、一般的なフォトグラファーには不向きです。

P0 HybridはP0にギア機構を搭載したPシリーズ最上位モデルです。自由雲台部分でざっくりと構図を合わせたら、ギアで微調整するという画期的な操作性を実現した究極の雲台です。一本脚で頭でっかちという構造的な弱さはありますが、それを差し引いても良く出来た雲台だと思います。

arcaswiss-p0hybrid

Z1シリーズ…Z1+はボールサイズ50mmクラスの大型自由雲台です。フリクションコントロールを搭載し、非常に滑らかな操作性を実現しています。操作性・固定力・サイズ感・デザイン・質感などすべてがバランス良く整った、オールラウンダー的雲台と言えるでしょう。

Z1g+は直径約65mmと最大級のボールが搭載された超大型自由雲台です。基本的な構造はZ1+と同じで、ボール径のみの違いと思って問題ありません。耐荷重は非公表ですが、超大型機材に対応しています。

Z2シリーズ…Z2+は二分割された直径約65mmのボール内部に左右40度のティルト機構を組み込んだ4WAY雲台です。ボールはアスフェリカル(非球面)ボールと、フリクションコントロール機構も採用しており、Z1シリーズと同様の操作性を実現しています。耐荷重は非公表ですが、Z1g+と同等の固定力ですので超大型機材に対応しています。

d4シリーズ…d4マニュアルは小型軽量4WAY雲台です。上下左右のティルトと天地のパンをそれぞれ個別にコントロールできます。通常の3WAY雲台と違ってパーン棒が付いていないため、まるで自由雲台を扱う感覚で運搬、操作することが可能です。

d4ギアはd4マニュアルに、上下左右のティルトのギア機構を追加した雲台です。CUBEのようにギアの噛み合わせで微動させるのではなく、ブレーキのようにギアを押し付けて微動させる構造のため、耐荷重は弱めですが、バックラッシュが起こりにくい構造となっています。

d4 GPはd4ギアにギアパン機能を追加したd4シリーズの最上位機種です。三軸微動を搭載した事によって、より正確で緻密な構図合わせが可能になりました。

TVC-34L

C1 CUBEシリーズ…C1 CUBEは上下左右のティルトをギアで緻密に正確に操作できる雲台です。2つのアックス(ギア)が交差するように設計されているため、操作によって被写体までの距離や光軸にほとんど影響を与えません。天地2カ所のパン機能を搭載した4WAY雲台で、1方向のみ粗動により60度傾けることができます。

C1 CUBE GPはC1 CUBEにギアパン機能が追加された雲台です。三軸微動を搭載した事によって、より正確で緻密な構図合わせが可能になりました。

c1-cube-gp-0

アルカスイス雲台のティルトに関する調査

ちょっと当記事の本題から逸れるかもしれませんが、過去にアルカスイス雲台のティルトに関する調査を行いましたので、書いておこうと思います。

各雲台の制限がある方向に限界までティルトします。もっとも角度の制限が大きいのがC1 CUBE GPで約30度まで。次にP0 Hybridで約45度、Z1+も約45度ですがP0 Hybridは微動機構を使っての角度ですので自由角度ではZ1+の方が上と言えます。d4 GPは約50度と一番仰角が大きいですが、ロックノブを逆に付け替えているため、改造前は45度くらいです。

次に俯瞰側に倒してみます。どの雲台も90度傾きます。P0 Hybridとd4 GPがもっとも低い位置でセットできます。明らかに高い位置でのセットとなるのがC1 CUBE GPです。三脚の中心から機材の距離がもっとも近いのがZ1+。次にP0 Hybrid、次に僅差でd4 GP、もっとも離れているのがC1 CUBE GPでした。

こっそり教えるアルカスイス雲台で少し気になる裏話

アルカスイス雲台で少し気になる情報を知っている限りたくさん書いておきたいと思います。現在改善されているものや、変更になっているものもあるかもしれません。

  • クランプにはロックタイト(ネジ止め剤)によって固定されている。たまにどうしても外せない個体も存在する。
  • ひとつひとつが手作業で制作されているため、良くも悪くも個体差が大きい。特にZ1+での個体差によるハズレ報告が多い。
  • ひとつひとつが手作業で制作されているため、たまにロゴの位置が逆だったり、あるべきはずの刻印が入っていない場合がある。
  • ひとつひとつが手作業で制作されているため、パンノブの穴位置がメインハンドルに近すぎて操作しにくい個体がある。
  • フリップロックのレバーは二段階ロックで解除操作も面倒臭い。
  • フリップロックの幅調整の機構は回しすぎると分解する。バネが使われているため抑えながら回さないと吹き飛ぶ。
  • フリップロックのロック幅はプレートの幅が少しでも違えばいちいち調整が必要なので面倒臭い。
  • クランプを止めているM6ネジのネジ穴はトルクスネジに形状は似ているが、M3の六角穴に近い。この六角穴に一番フィットするのはPBスイスツールズのM3ビット。
  • P1は使えるシーンが限定的で汎用的な機材ではない。
  • d4シリーズ、P0シリーズは構造的に固定力とブレに対する弱さを感じる。
  • C1 CUBEは粗動の機構が構造的にブレに対する弱さを感じる。
  • GP(ギアパン)は機材を揺らすと歯車の遊び分がズレるような気がする。
  • d4ギア雲台は故障報告が多い。
  • アルカスイス雲台は知らない間にちょこちょこマイナーチェンジを繰り返している。
  • ネジなどの部品単体の販売はしていないが、国内の代理店であるKPIにお願いしたら一応取り寄せ可能である。しかし本国から取り寄せとなるためネジ1本が送料込みとは言え1万円以上する。
  • アルカスイス雲台は水に弱い。濡れればZ1+は著しく操作性が悪くなり、内部部品はスチール製のため錆びやすい。
  • アルカスイス雲台は寒さに弱い。寒冷地用のグリースが使われていないため一定の気温より下がるとグリースが固まり著しく操作性が悪くなる。
  • アルカスイス雲台に使われているグリースはメーカーなどが公表されていないため自分でグリースアップができない。オーバーホールは本国送りとなる。
  • アルカスイス社のwebサイトは存在しない。
  • アルカスイス社のメールアドレスにメールしても基本的に返信は来ない。返信があったという書き込みを見かけたことはありますが、私はすでに10回以上無視され続けています。
  • アルカスイスという名前ですが現在はスイスではなくフランス。
  • カメラ業界ではアルカスイス互換が現在主流ですが、実はアルカスイス社が現在メインで作っているのはfixという別の規格。

あなたにピッタリの一台はコレだ!

さて様々なアルカスイス雲台のことを長々と書いてきましたが、そろそろまとめたいと思います。

  • 様々な機材との親和性が高く、どんなシーンにおいても平均以上の活躍を期待できるオールラウンダー的雲台を探している方は、Z1+がお勧めです。
  • 風景写真メインの方は、Z2+/P0 Hybrid/d4マニュアル/d4ギア/d4 GP/C1 CUBE/C1 CUBE GPがお勧めです。
  • コンパクトデジタルカメラ・軽量機材をお使いの方や、トラベラー三脚をお使いで、なるべく軽量な機材で揃えたい方は、P0がお勧めです。
  • これまで体験したことがないような新鮮な操作性を求めている方は、P0 Hybridをお勧めします。
  • フルサイズ一眼レフ機を使っている方は、Z1+をお勧めします。
  • 300mmF2.8レンズを超えるような大型レンズをお使いの方は、Z1g+/Z2+がお勧めです。
  • 商品撮影、建築写真メインのフォトグラファーはP0 Hybrid/d4ギア/d4 GP/C1 CUBE/C1 CUBE GPがお勧めです。
  • 望遠レンズで動体も撮影したいという方は、Z1+/Z1g+/Z2+にウィンバリーサイドキックの組み合わせをお勧めします。
  • 珍しい雲台が欲しいという方は、Z1g+/Z2+/P0 Hybrid/d4ギア/d4 GP/C1 CUBE/C1 CUBE GPがお勧めです。
  • とにかく最高級の雲台が欲しいという方は、C1 CUBE GPがお勧めです。
  • 軽量コンパクトな3WAY雲台を探している方は、d4マニュアルをお勧めします。

自分のピッタリの雲台は見つかりましたでしょうか?当記事があなたにとって最高のアルカスイス雲台に巡り会うための一助となりましたら幸いです。

 

The following two tabs change content below.
haku
こんにちは三脚フォトグラファー「ハク」です。 当ブログのキャッチフレーズは「探していた三脚と雲台の情報がきっと見つかる!三脚雲台沼ブログ」です。 当ブログを読めば大抵の三脚雲台の悩みは解決できるようになるはずです。 どうぞよろしくお願いいたします!

コメント

タイトルとURLをコピーしました