そろそろ「はてなブログ」の自分のブログを終わらせようと思い、記事の引越しを兼ねて改めて各機材のレビューをしていきます。
今回はARCA-SWISSの最上位機種「C1 CUBE GP(以下、GP)」です。私がGPを購入したのは発売後すぐに予約して、届いたのが2017年の秋口だったと記憶しています。そろそろ3年ですね。
最下段と最上段にパン機能が付いています。下段パンには微動装置はありません。左右ティルトはどちらにも約30度まで、前後ティルトも約30度まで微動できます。
前後のティルトのみ64度までの粗動が可能となっています。30度の微動と組み合わせて、94度まで傾けることができ、これにより俯瞰撮影や真上の撮影が出来ます。
大きさはベース部が84×84mm、高さが110mm。重量は1105gと若干d4ギアより重いですが、持った感覚としては、さほど重さを感じません。
無印CUBEの頃からメーカー発表の耐荷重はkg表記ではなく「8×10”」(バイテン)となっています。(発売当初は耐荷重100kgと記載されていました。)中判カメラは非常に大きなフォーカルプレーンシャッターですので、そのショックに耐えうる雲台ということでしょう。
アルカスイス社の純正クランプはfixという新しい規格のプレートと、従来から使われてきた規格のプレートの、両方とも固定できるようになっています。そのため2段式になっており、一般的なアルカスイス互換ユーザーには若干使いにくいと感じるかもしれません。
C1 CUBE GPってどんな雲台?
C-1 CUBE GPはアルカスイス社のギア雲台の中でもっとも最上位モデルC1 CUBEの上部パン機構をリニューアルしたモデルです。四角い箱状のフォルムで、ゴニオステージのような構造が特徴です。
独自の設計で職人の手作業による機械加工により制作されているGPは、その多彩な動きと精密で安全、かつ正確にカメラポジションがとれる、三脚用雲台の最高峰に15年間も君臨しつづけるモンスターヘッドです。
斧状歯車とシャフトの歯車により、機材をゼロコンマ数ミリ単位で動かす事が可能です。
一般的な雲台は回旋が外旋です。そのため、雲台の操作によって被写体との距離が大きく変わってしまいます。しかしC1 cubeは回旋が内旋のため、カメラは雲台内部で角度を変えるだけです。そのため被写体との距離がほとんど変わりません。
これだけ精密な機構を組み込み、大型機材を安定して操作する剛性を有しているにも関わらず、その重量は僅か1105gとなっています。
GPと無印CUBEの違いはトップパノラミックの仕様(微動機能の有無)だけです。このリニューアルに伴い、これまでのティアドロップ型のパンノブからスライドレバー式のパンロックへ変更されました。この変更は非常に歓迎すべき点で、特に俯瞰撮影時にパン操作がしやすくなりました。
素早い動きには対応できませんので、シャッターチャンスには弱い雲台です。光軸を動かさずにフレーミングができますので、ブツ撮り・建築・マクロをメインとしているカメラマン向きの雲台と言えるでしょう。
ギア操作は非常に滑らかです。十数kgもの機材を載せて操作したことがありますが、少し重くなったものの、指先だけで操作できました。
パノラミックアダプターを外して確認したところ、微動の機構はd4GPと同じです。一台一台手作りなので、パノラミック台には位置合わせのマーク跡が残っていたりします。(特に初期ロットに多いです)
GPは何らかの改造を施さない限り、他社クランプの交換はできません。いえ、出来るには出来ますが空転を防止できません。
約3年間使った感想としては「え?もう3年も使ったっけ?」という感じです。いつまでも新鮮さを失わない最高のギアということです。所有満足度はどの雲台よりも高いと思います。一番使いやすい雲台だなんて口が裂けても言えませんが、一番惚れ込んだ雲台には違いありません。
PIE2005で無印CUBEが発表されてから15年間。これからもマイナーチェンジをしながら、当分はギア雲台の頂点として君臨しつづけていくでしょう。
底が見えない雲台沼に捕らわれ続けているという人にお勧めしたい一品です。
最新記事 by haku (全て見る)
- note はじめました - 7月 2, 2024
- うずまきのひびき 〜流体のダイナミズムと美学〜 - 6月 24, 2024
- シルバーアクセサリーを格好良く撮影しよう - 6月 12, 2024